ABEMAオリジナルの連続ドラマ『30までにとうるさくて』主演の山崎紘菜と、ABEMAオリジナルの恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』MCの横澤夏子の対談が実現した。
「女優」と「女芸人」というカテゴリーの異なるフィールドの一線で活躍する二人が盛り上がった話題、それは“婚活”。初対面相手との会話を15分持たせる秘訣を横澤が伝授したりと話に花が咲いた。
【動画】29歳独身女性の恋や仕事のリアル…ドラマ「30までにとうるさくて」
対談に先んじて『彼とオオカミちゃんには騙されない』の収録に参加した山崎は「ABEMAでどの番組に出たい?と聞かれたら『オオカミ』シリーズと即答するくらい、一視聴者としてファンの番組でした。私がもう少し若かったら、出演者の一人として出たかったほど」と『オオカミ』シリーズの熱狂的ファンであることを明かす。その言葉に偽りはなく、MCの横澤も「VTRを見る山崎さんの目は真剣そのもの。分析や考え方がオオカミ寄りで、スタジオを盛り上げてくれました」と太鼓判。
『オオカミ』シリーズの魅力について「ただひたすらに若者の恋模様にキュンキュン。30代の私としては若いエキスを吸える若返り番組でもあります」と話す横澤の一方で、山崎は女優としての視点で番組を楽しんでいるようだ。「恋愛をしているときに好きな相手に見せる表情はその人にしか見せない特別なもので、普段覗けないもの。『オオカミ』シリーズを通して恋する女性の仕草をチェックして、お芝居に取り入れたりしています」と女優業のヒントにしているのだという。
山崎が出演中の『30までにとうるさくて』は、4人の29歳独身女性が恋に仕事に人生に迷い、奮闘し、大都会・東京で生きていく姿をリアルに描く群像ドラマ。山崎は、とある理由から婚活に前向きになっていくバリキャリ女子・恭子を演じている。恭子が慣れない合コンに参加する場面もあるが、21歳から婚活パーティーに100回以上駆け付け、見事27歳で結婚した横澤に言わせると「結婚相手を探す場という大前提はありますが、婚活の場はある意味でコミュニケーション能力を高めるトレーニングジムのような側面があります。婚活で培った雑談力は私生活や仕事にも確実に活きる」と良き人生経験にもなるらしい。
女優業では共演者とのコミュニケーションが芝居を円滑にする潤滑油にもなる。「人見知りの性格」だと悩む山崎に、横澤は「婚活パーティーの猛者から教わった魔法の言葉」として『したしげ』というキーワードを伝授する。「し」は出身地、「た」は食べ物、「し」は仕事、「げ」は芸能で「その4つの話題だけで15分は持ちます。出身地は誰にでもあるものだし、好きな食べ物だって必ずある。逆にNGなのは趣味の話。無趣味という人もいるのでそこで会話が途切れる」と百戦錬磨だけに実感がこもる。
もはやこの場の“猛者”となった横澤から「山崎さんは男性の前で取り繕うタイプ?」と聞かれた山崎は「高校時代は好きな男性に引かれると思って小食女子のふりをしていました。でも本質はすぐにバレるものなので、今では最初から『いっぱい食べる方です!』と素直に打ち明けます。打ち明けて本当にたくさん食べて、結果引かれるということも…」と照れながら失敗談を告白。当の横澤は「婚活においては嘘も方便。たとえ婚活パーティーに100回参加していても、まるで始めて参加したような顔をする。毎回参加していると知られたら確実に引かれますから」とコミュニケーション能力と同時に演技力も鍛え上げられたようだ。
もし婚活に参加したとしたら、山崎は「自分のことを積極的に話すようなタイプではないので、人の会話をずっと聞いていそう。“そこにいるだけの人”的ポジションになると思います」と自己分析。消極的ゆえにマイナスかと思いきや、横澤は「実はそういう人が一番モテるんです!一歩引いているおしとやかな方が、ガツガツしている女子の中で逆に目立つから。それを私みたいのが『え~!付き合っちゃいなよ~!』と意図せずキューピット側に回るという…」。過去に何かあったのか、急に悔しそうだ。
追い込み婚を経て、横澤は現在の山崎の年齢である27歳で結婚。今では二児の母だ。「理想的な生活ではありますが、思い描いていたほどのキラキラはありません。大切なのは状況ではなくて、自分自身がどう変化し成長するかということ。母親になってからは、健康でいることがどれほど幸せな事かを実感する日々です。寝て食べて元気に毎日過ごすことが一番大事だと改めて気づくという、人間の基礎に立ち返った心境」と、優しい笑顔で語った。
演じた恭子同様に独身の山崎。『30までにとうるさくて』に触れて意識の変化も?「同い年の友人が結婚したり、母になったりする姿を見る中で今回のドラマに携わって『私ってもうそういう年齢としてみられているんだ』と気付かされました。今まで年齢を意識することはありませんでしたが、ドラマを通して30歳になるというのはひとつの節目として捉えられている方が多く、プレッシャーを感じてしまっている方も沢山いるんだと考えさせられました」と触発されたようだ。
そして31歳の先輩である横澤に「20代のうちにしておくべきことはありますか?」と質問。それに横澤は「30代になると辛くなってくるようなことを20代のうちに楽しむのもいいのかもしれませんね。20代ならではの自慢できる無茶を一つでもしておけば、『私の20代はね』と若者に語れるおばちゃんになれるはず!(笑)」とアドバイス。すると山崎は「バンジージャンプ!」と斬新すぎる無茶を挙げ、笑いを起こしていた。
芸能界というジャンルで着実にキャリアを重ねてきた二人。仕事をする上でのモチベーションを聞いた。横澤は「地元の友人が私のことを『私と友達』と周囲に自慢している姿にモチベーションを感じます。中でも結婚式のお祝いVTRを頼まれるのは気持ちが上がる。それはまだ私には知名度があるということですから」と興味深い視点。山崎は「ありきたりかもしれないけれど、作品を観てくれた方の声が一番のモチベーション。私は自分のためではなくて、観てくれる誰かのためだと思うと頑張れる。自分を主体にしがちな仕事ではありますが、『自分ではない誰かのために』と思えるところが今の私の強みではないかと思います」と誠実な心中を打ち明けてくれた。
取材・文:石井隼人
写真:You Ishii