三浦瑠麗氏「トリビア的な知識を覚えていることには価値がない」大学入試のあり方をめぐり橋下氏と議論
橋下徹×三浦瑠麗
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先月15日に実施された大学入学共通テストで、世界史の試験内容を写した画像がSNSを通じて外部に流出。警視庁が偽計業務妨害容疑を視野に捜査していたところ、大阪府に住む19歳の女性が香川県警の警察署に出頭した。捜査関係者によると、女性は任意の取り調べに対して“1人でやった。スマートフォンを上着の袖に隠して試験問題を撮影した”と話している。

7日のABEMANewsBAR橋下』では、東京大学出身の国際政治学者の三浦瑠麗氏と、司法試験を突破した経験を持つ橋下徹氏が、日本のテストの問題点について議論した。

■「トリビア的な知識を覚えていることには価値がない」

三浦:隠し撮りなどを禁止するための手段は講じるべきだと思うし、日本の“一斉テスト”はものすごく不評だが、一方で様々な経済階層の人が同じスタートラインに立てる、少なくとも能力の違いで評価される、という側面がある。もちろん、次第に東大在学生の親の平均年収が高くなってきているという状況はあるが、じゃあ東大に推薦で入学できるかと考えたら、アメリカなんかよりは圧倒的に公平性がある。でも、もうちょっとテクノロジーを入れたらどうかなとは思う。TOEFLで言えば、41歳の私が受けていた頃に比べて、ものすごく進化している。昔のセンター試験への郷愁もないわけじゃないが(笑)、私が受けた試験とほとんど変わらないのもどうかなと思う。

橋下:別の番組で古市憲寿さんと一緒になった時、面白いことを言うなと思ったのは、スマホから何から自由に使って調べる、連絡を取る、ということにしていいんじゃないかと。そういう世の中なんだからと。

僕も司法試験について「六法全書の中身を全て覚えたのか」と聞かれることがあるが、覚えない(笑)。一応、なんとなくは頭に入っているが、六法全書を机の上に置いて、それを使って問題を解いていくのが司法試験だ。揉め事みたいなのが問題に書いてあって、これをどう解決するか論じなさいと。六法全書を見ながら、その答えを自分で組み立てていくわけだ。今はスマホの時代なんだし、誰かに聞く力、人脈も重要だ。点数で競うような試験ではなくなるかもしれないけれど、入学後の単位認定や卒業認定のところでふるい落とせばいいのでは。

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三浦:センター試験は“土台”の部分だし、余力もないので、それだけで選考を済ませたい大学もある。一方、東大入試の場合、私は理系だったが、数学では1問も解けなくても受かる子がいる。東大の数学というのは応用力を測る入試で、ものすごくクリエイティブな問題が出るので、あまりにも難し過ぎて差がつかないことや、それで天才が見いだされることもある。だから後期試験になると、国語と英語ができなくても、数学だけで受かることもできるし、逆に私は国語や英語が得意で満点近く取れたので、数学は楽しんで受けられた。

その上で、古市君の発想はちょっとエリートの発想だと思う。日本では韓国でいう実業大学校、つまり専門学校みたいな教育機関も含めて“大学”と呼んでいるが、簿記や会計など、実務的な部分を学ぶ学校であれば、一律のテストでパッと選びたいということもある。そういう中で、いかに新しい能力を測っていくか。

茂木健一郎さんが時々言うように、日本の受験文化はくだらないというのはその通りだと思う。受験産業が発展した結果、学術書で言えば“注”の部分にあるような、ものすごくマイナーな知識を問われような、いわばクイズ王みたいになっているところがある。私がクイズ番組に絶対に出ないのは、そういう問題は分からないからだし(笑)、そんなトリビア的な知識を覚えていることには価値がないと思うからだ。

ググればいいだけの話を、そこまで覚えて勝つというのは、本当の能力の見極め方じゃないし、一発逆転がしにくい。

■「大学に入った後に何を学んで、どう卒業するかだ」

三浦瑠麗氏「トリビア的な知識を覚えていることには価値がない」大学入試のあり方をめぐり橋下氏と議論
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橋下:僕は3人目の子どもが高3で、ちょうど受験で苦戦している。今はセンター試験じゃなくて共通テストだけれど、土台の試験としてはやり過ぎだと思う。もうちょっと簡単にして、大学に入った後に何を学んで、どう卒業するかだと思う。

三浦:日本の大学生は勉強しない。人のこと言えないけど(笑)。

橋下:実際、僕も大学受験の時は、クソの役にも立たないことを勉強しないといけないな、ということを分かりながらやっていた。早稲田の日本史なんて、トリビア中のトリビア、本当にクソクソクソの入試だ(笑)。聖徳太子の甥っ子がどうのこうのとか。知らんがな、と。司法試験の場合は、論文試験の方は今も役に立っているけれど、択一の方はちょっとトリビア的なところがあって、僕らのちょっと前の時代から変わってきていた。

三浦:私はお金がなくて塾に通えなかったし、しかも上の2人が浪人して私学に行ったこともあって、「お前は国立で、しかもストレートでしかダメだ」と言われ、プレッシャーがあった。田舎町で、色んな抑圧や不幸しかなかった少女時代、数学やパズルというのは日常から脱出できるチャンスだった。

確かに恵まれていたところもあったと思うけれど、私が勉強が嫌いじゃなかったのは、みんなみたいに楽しい遊びがなかったからかもしれないし、大学受験に嫌な思い出がないのも、私学の入試のようにトリビアを覚える必要はなかったかもしれない。

三浦瑠麗氏「トリビア的な知識を覚えていることには価値がない」大学入試のあり方をめぐり橋下氏と議論
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橋下:点数主義じゃないところで見ていくというのが、いわゆるAO入試なんだろう。

三浦:10歳の子どもに通信教育を始めさせたが、すごく思うのは、機械的に解き方を覚えさせるだけになるのは困るなということ。AO入試は少数の人間しか評価できないかもしれないが、古市さんみたいな変な人を取れるわけだから(笑)。

感情的な面まで含めて総合的に判断すると、人間にはそれぞれ違う価値がある。だから今のテストは私みたいに数学、物理ができちゃう子からすると面白いのかもしれないけれど、そうじゃない子、トリビアを覚えさせられのが嫌だという子には苦痛でしかないわけだ。そういう子たちをハッピーにしつつ、古市さんみたいな際立った個性も。理科の授業でも、本当に面白い実験を見せてあげられたら良いと思う、その機会がない。

橋下:これからアメリカや中国の学生たちと張り合っていかなければならないことを考えれば、基礎的な部分がさえ分かれば、専門的なことは大学で学び、ダメだったら弾かれると。最初のところでふるいにかけられる大学入試のやり方は変えないといけないんじゃないか。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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