12日深夜、『カンニング竹山の土曜The NIGHT』(ABEMA)が放送され、新疆ウイグル自治区からオランダに亡命した女性が、中国警察からかかってきたという脅迫電話の内容を明かした。
この日は北京五輪の影で現在も続いているという中国共産党によるウイグル人弾圧問題を扱う特集の第4弾で、ゲストに事情を知るウイグル人関係者らを招き話を聞いた。
オランダからのリモート取材に応じたのはケリビヌル・シディクさん。もともとウイグル自治区で小学校の教師をしていたが、2017年から強制収容所で中国語を教えることを強制された。最終的には精神に異常をきたし、指定された期間よりも早く強制収容所を出ることになったそう。
強制収容所を出る際には「収容所で見たことを誰にも言うな」という脅迫を受けたというシディクさん。その後オランダに住んでいる娘のおかげで2019年10月9日にオランダに到着し、政治亡命を果たした。
そしてシディクさんはBBCなどの大手メディアで現地で見てきたことを証言。するとその情報はすぐに中国の警察にも届き、現地に残るシディクさんの夫や親戚たちが警察に連行され尋問を受けたという。
「この画像を見てください」と携帯を提示したシディクさんは、2021年2月18日に携帯にかかってきたという、ウイグルにいたときの警察署の担当者「リュブンジャン」からの電話の内容を証言。
「彼はとても優しそうに『私があなたの出国手続きをやってあげました。あなたは5月に帰国しますよね?』と言いました。そして続けて『こちらで見たことは誰にも話してはいけない。あなたは5月に戻ってこないといけない。約束を守らなければ親戚がどんな酷い目にあうか分かっているでしょう?』そう脅迫してきました」と、携帯の画像とともに生々しいやりとりを告発した。
シディクさんは「中国政府は信用できません。私が帰ったとしても自分の命を守れないし、親戚の命を守ることはできないと思います。私は旦那や親戚の安全をアッラーにお祈りし、自分はここに残ってウイグルの声を世界に発信する覚悟を決めました」と、証言者として活動をするに至った経緯を語った。
「同時に祖国で苦しんでいるウイグル人たちが一刻も早く強制収容所から釈放されることを願うばかりです」と続けたシディクさんは、最後に「日本も強い先進国としてウイグル問題をもっと重要視してほしい。中国に圧力をかけてほしい。ジェノサイド認定したほかの国のような決議を下し、実効性ある措置を取ってくれることを心よりお願い申し上げます」と視聴者に訴えかけていた。