この記事の写真をみる(6枚)

 劇団EXILE青柳翔が、4月2日(土)より上演されるパルコ・プロデュース『三十郎大活劇』にて主演を務める。物語は第二次世界大戦より少し前、一夜にして銀幕スターに駆け上がった紅三十郎(青柳)を中心に、激動の映画界を駆けまわる若者たちの切なくも熱い姿が描き出される。

 青柳といえば、これまで舞台『ハムレット』ではハムレットに復讐するレアティーズを、Netflix『今際の国のアリス』では屈強な粟国杜園を、第40回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門で最優秀芸術賞を受賞した『たたら侍』では、たたら吹きの伝統を受け継ぐ伍介と、バラエティに富んだ役柄/作品で活躍してきた。

【動画】初の劇団EXILE主演連続ドラマ「JAM -the drama-」全話配信

 本公演では、活劇スターという役どころに初挑戦。プレッシャーを感じながらも準備を楽しみながら行っているという青柳にインタビュー、現在の心境を聞いた。

三船敏郎の殺陣シーンに感銘「もっともっと研究しなきゃいけない」

拡大する

――様々な役を演じてきた青柳さんですが、活劇スターを演じるのは初めてですよね。

青柳: そうなんです。『三十郎大活劇』の物語の舞台となっている時代の前後の作品や、いわゆる銀幕スター・活劇スターと呼ばれる俳優さんが出ている作品を、いろいろ観て、今勉強しているところです。

――どのような作品をご覧になっているんですか?

青柳: 『用心棒』は以前も観ていましたけど、もう1回観ました。『椿三十郎』も、同じく2回観たかな。格好よかったですねえ。

――ご覧になるときは自分の演技に取り入れられるという目線なのか、単純に格好いいと見る楽しみ方もされているのか、いかがですか?

青柳: ああ、両方かもしれないですね。単純に三船(敏郎)さんは本当に格好いいですし。セリフ回しは一見単調に聞こえるんですけど、そこも格好いいというか。何より殺に驚きました。当時の人たちの殺陣は、今みたいに映像のスピードを編集で変えられないわけじゃないですか。例えば、刀を振ったときに、その刀のスピードを変えたら早く見えるけど、当時はそういう技術がない。それであのスピードということは相当早いんですよ!調べたら、家で真剣を使ってろうそく切りをしていたとか(笑)。

――その時代ならでは、三船さんならではの豪快エピソードですね!青柳さんも殺陣はお得意だとは思いますが。

青柳: 僕もアクションをやることは多いですけど…。お世話になったアクションチームのことは本当に尊敬しています。アクションチームは当然、専門のプロの人たちですし、毎日稽古していて、いろいろ身につけているわけで。それぐらい何かを極めていないと、アクションというか殺陣もダメなのかなと思い始めています。…とはいえ、今回あまり刀を振る場面はなさそうなのですが(笑)、まだわからないので何かやろうかなと思っています。

――そうやって、やはり取り入れる目線でも、しっかりご覧になっているんですね。

青柳: 観ながら、「これ使えるかな?どうかな?」とかは思っています。ポージングで見栄を切るようなときに『(丹下左膳餘話)百萬兩の壺』は参考になるな、と思って観ていました。見栄を切るときの首を動かす仕草がすごく印象的で、家で鏡を見ながら1時間くらい真似していました。…でもできなくて、変な人みたいになっちゃって(笑)。
もっともっと研究しなきゃいけないし、いろいろな人の作品を観たいですね。何を参考にして取り入れるべきか、やらないべきかは、今後稽古を重ねていく中で判断していきたいなと思います。稽古期間を1か月いただけるので、いろいろなことにはチャレンジしていきたいです。

――情報解禁時のコメントでは「すごくプレッシャーがある、それでも打ち勝ちたい」とありました。稽古前の段階ですが、現時点で気持ちに変化はありましたか?

青柳: まだプレッシャーはありますけど、そこまできていないですね。稽古日が約1か月後(※取材日時点)なので、たぶん1週間前後ぐらいに迫ってくると、ちょっと…。本読みになると、自分が崩壊してわけわかんないこと言ってしまう、そのテンパリを終えたら自分に戻る、みたいな(笑)。大体、必ず最初は空回りしてしまうんですよね。

年下男子に好かれがち?村上虹郎との交流

拡大する

――『三十郎大活劇』の戯曲を2022年に演じることについては、改めてどのような印象を持ちましたか?現代でやる意味は、というと、大げさですが。

青柳: まず当時の人たちには、「あのときの情熱ってよかったよね」と思ってもらえるような内容にしなきゃいけないと思っています。反対に、僕のファンの人たちはその時代の映画関係のことに詳しくないかもしれないので、それでも「やっぱり楽しいな。あ、こういう時代があったんだな」など「これって今の時代にもあてはまるんじゃないかな」と思ってもらえるような芝居をしたいです。

この作品に含まれている熱やメッセージ性みたいなものは、芝居を頑張れば、その時代のことを知らなかったり、わからないお客さんにも伝わるんじゃないかな、と思っています。例えば、今は「地上波だとこの描写はだめですよ」とか「こういう作風だと、こういうものはだめですよ」とか「スポンサーさんが何々なので、こういうことはだめですよ」、「映画だったらここまではできます、でもR指定は入ります」みたいな制限が、よくあるじゃないですか。もちろんそれは配慮する点で大事ではあるけれど、ものをつくる上で制限されすぎていくのは、あまりよくはないんじゃないかなと僕自身は思っているんです。この作品にもそういうメッセージみたいなものが入っていると思ったので、伝えていきたいです。

――舞台稽古では、映像作品と違い、ほかのキャストとの交流や一緒に過ごす時間も長くなります。そのあたりでの楽しみはありますか?

青柳: 僕…正直、相手からきてくれないと(交流が)できないタイプなので、今回は…頑張りたいと思います。

――…本当ですか?

青柳: (笑)。「本当ですか?」って、俺も思いますわ(笑)。「頑張って話しかけてる感」が出ちゃうかもしれないし。

――しかし『ハムレット』で共演された村上虹郎さんとはすごく仲良しですし、そういう出会いの場でもありますよね。

青柳: そうですね。虹郎みたいな感じは結構珍しいですね。外出する機会も減ってきたので、一緒に出歩くことは今できないけど、そんな中でも連絡を取っているのが続いているので。さっきもね、連絡してました。「昨日どうだったんですか?」みたいな軽い感じでメッセージがきていたから、「こうこうだったよ」と返したりして。謎に…テレビ電話とかも、たまにくるので。

――「何していますか?」という感じですか?

青柳: はい。「何してるんすか!最近なんか面白いのないっすか!いいマンガないっすか!」(※ものまね)で、「俺こういうの見てるよ」、「へー!」、「お前なんか面白いのないの?」、「これがやばいっすね」とか教えてくれるんですけど、基本、俺のほうが早く観終わるんですよ。「お前、面白いって言ったのに、まだ全部観てないの?」みたいなことが結構ある(笑)。あと、昨年末少し(感染の)人数が減ってきたときに、一度ふたりで食事に行ったんですよ。

――青柳さんは劇団EXILEでも年下のメンバーと仲良しのイメージがあり、ちょっと年下の男の子に好かれがちなんですかね?ご自分ではどう思いますか?

青柳: なんかたぶん…生意気なやつがちょうどいいんでしょうね、俺に。一緒にいて居心地がいいというか。生意気なぐらいが、俺はちょうどよくて。しかも別に生意気だとも思わないですし、そうやって言ってくる人のほうが楽しいし。自分も踏み込めない性格ではあるので、逆にそういう人だと助かるな、みたいなことはありますね。

自分にとって舞台は「筋トレみたいな感覚、年1~2回はやりたい」

拡大する

――コロナ禍で公演自体が中止になったり、客席の数が減るなど、もどかしい状況も続いています。人前で演じられることへの思いに、変化はありますか?

青柳: 客席にお客さんがいるからこそ、舞台で演じることもできるし、反応によって作品が良くなる可能性もあると思っています。舞台はお客さんと一緒に作っていくのも醍醐味なので、今は何とか我慢をして、対策をしつつ進めていくのがいいんじゃないかなと思います。お芝居中、お客さんの反応をそこまで気にはしていないんですが、良い・悪いはお客さんが決めることですし、それは俺らの責任なので、「観てよかった、楽しかった」と思える作品づくりを変わらずにしていきたいです。

――映像作品出演も多いですが、青柳さんにとって、舞台はどんな位置づけですか?

青柳: んー、そうですね。筋トレみたいな感覚ですかね。舞台をやっていないと何となく能力が低下していく気がするというか。身体も脳も、お芝居の質も含めて。スケジュールが合うのであれば、なるべく1年に1~2回は舞台をやりたいことは自分の希望として、マネージャーに伝えています。

――最近では監督業にも挑戦されて幅を広げているイメージです。初めての監督はやってみていかがでしたか?

青柳: 本当にスタッフさんのありがたみに気づきました。いちからすべて関わるとなると、総合的な判断を監督がするのが絶対的な条件ですけど、それに行くまでにかなり様々な人のアイデアや協力もありきで、最終決断をするので。とても勉強になりました。それに、例えば意見が合わなくても、どうやってその人を動かすか、みたいなことも学べたというか、勉強になりましたね。…珍しく結構感情的になったりもしたし(苦笑)。

――人を動かすために感情的になった、ということですか?いつも一定のイメージなので、本当に珍しいことかもしれないですね。

青柳: 本当に、いつもほぼ一定ですよ。そのときは、10分くらいずっとその人と対面して、じーっと見つめましたしね。そんなモードに入るの、久々でした。(監督作に出演している)虹郎が、後で食事に行ったとき、「なんかやってなかった?」と笑ってましたけど(笑)。

――監督業の経験をされたことで、ご自身のお芝居にも、当然『三十郎大活劇』にも影響は今後生まれそうですか?

青柳: そうですね。いい芝居を切り取るためにどうすればいいか、編集のときにどれをチョイスすれば一番この人が良く見えるかとかを考えるのは、とても楽しかったです。だから「こういう芝居が好きなんだろうな」みたいなことは提示できたと思うので、その上で、今後自分がやる芝居に責任が伴っていくことはとても感じています。

拡大する
拡大する

取材、文:赤山恭子、写真:Mayuko Yamaguchi

ヘアメイク:KOHEY
スタイリスト:Jumbo(SPEEDWHEELS)

パルコ・プロデュース『三十郎大活劇』

公演日程:2022年4月2日(土)~17日(日) 新国立劇場 中劇場
2022年4月23日(土)~24日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

脚本:鈴木聡 演出:ラサール石井
出演:青柳翔/横山由依/入野自由 松平璃子 近藤公園 小倉久寛 ほか

公式サイト:https://stage.parco.jp
企画制作:パルコ/二ベル
製作:株式会社パルコ

JAM -the drama-
JAM -the drama-
jam (映画)
jam (映画)
ウタモノガタリ -CINEMA FIGHTERS project-
ウタモノガタリ -CINEMA FIGHTERS project-
劇団EXILE・青柳翔×町田啓太インタビュー、新たな物語を刻むドラマ版『JAM -the drama-』への挑戦
この記事の写真をみる(6枚)