ウクライナとロシアの停戦協議が28日、ベラルーシとウクライナの国境のゴメリで行われたが、合意には至らなかった。ロシア側によると、結果を双方が持ち帰って協議した後、数日中にベラルーシとポーランドの国境で交渉が再開される見通しだという。
ロシアの軍事侵攻に対して、国際社会からは厳しい批判が集まっているが、今の状況にロシアの人たちはどう思っているのか。モスクワ出身で現在日本に留学中の女性が話してくれた。
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顔を隠すのは残念なことですが、自分自身と自分の家族を守るためにこうしないといけないなと思っています。
Q.今の状況をどのように感じている?
すごく恥ずかしいことだと思っています。21世紀ですけれども、戦争を始めるのはありえないことです。ロシアのニュースを読んでも「戦争」だと言われていないです。人々が死んでしまうということも誰も言っていないです。そういうことは、私はロシア人として恥ずかしいことだと思っています。
Q.ロシア国内の人々はその報道のとおり受け取っている?
私の家族の例なんですけど。私自身はすごく戦争に反対しているので、戦争反対のデモに参加したかったんですけれども、自分の家族に「裏切り者だ」「こういうデモに参加するのは恥ずかしい」と言われました。「実際は戦争が起こってないのに、なんでそういうデモに参加するのか」って、おばさんとかおじさんに言われました。大喧嘩をして、今は家族と連絡していません。
ウクライナに住んでいる友達から連絡をもらって、戦争が起こっていることを家族に伝えたかったんですけれども、私がもらった連絡を見せても「それは全部本当のビデオではない」「実際はウクライナで何も起こってない」と言われます。たぶん私の家族はテレビで流れるニュースしか見ていないので、「ロシアは自分の土地を守るために特別な運動をしています」っていうことしか載せていないので、そういうことを信じて「実際は何も起こってない」と思っています。
これはたぶん年齢の違いだと思います。なぜかというと、東京とか京都、大阪に住んでいるロシア人の多くの若者は、戦争反対のデモに参加しています。しかし、参加している人々の中には20代とか30代の方しかいません。私が見た限りでは、40代とか50代の方があまりいないです。ロシアでデモに参加している人の中でもほとんど20代とか30代の人しかいないです。
Q.日本という離れた場所から母国を見て思うことは?
私はけっこう長い間ロシアに帰っていませんでしたが、一番大きな違いは自分の発言の自由ということです。例えば、日本に住んでデモに参加しても、誰にも何も言われない、警察にも捕まらないですよね。でも、ロシアではデモに参加することがまず違法な行為だし、参加したら捕まります。それは、私から見れば自分の発言の自由がないです。
私はウクライナを支援したいと思って、寄付の情報を調べようと思って自分のSNSに載せたら、ロシア人から「そういうの止めたほうがいい」って言われました。ロシアの国籍を持っている人にとって、ウクライナを支援する行為は違法行為だと。そういうことは、自分の発言の自由が失われているという感じがします。
実は日本に来る前、ウクライナはどうでもいいと思っていました。敵とは思っていなかったですけど、隣の国だけど行ったこともないし、友達もいなかったのでどうでもいいと思っていました。しかし、日本に来てからたくさんのウクライナ人の仲のいい友達ができて、ウクライナであんなことが恐ろしいことが起こってるなんて想像ができません。ウクライナに住んでいる友達が本当に苦労しています。友達の友達が苦労しています。
Q.ロシア国民としてどのようなことを望む?
とりあえず戦争を止めてほしいです。止めてからどうなるかはわからないですけど、いくらロシアとウクライナの間に誤解があっても、それは戦争で決めるものではないです。一番苦労しているのは一般人です。
ウクライナの人に言いたいことは1つ、謝りたいです。自分の政府について悪口を言うことはできないですけれども、私は自分の国で起こっていることに反対しています。そういうことはすごい恥ずかしくて、まずウクライナの人に申し訳ないと言いたいです。
一番大事なのは「平和」です。たぶん日本人が一番わかってると思います。平和を守るために、「デモに参加してください」とは言えないですけど、ウクライナのことについて情報を広げたほうがいいと思っています。
(ABEMA NEWSより)