俳優の反町隆史が、『今どきの若いモンは』でWOWOWドラマに初主演する。反町が演じたのは、タイトル通り「今どきの若いモンは」というキラーワードが口癖の会社員・石沢一。一見身構えてしまうような言葉だが、実のところ若手社員への思いやりにあふれ発しており、石沢は“究極の上司”として存在する。
本ドラマの原作は、若手社会人の間で共感を生み、第1話がTwitterで25万「いいね!」を超えた吉谷光平による人気漫画。吉谷氏自身が「こんな上司がいたらいいな、という理想を詰め込んだ」という石沢像を、反町がワイルドに、温かみを持って生き生きと演じた。
インタビューでは、反町自身も過去に同じようなセリフを言われたことがあるかも…と振り返りつつ、「気にしなかった」し、「だから何なんだと思ってましたね(笑)」と笑顔で語った。キャリアを重ねた今だからこそ思う「今どきの若いモン」に感心することや、反町が大事にしている日々の生活のポイントまで、話してもらった。
多くを語らずに背中でわからせる、理想の上司役石沢の魅力
▲ドラマ『今どきの若いモンは』より
――主演ドラマ『今どきの若いモンは』では、一見コワモテの石沢課長を演じます。台本を読んで、どのような印象でしたか?
意外と…というか、「ああ、よくわかるな」というところがあったので、すんなり入れたキャラクターでした。一見コワモテで近づきがたい人物なんですが、セリフは硬いこともなくくだけながら話せる感じだったので、イメージしやすかったです。全22話の物語の中には、石沢の過去の話も出てくるんですね。かつては違ったけど、今は理想の上司になったいきさつも描かれていて、どう変わっていくかがわかるからこそ、僕自身もキャラクターを作りやすかったです。
――反町さんから見て、石沢の一番の魅力はどういうところだと思いましたか?
多くを語らずに「背中で理解しろ 」的な感じのところ、かな。必要なところだけは言葉にして言ったりもするので、そのあたりが魅力というか、石沢のいいところかな、とは思います。
――タイトルのように『今どきの若いモンは』と言われた覚えは、ありますか?
んー、過去に言われたことはあるんだろうけど…ま、気にしていなかったというかね(笑)。「だからなんなの?」という感じで思っていたんだろうなあ…。それこそが、おそらく“今どきの若いモンは”だと思うんですよね。別に今の時代だけじゃなくても、前の時代でも、またこれから先の時代でも、いつの時代でも共通してこのセリフはあるんだろうなと思っています。
――ドラマではご自身が言う立場なわけですが、共感しますか?
うん。別に否定的だけじゃない言葉として描かれているので、ちょっとニュアンスが違うじゃないですか。それはわかりますね。
――さらに言うと、『今どきの若いモン』に対して「すごいな」と思うこともありますか?
ありますね!ネット社会に対応しているところが、やっぱりすごい。すごく簡単にパソコンとかを扱えちゃうしね。情報社会は、我々の時代とちょっと違うと思います。
オールドスクールな格好よさ「遠回りしたことも自分のものになっていくのが好き」
――反町さんはネットや情報を駆使するタイプではないんですか?
僕たちの時代は、そういうのがないじゃないですか。そこに行き着くまでにすごく苦労して、その苦労もストレートにいかないから遠回りしながらも、だんだんと自分のものになっていくというところが、何をやるのにもあったと思うんです。今はぱっと探して、ぱぱっと見られて、その答えがぱっと返ってくる。そこはすごく昔と違うよね。今は正解が簡単にぱっと出てくるから、生きて行く時間軸が早くなっちゃいますよ。
――今は便利さもあるけれど、かつてのようなすぐに答えが出ない不便さも楽しんでいるというか。
そう。行き着くまでに調べて、遠回りしたことも自分のものになっていくのが好きかな。やっと自分のものになる感覚があった気がしますね。
――とはいえ、反町さんはガラケーとスマホの両方を使いこなしていらっしゃると小耳にはさみました。
特に使い分けている感覚はなくって、電話するときは全部ガラケーで、スマホは何か調べたりとか用なんです。釣りが好きでよく行くんですけど、電波がないところが多くて。でも、圧倒的にガラケーだと電波があるんですよ。ただそれだけで持ってる(笑)。
――スマホではインターネットを活用されているんですか?
調べ物をすることもあるけど、ほとんどしないですね。
――エゴサーチはしますか?
しないです。SNSもしないし。何にもしないところが、僕のいいところなんです(笑)。
――強要されてやるものでもないですもんね。現代では自己発信をしている人も多いですが、反町さんはそちら派ではない。
インスタやFacebookとか、みんなやられていますけど、やられていない人もいるよね。だから僕はやらないです。
――将来的にもやらないですか?
じゃあ~明日からやる!……いや、やらないです(笑)。
究極の上司を演じる反町、自身が憧れる存在とは…?
――石沢は憧れの上司という存在でもありますが、反町さんご自身は憧れの存在はいますか?
お世辞抜きで、やっぱり水谷(豊)さんですね。水谷さんは、誰に対しても態度をまったく変えないんです。それに、若い人に対しても自分から近寄っていけるので、そういう姿勢が本当にすごいなと思います。
――反町さんは自分から話しかけるほうではないんですか?
僕はね、意外と顔色を見ちゃうタイプなんです。『相棒』はゲストの方がたくさん出演されるし、年代もばらばらでしょう。それでも自分から話しかけて近づいていく姿を見ていると、人間としてすごいなと思いますね。
――反対に、本作で共演した部下の新入社員・麦田歩を演じた福原さんに対して、「すごいな」と感じたこともありましたか?
柔軟ですよね。福原さんに関して言えば、正統派な芝居をしているんです。だから、僕としてはすごくやりやすかったです。石沢課長は飛んでいるようなタイプで、真正面から返す役なので。その辺では、すごくいいバランスかなとは思いました。
――『今どきの若いモンは』に出てくる石沢課長はじめ、いい社会生活を送るには、充実した私生活もポイントかと思います。反町さんが日々の生活で心がけていることはありますか?
やっぱり人とのつながりですね。僕は、なかなか東京に住んでいる人とのつながりがなくなってきていて、あまり人と深く関わることがないんですよ。ただ、僕は釣りやアウトドアが好きなので、地方のほうに家があったりもするんです。そこでは、その土地の方と話したり、コミュニケーションを取ったりをよくします。そういう人とのつながりを大切にすることで、生きていく感覚だったり、ちょっと自然に触れ合うヒントを感じています。人を通して、自分自身にも「ああこうやってやるんだ」という気づきがあったりもしますしね。
――内面が豊かになっていく感じがしますね。
うん。例えば、普段自分で感じないようなことを感じたりもするからね。例えば、東京にいたら感じないような、ちょっとしたこと‥‥「今日は空がキレイだな」、「夕暮れが美しいな」とかを、一瞬でも感じるような自分もいたりするんです。そうやって自分の心を豊かにするひとつ、なんでしょうね。大事な時間ですね。
取材・テキスト:赤山恭子
ドラマ『今どきの若いモンは』
4月9日(土)午後10:30~放送・配信スタート
【放送】毎週土曜午後10:30(全8回)[第一回無料放送]【WOWOWプライム】
【配信】各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信(全22話)[無料トライアル実施中]【WOWOWオンデマンド】
※放送各回30分