被害の10代少女は4日前にDL→痴漢撃退 防犯アプリ「デジポリス」を警視庁担当記者が実演
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 混雑した電車内で少女の体を触ったとして、50代の男が現行犯逮捕された。逮捕につながったのは、警視庁の防犯アプリだった。

【映像】「やめてください! やめてください!」 アプリを実演

 会社員の50代の男は15日朝、埼玉県と東京・北区の間を走行中の電車内で10代の少女の体を触った疑いが持たれている。警視庁によると、当時、電車内は混雑していて、少女が警視庁のスマートフォン用の無料防犯アプリ「デジポリス」で、「痴漢です。助けてください」という画面を表示して助けを求めた。

 それに気づいた男性客が「大丈夫ですか?」と声をかけると、少女は画面を押して「やめてください」という音声を流したため、男性客らが男に「何やってんだ」と言い取り押さえたということだ。

 犯人逮捕につながった「デジポリス」。このアプリが誕生した経緯や、こうした場面に直面した場合に周りはどう対処したらいいのか、また、痴漢撃退以外の活用方法について、テレビ朝日社会部・警視庁クラブの藤原妃奈子記者が徹底解説する。

Q.このアプリが開発されるに至った経緯は?
 このアプリを開発したのは、警視庁の生活安全部の生活安全総務課。この部署では、痴漢被害や、少年少女が巻き込まれるような犯罪、万引きなど、身近な人に関わる可能性のある犯罪を防いでいく仕事を担当している。

被害の10代少女は4日前にDL→痴漢撃退 防犯アプリ「デジポリス」を警視庁担当記者が実演
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 部署の方々が当時考えていたのは、警察側が「防犯、防犯」と伝えるにしても、なかなか堅いイメージになってしまうということ。ポスターも有効な手段ではあるが、一般の方にメッセージが伝わりにくいとなった時に、「実用性のあるアプリを配信すれば、そこから防犯を意識する人が増えるのではないか」ということで、開発を考えたという。その話が持ち上がったのが2015年で、翌年の3月から導入が始まった。

 実は、2016年3月に導入された時は、痴漢撃退機能は付いていなかった。その後、痴漢が大きな問題になってきて、生活安全総務課としても対策をしていくという時に、「実際に被害に遭った時に使えるものがないか」と考えた。女性や学生を中心にアンケートを取って、声を聞いた上でこういった機能になった。

Q.痴漢撃退機能の使い方は?
 まず、「痴漢です 助けてください」という表示を見せて、音を出すのは2回目の手段になる。この機能を考える際に、「なかなか音を出すのはハードルが高い」と。「まず画面を見せて被害を伝えるところから始めて、気づいてもらえたら音を出すようなほうが使いやすい」という声があがっていたようで、2段階の機能になっている。

被害の10代少女は4日前にDL→痴漢撃退 防犯アプリ「デジポリス」を警視庁担当記者が実演
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 今回被害に遭った少女は、以前にも同じような痴漢被害にあっていたという。4日前に、このアプリがアップロードされたという記事をたまたま見て、ダウンロードしていた。

 当事者だけでなく、周りの人も「こういうような被害を伝える手段があるんだ」ということを知っておいて、その場面に遭遇した時に助けを求められるように準備しておくことが必要だと思う。

Q.4月8日にアプリのアップデートがあったようだが?
 今回、「ちかんされていませんか?」という画面表示が追加された。都内の学生らによる防犯ボランティア団体「ピーポーズ」とアプリのチームが話し合いをした時に、「被害者がアプリを知らないかもしれない」「知っていても、被害に遭っている時にスマホを出すことが難しいかもしれない」「被害に遭っている人に手助けする意思を伝えることができる機能があったらいいんじゃないか」という意見が出て、アップデートで追加された。

被害の10代少女は4日前にDL→痴漢撃退 防犯アプリ「デジポリス」を警視庁担当記者が実演
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Q.「デジポリス」はどのように命名された?
 生活安全総務課のアプリ開発チームのメンバーが4つ候補を出した。そのうち、デジタルであることがわかるほか、語感が良く馴染みがいいといったところで、「デジポリス」が選ばれた。

Q.「デジポリス」には痴漢撃退以外にも機能がある?
 まず、「駆け込み場所」を地図上で把握できる機能がある。ホーム画面から地図情報を開いていただくと、「コンビニ」と「警察署と交番」を選ぶことができる。また、「ルート」を押すと、自分が今いるところから近い交番までのルートを示してくれる。行ったことがない場所でも、犯罪に巻き込まれてしまった時に「どこに行けばいいか」がすぐにわかる。

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 また、これも4月8日にアップデートで追加されたものだが、「ココ通知」という機能がある。これはアプリを持っている人同士でメンバーを追加しておくことで、自分が今いる場所を地図上で共有することができる。例えば、親と子ども、お父さんとお母さんと子ども、といったように家族で設定しておくと、お子さんは自分の場所を説明できなかったりするので、どこにいるかをすぐに知ることができる。

 そして、お子さんにもう1つ便利なのが「防犯ブザー」機能。これはシンプルで、画面を押せば防犯ブザーの音が鳴る。

Q.警視庁としてはこのアプリを広めていこうとしている?
 現在、このアプリは約48万ダウンロードされていて、ある程度広まっているという認識のようだ。お子さんや女性のほか、特殊詐欺の発生状況も見られるので高齢の方など、多様な方が使える機能が入っている。「多様な方に利用してほしい」と、警視庁の担当者は話している。

「防犯アプリ Digi Police」は警視庁のホームページからダウンロード可能だ。

ABEMA NEWSより)

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