「故郷では簡単に人が殺される。危険なんだ」 アメリカ国境で“足止め”される移民、避難所生活を余儀なくされている家族が望むこと
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 トランプ前政権の下、新型コロナ対策を理由にメキシコとの国境が閉鎖されて2年となる。政権交代や感染状況の改善を受け、移民の受け入れを再開する動きも出てきているが、国境の街では今もなお、アメリカへの入国を望む多くの人たちが足止めされている。

【映像】国境の避難所を取材

 アメリカとの国境の街、メキシコ・ティフアナ。その中でも特に貧しい、山あいに設けられた避難所。治安悪化などで、故郷を離れた1200人が暮らしている。このうち、400人が幼い子どもたちだ。電気はほとんど通っていないため、洗濯は手洗い。交代で使う調理場にガスはない。

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 子ども2人を連れエルサルバドルから逃げて来た母親は、「命の危険を感じるほど、犯罪が横行しています。国境の再開を待ち続けます。早く再開して欲しいです」と訴える。この避難所に到着して7カ月が経つという。

 たまたま同じ国、ホンジュラスから避難してきた、デイビッドとアラン、7歳。「故郷はホンジュラスなんだけど、北に北に避難してきたんだ。ここまで逃げて来た理由は…、ホンジュラスを離れた理由は…」と言いよどむアランに対し、デイビッドは「故郷では簡単に人が殺される。暮らせないくらい危険なんだ。治安が悪すぎるんだ」と話す。

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 2人が寝泊まりするのは、元々教会の集会所。貴重な電気を無駄にしないため、中は真っ暗だ。一時的な避難所のはずが、国境の閉鎖とともにベッドの空きはなくなった。

 3人兄弟のデイビッドは、両親とここで11カ月暮らしている。デイビッドの母親は「これ以上、避難所で暮らし続けるのは厳しいです。私は妊娠していて、子どもたちも3人いるので。お腹の中の赤ちゃんは5カ月です」と明かす。

 グアテマラとメキシコの国境に半年いた後、この避難所に来たというデイビッドの家族。「ホンジュラスとエルサルバドルの麻薬カルテルの抗争が本当に酷いです。母のいるアメリカで子どもたちを学校に行かせてあげたいです。私は家族のために働きたいです。(国境が2年閉鎖され)とても悲しいです。『アメリカへ行きたい、学校へ行きたい』、子どもたちはいつもそう話しています」とデイビッドの母親。

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 故郷から逃れ、まもなく1年半。アメリカに望むこととは。

 「子どもたちや家族が幸せになるため、早く避難所から出たいです。早くアメリカへ逃げて、10年ぶりに母に会いたいです。それ以外に何も望みません。ホンジュラスの治安がよくなったら、いつか家族全員で故郷に帰りたいです」

ABEMA NEWSより)

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