TVアニメ「かぐや様は告らせたい」(以下、「かぐや様」)で、それまでモブキャラのような扱いだったのが、第3期から急に活躍するようになったキャラクターがいる。その名は四条眞紀。主人公の1人・四宮かぐやに匹敵する天才でありながら、失恋を引きずってもう1人の主人公・白銀御行たちに慰められる可哀そうなお嬢様だ。
そんな眞紀が登場する「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」は、赤坂アカ(あかさか あか)先生が「週刊ヤングジャンプ」に連載中の同名漫画のTVアニメ第3期。原作コミックスはシリーズ累計部数1800万部を突破している人気作でアニメの評価も高く、キレのいいギャグやキャラクターの声を担当する声優の演技などで好評を博している。
そこでこの記事では、本作の声優陣の中から眞紀の声を演じている市ノ瀬加那さんと、かぐや役の古賀葵さんのお2人にインタビューを実施。ライバル的な関係にあるかぐやと眞紀を通して、お互いの演技のどこに注目しているかについて話を聞かせていただいた。
――古賀さんと市ノ瀬さんは、「かぐや様」の収録で掛け合いをしたのは第3期が初めてだと思いますが、これまでの収録で「スゴイ!」「大変そう!」など、お互いの演技で印象に残っているものはありますか?
古賀葵さん(以下、古賀):そうですね、眞紀ちゃんとはずっと掛け合いをするのを待望していました(笑)。第1期、第2期はスポットが当たるということがそんなになかった子ですけど、でもやっぱり眞紀ちゃんファンは原作を読んでいる方の中にたくさんいらっしゃいますし、第3期あたりからは本当に大事なシーンにすごく出てくるので、「どんな風になるんだろう」とすごくドキドキワクワクしながら見ていました。
大変そうだなと思ったのは、やっぱり掛け合いがすごく早いじゃないですか。セリフも大量にあるんですよね。「ここに入るの!?」っていうくらい、まくし立てていかないと入らないみたいなところがあって、その辺りは滅茶苦茶力を入れているなと、アフレコを見ながら思っていました。あと、かぐやと眞紀ちゃんは会長が言っていたようにちょっと似ている部分があったりするんですけど、似ているけどちゃんと違う人、というところを表現してくださっていたので、とても愛していらっしゃるんだなと感じました。
それと、かぐやとか眞紀ちゃんは育ちが良いので一般では使わないような言葉遣いをするんですよ(笑)。だから、私もかぐやを演じる上で「この言い回し、なかなかしないから口が回らないよ!」ということがよくあるんですけど、眞紀ちゃんにもそういうところがあったりしたのかなと。共感してくれる人ができたのかと思うと、ちょっと嬉しい気持ちもありました(笑)。
――市ノ瀬さん、実際その辺りはどうでしたか?
市ノ瀬加那さん:そうですね、セリフの量もそうなんですけど、眞紀ちゃんは感情の起伏がコロコロ変わる子で、目まぐるしく常に心が動いていなきゃいけないんです。家でチェックしてるときにも感じましたが、ツンになっているかと思ったら急にダークモードに入ったり、声の変化とかも瞬時につけないといけなかったりで、そこは大変でもあり、演じていて楽しかった部分でもありましたね。
コミカルな表情のときとかは本当にかわいく、声もそれに合わせてコミカル調にしたりとかして。感情の流れをしっかり把握してからじゃないと現場に挑めないなと思ってお家でしっかり練習していました。
そこが古賀さんは本当に安定しているというか、かぐやとしてしっかりハマっているなと思っていて。私……古賀さんと収録で一緒になったのが第5話で、隣のマイクに入ったんですけど、そのときにすごく印象的だったのが、かぐやの「会長にまた女友達が増えてる!」ってセリフの言い回しでした。文章だと語尾が普通に「!」マークだけなんですけど、「増えてるーっ!」って伸ばしていて、「そう来るんだ!」って思いました。
そこが今でも耳に残っているくらい言い回しが素敵だなって思っています。かぐやはモノローグが多く、取り繕うシーンもいろいろあって、そういう面ではやっぱり感情の起伏がお互いコロコロ変わるから、より演じ甲斐があるんだろうなって思いました。
――かぐやも急に声が低くなったりするシーンも多いですし、そういう意味でも似ていますね、かぐやと眞紀は。
古賀:そうですね、台本を見るたびに「ここはどうしよう。よし、こうしよう」みたいな感じですし。毎回台本が挑戦状に見える作品ですね、「かぐや様」は(笑)。
アニメを観ていると軽快に演じているように思えるが、やはりその裏では大変な苦労をしているのが声優さんたち。普段しない言い回しや、感情の起伏についていかないといけないところなど、「かぐや様」の声優陣にも相応の苦労があることがうかがえた。
TVアニメ第3期「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」視聴時には、そんなお2人の努力の跡に注意して聞いてみるのもいいかもしれない。
(C)赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会