ウクライナ侵攻から100日超「これからも関心を持ち続けて」現地記者の思い
【映像】国旗と共に…ウクライナ兵士たちの墓(2:33ごろ〜)
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 ロシアのウクライナ侵攻開始から100日以上が経った。ウクライナ政府の発表によると、兵士の死者は1万人に上り、先行きが見えない状況が続いている。

【映像】戦争で両足を切断…ベッドに横たわるウクライナの少女(7:50ごろ〜)

 また、国連機関などの推計では市民およそ4000人が犠牲になっていて、負傷した市民の数も同じく4000人を超えているという。その中には子どもたちも含まれている。

 東部クラマトルスクの駅でけがした少女・ヤナさんは、両足を切断した。ロシア軍から攻撃を受けたとみられている。ウクライナ国内では治療ができず、渡米して治療を受ける話も出ているが、ヤナさんと家族の希望としては「ウクライナに残って治療を受けたい」という。なぜなら「お父さん」がウクライナ国内にいるからだ。

 「できるだけ(お父さんの)近くにいたい」と話すヤナさん。国際的な支援が民間レベルでも必要になっている。西部リビウを取材中のテレビ朝日・松本健吾記者は「市内の2〜3割が国内避難民と言われている」と話す。

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「東部からリビウに来ている人たちが、戻れるめどは立っていません。リビウ市内は比較的物資も安定して供給されていて、通常通りの生活を送れています。ただ、例えばタクシーに乗ると、その運転手の多くは東部や南部から避難して来た人です。ここで新たな生活を始める人も出始めています。避難民用の仮設住宅などもあり、中長期的な滞在も可能です。きのう、リビウ駅も見に行きましたが、4月と比べて避難している人の姿はだいぶ少なくなっていました」(以下、松本記者)

 首都キーウや東部ハルキウで「ウクライナ軍がロシア軍を押し返した」といった情報もあり、少しずつ避難民が戻り始めているリビウ。一方でUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、ウクライナの国外避難者は700万人を超えている。中でも最も避難民を受け入れている隣国・ポーランドへはおよそ370万人が避難していたが、その4割近くが今ウクライナへ戻っている。なぜなのだろうか。

「西部やキーウが落ち着いたこともありますが、ウクライナ避難民の方から『ポーランドでは生きづらさがあった』と話を聞きました。現地では、言葉が通じないことに加えて、一時避難所も続々と閉鎖されています。公共サービスの一部有料化や、補助金の削減など、ポーランド政府からの支援も一部で減りだしています。つまり、“一時的に避難したい人”にとっては、ポーランドはいづらくなっているんです。本格的にポーランドへ移住する、仕事を探す人にとっては、もちろんポーランド政府も支援の手を差し伸べています。しかし、多くのウクライナ避難民は、夫や家族をウクライナに残していることから『いつかは国に帰りたい』と考えています。そこのギャップから、ウクライナへの帰国を余儀なくされている人もいると思われます」

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 長期化しているウクライナ侵攻。今後の展望について、松本記者は「現時点で停戦の気配は全くない」と語る。

「今、ロシア軍は東部掌握に力を入れています。一時期は南部からモルドバにかけてまで侵攻して回廊を設置すると息巻いていましたが、現実路線に切り替えました。セベルドネツクの攻防も佳境に入っていますが、ルハンシク州をすべて手中に抑えたとしても、その次はドネツク州となって、まだまだ完全掌握には時間がかかるでしょう。へルソンなどを一方的に併合する動きを見せ、ロシア化を進めていますが、一部ではパルチザン化した市民らが抵抗運動を始め、ウクライナ軍が一部地域を奪還しています。現時点で、停戦の気配は全く見えません。長期化の一途をたどっていると言えるでしょう」

 およそ2カ月、現地で取材を続けてきた松本記者。「少しずつウクライナ侵攻に関する情報が少なくなってきているように見える」とした上で「私たちも伝え続けないといけないし、人々にこの問題について関心を持ち続けてほしい。今はインターネットなどを通して自分たちで情報を手に入れることができるから、今もウクライナで苦しんでいる人がいることを知ってほしい」と話している。

ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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