転職活動者向けに行われるセミナーやスクール。スキルアップだけでなく、面接対策や自己分析、経歴書の書き方など、転職活動のノウハウを教えるセミナーも存在している。
【映像】自己投資に500万円を費やした男性に聞く、転職に必要な“スキル”
一方、ネットには「知ってる情報ばかり…電車賃返して欲しい」「もっとその先の細かいノウハウを教えて欲しかった」「業界のことを知れると期待して行ったらトークゲストの企業紹介でガッカリ」といった声も。
実際のところ、セミナーやスクールはどこまで役に立つのか、そこで得ることができるスキルとは。『ABEMA Prime』は自己投資に500万円以上を費やした男性に話を聞いた。
■500万円のうち役に立った・役に立たなかった投資とは
これまでに転職を7回経験し、多くのスクールやセミナー、オンラインサロンなどに500万円以上の自己投資をしてきたトシさん(40)。経緯について、「27歳の時に転職活動をしようとしたがうまくいかなかった。その時に感じたのが、“全く市場価値がないな”ということ。何か自己投資をして、自分のスキルを上げていかなくてはいけないと思ったのがきっかけだ」と話す。
自己投資の内容は、ビジネススクール(経営学修士etc.)に約360万円、オンラインスクール(プログラミング、論理的思考etc.)に約70万円、オンラインサロン(マーケティング、ビジネス系etc.)に約30万円、起業塾(ビジネススキームetc.)に約80万円、有料コンテンツ(動画編集etc.)に約15万円など、多岐にわたる。
その中で何が転職に役立ったのか。「ビジネススクールでマーケティング戦略を学んだこと。当時、ウェブマーケティングがあまり活用されていなかったのもあって、自分で会社に提案して“やりましょう”と実行していた。その時、今の会社だとこれ以上はできないなと思って、さらに深掘りするためにその専門領域の会社に転職できたというところで役に立った」という。
一方、役に立たなかった自己投資には、プログラミングスクールや動画編集スキルのためのコンテンツといったものが並ぶ。米・イェール大学助教授で半熟仮想代表の成田悠輔氏は「役に立ったスキルはフワッともので、役に立たなかった側の方が具体的でしっかりしたスキルだという感じがするが、その点はどうか」と疑問を呈する。
トシさんは「プログラミングや動画編集はわかりやすいスキルだが、“転職においては活かせなかった”というのが正しいと思う。ロジカルシンキングはビジネスにおいて基本的なスキルではある。結局、仕事においても転職活動においても、自分のストーリーや転職理由を作る、簡潔に相手に伝えるというところは、思考法を身につけることで実現することができたと思う」と答えた。
慶応義塾大学名誉教授でパソナグループ会長を務める竹中平蔵氏は「いろいろなことを体系的に勉強するのがすごく大事だと思う。転職は相手に良い印象を与えてその場で採用されればいいという話ではなく、そこで活躍できるかどうかが重要だ。そういう意味では、ビジネススクールで体系的に物事を考えるのは重要だと思う。あと、私は若い頃に税理士の資格勉強をしたことがある。日本の資格試験はすごく体系的になっていて、問題集もたくさん出ているし、それをやるといろいろな仕組みが頭の中に入ってくる。直接的なスキルではないにしても、物事を考える中で絶対に役に立ってくるので、資格はうまく利用できればすごくいいものだと思う」との考えを述べた。
■独学ではなくセミナーやスクールに行く“メリット”は
では、そういったスキルや資格は独学で身につけられないのか。セミナーやスクールに行くメリットはどこにあるのか。
トシさんは「独学でもできないことはないと思うが、わかっている人や知っている人に教えてもらう方が、“最短距離”というか、遠回りにはならないと思う」と話す。
女性向けのキャリアスクール事業を展開するSHE代表取締役の福田恵里氏は「自分で取捨選択ができなかったり、ある程度の決まったお金や時間をコミットしないと、打ち込む熱が上がらない。“お金を無駄にしたくない”という良い意味でのプレッシャーがかかって勉強のモチベーションが続くことは、うちのスクールに通っている人たちを見ていてもある」と説明。
一方で、自己投資には順番を踏まえてお金をかけるべきだとし、「今後自分が何を軸にして生きたいかや、何に向いてるのかを知る勉強としては、ますはYouTubeなど無料のものをつまみ食いしてみる。それで“これが自分には向いていそうだ”というのを確かめた上で、お金をかけた投資をしていくのがいいと思う」との見解を述べた。
■最終的に行き着いたスキルは……“筋肉”!?
さまざまな自己投資を行ってきたトシさんだが、たどり着いた“転職に必要なスキル”があるという。
「これまでいろんなスクールに通ったが、それとは別に、自分の体に向き合うためにダイエットや筋トレをしていて、そこで自己効力感は上がるかなと思っている。ある意味、自分を騙すではないが、“俺はイケるぞ”と思えた」
ジム通いで筋トレするトシさんは、見事に鍛え抜かれたシックスパックの持ち主。転職活動では見た目を突っ込まれて話が盛り上がったり、働く中では、同じジムに通う社長と仲良くなったことで自身の考えを知ってもらう機会ができ、社内で飛び級昇進も実現したりしたという。
トシさんは「筋トレやダイエットは自己管理が全てだと思っている。ダイエットで目標を達成するためには、スケジュール感などを逆算して設定しないといけない。また、小さな成功体験というところで、目標達成力も上がる。食事管理などいろいろなことを含めてタスク管理と言い換えているが、それは転職活動をする上でも、自分をコントロールして時間をどう作るのかというのは、非常に役立つのかなと思っている」と述べた。(『ABEMA Prime』より)
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