バイオリンを趣味にしていたくらいなら、裏声だってお手の物?将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Dリーグ第3試合、チーム康光とチーム稲葉の対戦が7月2日に放送された。チーム康光のリーダー佐藤康光九段(52)といえば、日本将棋連盟の会長にして順位戦A級と現役バリバリのトップ棋士。さらにゴルフにバイオリンなど、多彩な趣味を持っている。するとこの試合中、仲間の対局を見ながら「あー、まずい」とファルセット(裏声)で悲鳴をあげる珍手を披露。ファンも予想外の声色に「おじさんの裏声すこ」「高いー」と反応することになった。
組織の長として日々奔走し、盤に向かっても自由奔放な指し回しで相手を驚かせる。どこまでも活動的な佐藤九段だが、若い頃から趣味としているのがバイオリンだ。これまでにも各種メディアで腕前を披露したこともあり、多才さは証明済みだ。普段話す声は渋い低音ながらしっかりと届く。これもまた佐藤九段の魅力になっているが、そこで裏芸ならぬ裏声が使いこなせるというのは、なかなか耳慣れない情報だ。
スコア0-4と追い詰められた第5局。郷田真隆九段(51)が出口若武六段(27)と対戦中、終盤に苦しくなる手順を発見してしまった。一緒に観戦していた先崎学九段(52)との会話はこんな感じだ。
佐藤九段・先崎九段 ほー!
先崎九段 こんな手、あるの?
佐藤九段 まずいよ、これ。
先崎九段 桂馬があるのか。やばいじゃん。
佐藤九段 いやでも、これ、飛車取られちゃうよ。(ここから裏声)あー、まずい!
将棋の駒でもないが、きれいに裏返した声が会議室に響いたとおり、戦況はますます苦しくなり、90手で郷田九段が投了。チーム康光はスコア0-5のストレート負けが決まった。もちろん試合結果としては残念の一言に尽きるが、ファンからはこの聞き慣れない裏声を聞けた貴重さからか「会長www」「あーーまずいーー 声が高い」と、楽しんだ様子を多く見られていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)