総務省消防庁によると、今月3日までの1週間に熱中症により救急搬送された人が全国で1万4353人に上ったという。昨年の同じ時期(1402人だった)と比べ、実に10倍以上。もはやエアコンは生活に不可欠だ。
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一方、パナソニックが20〜60代を対象に行った調査によれば、「我慢できる時は消す」と回答した人が約3割、「ほぼ使わない・使わない」を合わせると4割を超えている。
Twitterに「俺なら40度でも耐えられるぞ」と投稿している大阪府在住のKAZUTOさん(25)も、その一人だ。借金苦と、収入源が動画配信であることから、エアコンのスイッチを落として電気料金を節約せざるを得ないと考えている。
「もちろん涼しいところにいたいのが本音だが、今ちょっと生活的に厳しい状態なので、どこを削るかと考えたときにはエアコンになる。耐えられるのであれば、そこで耐えていこうかなと。エアコンが家にない北海道出身で、涼しさをどう確保するかという術は知っている。適度な水分補給と、窓を開けて風通しを良くすること。そして寝る時は保冷枕や、冷たいものを常に首に巻いたりして暑くならないように過ごしていた。そうやって今年も我慢していたが、動画配信をしていると、さすがにパソコンが悲鳴を上げてきた。仕方ないなということで、今月に入ってからはエアコンを付けている」。
訪問診療を中心に、数多くの熱中症患者の診察を行う「ひなた在宅クリニック山王病院」院長の田代和馬医師は次のように話す。
「こういった方が結果として熱中症になってしまって病院に運ばれてきたり、我々が往診したりというケースが多い。“我慢”という言葉が出たが、それは基本的には避け、適度な環境に部屋を変えてあげた方がいい。ただし、KAZUTOさんがおっしゃった換気を良くするというのは非常に重要なキーワードだ。日本では湿度の高さも熱中症リスクになる。それを親に教えられていた、ということが命を守ってくれたのかなと思う。一方で、エアコンを使わないことで熱中症を起こした方に話を聞いてみると、“節約”という理由を近年なかったぐらい耳にする。その意味では、コストを少しでも下げられるような施策が求められるのかもしれない」。
宮城県在住のジュンさん(50)さんの場合、フィルターの清掃や試運転も済ませているというが、全く使っていないという。理由は「筋トレ」「ランニング」だ。
「こういう暑い中でトレーニングしたりランニングしたりしていると、どんどん慣れてきて、全身で汗をかくようになれる。自分の中では暑さ対策ができているなと思っている、逆にクーラーを付けることで、昔“クーラー病”と言っていたような体調不良が出てきて、外出やトレーニングができなくなってしまう。もちろん、エアコンで室温と湿度とバランスがうまく取れれば、筋トレの効率もよくなるとは思っている。また、宮城県では東日本大震災があった。あのときは寒い季節だったが、明日また来る可能性もある。その時に停電でクーラーが使えなくなってバテてしまっても困るので、水の準備やエアコンが効いている避難先を調べておくとか、そういう対策はするつもりだ」。
田代医師は「暑さに身体を馴らす“暑熱順化”だが、それがどれほど身を守ってくれるかは未だクリアカットに示されていないところがある。また、消防隊のように、プロが管理して行うものでもある。ジュンさんの場合は非常にうまくできているだろうとは思うが、やはりリスクもあるし、過信すべきではない。とはいえ、短時間のうちに急激な温度変化に身をさらすと自律神経のバランスが破綻してしまう可能性も出てくる。極端に冷たくするのではなく、適切な温度あるいは湿度管理をしていくためのアイテムというふうにクーラーを位置づけることが大切だなと思う」と話した。
「6月下旬は例年にないくらい往診した」話す田代医師。熱中症の恐ろしさについて、改めて警鐘を鳴らした。
「例えば熱で体がやられてしまい臓器が障害を起こしてしまう多臓器不全、あるいは寝たきりになる時間が長くなると同じ部分に圧がかかって筋肉が溶けてしまう横紋筋融解症、さらには不整脈による突然死が起きるなど、医者泣かせ、患者さん泣かせの非常に怖い病気だ。初期症状はボーッとするような症状なので、“ちょっと疲れてるから寝ようかな”と眠ったところ、目を覚まさずに家族がとんでもない状況で発見するといったケースもある」。(『ABEMA Prime』より)
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