観客の笑い声と拍手を「AI」が計測して数値化した“笑いの量”だけでナンバー1を決める『笑ラウドネスGP』。昨年、「プラス・マイナス」が驚異の99.45点(100点満点中)を獲得し優勝した話題のコンテストが『笑ラウドネスGP 2022』となって、7月17日21時より配信された。
ジャンル、芸歴、芸風不問のこのコンテスト。若手芸人からベテラン、実力派まで個性豊かな15組が「より多くの笑い声」を得る為にバトルする。番組の注目ポイントから、昨今のお笑い事情までMCの今田耕司に話を聞いた。
――収録お疲れ様でした! 総合司会を務められていかがでしたか?
お客さんの反応がすごく良くて楽しかったです。スタジオで100人の前で収録するというのが、2~3年ぶりだったので、やっぱり良いですね。他にもネタ番組のMCをさせていただくこともありますが、お客さん20人とか、人数を絞っての収録がほとんどなので。たくさんの方の前でお笑いをやる幸せを感じましたね。
――私も収録の様子を見させていただきましたが、本当に笑いと幸せがあふれていましたよね。
「笑いたい」という気持ちがひしひしと伝わってきて。テレビの前で楽しむのも良いですけれど、舞台で、生でっていうのはやっぱり違いますよね。やっぱりネタってお客さん込みですからね。お客さんと相性合わない時は同じネタでもアレ?っていう印象になっちゃうんで。今日のお客さんにはみんなハマっていて、「オッパショ石」なんかは「今までで一番ウケました」って言っていました。
――『笑ラウドネスGP』は、「AIが笑いの量を判定する」大会ですが、今田さんはこのシステムについてどう思われますか?
最初は「AIが判断ってどういう感じなんやろう」って思ったんですけど、実際に自分がMCをやってみて感じた笑いの量とズレが無くて面白かったですね。審査員や番組の判断では無くて「とにかくウケている人が勝つ」というのは画期的なお笑いコンテストだと思います。「この人にとって何がツボ」とか無いですもんね、とにかく笑い声の量という!
――収録で印象に残っていることはありますか?
流れがすごかったですね。「このまま1位を守るのかな」と思っていた前半から、後半で色々な展開とドラマがあって。ジャンルも芸風も芸歴もバラバラなので、芸歴が浅い芸人が優勝しても、ベテランが優勝しても夢がある。どんなジャンルでも、どんな事をしても良いから、他のコンテストではなかなか決勝まで残れない芸人にもチャンスがあることが素晴らしいと思います。「M-1」で錦鯉が優勝して勇気づけられた人ってたくさんいると思いますけど、腐らずにやっていればいつか良いことがあるんだというね。
「お金よりも優勝が欲しい」今田耕司が感じる最近の賞レース事情
――今までご存じなくて気になった芸人さん、若手の芸人さんはいましたか?
知らなくて面白い子がたくさんいましたね。吉本の若手は知っているんですけど、「青色1号」なんて、すごくレベルの高いコントで。こんなに面白いのに、まだ「キングオブコント」とかまだ出ていないんだ!って驚きました。「オフローズ」とか若手を知れて嬉しかったですね。
あとは「ななまがり」も好きなので面白かったです。ヴィジュアル除外で(笑)、ネタが本当に面白いのでもっと売れて欲しいですね。「ジグザグジギー」も良かったし、そこらへんのネタを見ていると、キャリアも大切だなって思いました。「わらふぢなるお」も。どの組が優勝しても分からないくらい笑いました。番組としては最高の展開になったのではないかと思います。
――吉本の若手芸人さんは日頃からよくチェックしているのでしょうか?
劇場も出ていますので見る機会は多いですね。でも今は、トップバッターから超売れっ子の芸人が出てくるので、ルミネもNGKも昔と全然違いますね。吉本も改めて劇場に力を入れている部分もあると思います。劇場から人気になってくる芸人、最近だと「大宮セブン」なんかも出てきて。
――今田さんのMCがさらに番組を盛り上げていて、ネタも取り入れた切り返しなどさすがでした!
いえいえ、とんでもない!やっぱり楽しいですね。ああいうやりとりがお笑い番組の醍醐味だと思うので。「M-1」も「笑ラウドネスGP」も、もちろん緊張感はありますが、「笑ラウドネスGP」は楽しい雰囲気が良いですよね。僕もお客さんと一緒になって楽しめたので。「虹の黄昏」の様な個性的なコンビが出る大会ってABEMAならではだなと思ったり。
――お笑いコンテストのMCとして心がけていることはありますか?
出場者にとっては自分の勝負ですけれど、MCというのは番組作りの一員だと思っているので。出演者、スタッフと一緒になって、2時間3時間面白い番組を作りたいという想いが強いです。
――今の芸人さんにとって“賞レース”とはどんな存在だと思いますか?
今、芸人の人数もすごく多いですしね。「お金よりも優勝が欲しい」という気持ちで賞レースに挑んでいる。一つ自分の看板になるもの、名刺がわりになるものをみんなが求めている感じがします。昔は芸人も少なくて、出る方がコンテストを選ぶ様な所がありましたから。「審査員になんて判断されたくないわ」とか「出たないわ〜」とか言っている人もいたくらいですから。
――今回、「スーパーマラドーナ」が見事優勝しました!今田さんはもともとご交流があるのでしょうか?
会場でも「一番ウケてるな」と感じたので納得の優勝ですよね。大阪で飲みに行ったりすることもあって、とにかく笑いにかける想いが強い男なので、この大会での優勝が今後の励みになってくれたらと思います。彼らは他の出場者の中ではベテランの方ですけれど、挑戦するということは、キャリアとか関係無いので。「売れたい」とか「人気者になりたい」というのは、自分で納得いっていないのだったら何歳になっても追いかけて良いものですからね。
――収録後、何かお話をしましたか?
武智に今度こそ不祥事は気をつけてね、と(笑)。また時間を合わせて飲みに行きたいなと思います。飲ませすぎないように!
――最後に視聴者の皆様にメッセージをお願いします。
本当に線引きの無いジャンルレスのお笑いで、審査員が判断しないAIによって勝敗が決まるコンテストです。誰が優勝するか最後まで分からないですし、そして優勝した芸人はやっぱり納得の面白さです。ドラマもたくさん生まれているので、ぜひ楽しみにしてください!
取材・文:中村梢