「安倍元総理よりももっと濃密に付き合っている政治家もいる」旧統一教会と政治の関わり、背景に選挙運動か
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 安倍元総理への銃撃事件で、山上徹也容疑者の供述が明らかになるにつれて注目を集めている「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)。教祖がマッチングした男女が集団で結婚式を挙げる「合同結婚式」、高価な印鑑や数珠などを売りつける、いわゆる「霊感商法」、そして多額の寄付をめぐるトラブルが過去にも報じられてきた宗教法人だ。 

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 他方、安倍元総理をはじめとした、政治家との関係も取り沙汰されており、12日に会見を開いた全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士は「今回の選挙でも、あるいはその前の選挙でも、特定の自民党の候補者を組織推薦候補として応援をしてきたことを事実として認識している」とした上で、安倍元総理やほかの政治家に対し、旧統一教会にエールを送るような行為に配慮するよう、再三にわたり求めていたことを明らかにした。

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 一方、世界平和統一家庭連合の田中富広会長は11日の記者会見で「私たちの友好団体(UPF=天宙平和連合)が主催する行事に安倍元首相がメッセージ等を送られたことはある」「関係がいつ頃からからなのかは友好団体に聞いていただくしかない」と主張している。

■信者なら文句も言わずにタダで働いてくれる

 2年前に『安倍政権と統一教会、その蜜月を検証する』という記事を掲載したこともある季刊『宗教問題』の小川寛大編集長は「弁護士さんたちの主張に分があると思う」と話す。

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 「創価学会の関係者に公明党との関係を尋ねてみると、“あれは別の団体で、支持しているだけだ”という説明をされるだろうが、多くの日本人は公明党が創価学会の政治部門だと思っているのではないか。やはり日本においては政教分離の規定もあるので、宗教団体がそのまま政治的な活動をするのは難しい面がある。そこで友好団体、支持団体、ダミー団体など呼び方は様々だが、宗教団体と直結した団体を作り、別の組織だと主張して政治的な活動をする。これは旧統一教会に限らず、様々な宗教団体がやってきたことだ。

 今は創価学会以外、独自の力で政治家を当選させられるような宗教団体は日本には存在しないと言っていい。それでも政治家としては一票でも多く欲しいものなので、というところがある。それから、個の時代、政治離れもあり、業界団体が内部から選挙運動のボランティアを集めにくくなってきた。その点、宗教団体の信者なら、文句も言わずにタダで働いてくれる。そういうメリットから、名前は出さないが、安倍元総理よりももっと濃密に旧統一教会と付き合っている政治家もいる。

 そして共産主義に“宗教はアヘンだ”と批判した言葉があるように、宗教というのは基本的には“右っぽい”。アメリカでも連邦最高裁が人工妊娠中絶の合憲性を認めない判断を示したが、これもバックにはトランプ前大統領を支持していたキリスト教右派と呼ばれる勢力の存在があるからだ。旧統一教会も“家庭連合”と名乗っているように、サザエさんに出てくるような、昔ながらの地域・家族の共同体にこだわる傾向がある。その表れとして、旧統一教会にいい顔をしたい政治家から、LGBTに対して差別的な発言が出てきてしまうということがある」(小川氏)。

■安倍元総理にも“脇の甘さ”があったのではないか

 他方、小川氏は安倍元総理個人と元統一教会との関係については次のような見方を示す。

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 「これは安倍元総理個人の問題というよりも、お祖父さんの岸信介元総理、お父さんの安倍晋太郎元外務大臣と、3代にわたって何らかの関係があったことが背景にあると思う。ソ連があった時代、西側営の国として共産主義にどう対応していくかということが非常に重要な政治的テーマだった。旧統一教会は韓国で生まれたが、隣国には北朝鮮もあり、基本的には“共産主義をやっつけよう”と主張してきた。そこに岸元総理、安倍元外務大臣、という流れがあったということだ。実際、岸元総理の時代の関係がかなり濃かったということは様々な資料が証明している。

 そして安倍元総理という人は、日本会議も含め、宗教も絡んだ団体と広く交際のあった人だったと思う。仕事で様々な宗教団体に行くが、よく祝電・祝辞を贈っていたし、ある団体には“自民党総裁・安倍晋三”と書かれた立派な花が置いてあった。“これは何か”と訊いたら、“仲良しだから”と言う。旧統一教会と安倍元総理個人がどこまで濃密な関係にあったのかは分からないが、“ズブズブ”では無かったにせよ、家庭環境や、自民党全体の雰囲気の中で付き合っていたということだったのだろう。

 安倍元総理本人が何かを信仰していたとか、カルト的な人だったとか、そういうことは思わないし、幅広い交流、ネットワークによって力を持つのが大政治家なのかもしれない。しかし今やソ連はなく、2022年の現在において共産主義の問題を理由に霊感商法や献金の問題を抱えてきた団体である旧統一教会と付き合ってきたというのは、死者に鞭打つようで申し訳ないが、いくらか“脇の甘さ”があったのではないか」(小川氏)。

■政教分離に関する議論を進めていくべきではないか

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 「20年から30年前に母親が宗教団体に入会し、多額のお金を振り込んで破産した」とも供述している山上容疑者。ネット上では宗教法人に対する課税や規制に関する議論も始まっている。ただ、所管する末松文部科学大臣は「(介入は)極めて抑制的であるべきだと思っている」と話している。

 小川氏は献金の問題についてこう話す。

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 「献金の強制についても、たしかに“いくら払え”といったことを明文化している宗教団体は聞いたことがない。しかし問題がある宗教団体の中には、教えの中で巧みに“全てを投げ出さなければ地獄に堕ちる”といったことを執拗に説いていると、同調圧力、宗教的熱狂もあって、貯金を切り崩してしまうとか、甚だしきに至っては土地や家屋を売却して寄付してしまうとか、そういうことが起きてくる。

 語弊のある言い方だが、旧統一教会も含め、問題のある教団というのは、そこへの持って行き方が上手い。模倣する方が出てくるので具体的なことは言わないが、“教祖様”が出てきて、ふわっとしたことを語って乗せる、といったものではなく、ターゲティングし、フォーメーションを組んで囲い込む。これも語弊のある言い方だが、“芸術的”な感じすらあって、普通の人が狙われたら、まず逃れるのは無理だ。

 旧統一教会についても、そうした部分について度が過ぎているということは大昔から指摘されてきたし、裁判で負けている事例もあるわけだ。だからこそ、被害者や全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士さんたちも政治家に対して“やめてくれ”という要望を出し続けてきた」(小川氏)。

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 その上で、一般論として「日本の税に関する法律の中で、宗教法人は公益法人等という位置づけになっている。つまり株式会社のようなお金儲けの活動ではなく、同様、世のため人のための活動で、学校法人や社会福祉法人に近い考え方だ。これ自体は先進国と呼ばれている国々も同様で、日本特有だということはない。

 そして日本の政教分離、そして宗教団体のあり方に国が口を挟むことには抑制的であるべし、という態度の大きな土台になっているのは、戦前の国家神道への反省がある。つまり神道が事実上の国教となったことで、それとは異なる発言をした宗教者が弾圧を受けてしまったという経験に基づく原則ということだ。実際、オウム真理教事件の際には、破壊活動防止法の適用についての議論が行われたものの、結局は適用できなかった。それぐらい、戦後の日本の行政は宗教に対して安易に踏み込まないようにしてきた流れがあるのは事実だ。

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 また、日本の公安警察や公安調査庁、自衛隊の情報部門などは旧ソ連にどう対応するかということをやってきた経緯もあり、“左”への警戒感は強い反面、“右っぽい”ところには甘い部分もある。しかし戦争が終わって70年以上が経ち、もはやソ連も存在していない以上、少し意識を変え、議論を進めていく必要があるのかもしれない」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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