「過去にはDVに苦しみ韓国人の夫を殺害、服役した日本人女性も」 旧統一教会の合同結婚式に参加した元信者“私もこれで救われると…”
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 安倍元総理を銃撃した山上容疑者の供述を機に注目を集める世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。14日の『ABEMA Prime』では、元信者の榊あまねさんと、『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』の著書もある北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教社会学)に話を聞いた。

■榊さん「“これで救われる”という脳みそになってしまっていた」

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 榊さんが入会したのは1990年のこと。高校を卒業し、就職して1年ほどが経った頃、渋谷の駅前でアンケートに協力したことで勧誘を受けたことがきっかけだった。
 

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 「最初は“宗教ではなく、若い人たちが社会や人生についてより深く学んでいる団体”というような説明を受けた。センターに通うようになり、やがて泊りがけのセミナーに誘われた。そこから生活の拠点が次第に教団の施設に移っていった。教義の中に“責任分担”という言葉があって、どんな者にも役割が与えられた。たとえば信者の方々のご飯を作ったり、お子さんの面倒をみたり、といったこともあった。

 もともと家庭で虐待を受けており、このまま家にいたら死んでしまうというところまで追い詰められていたので、“渡りに船”ということでなだれ込んで行ってしまった部分があったし、心の奥底では“何か違う”という感じも持っていた。ただ、そういう本音を認めてしまう、あるいは教祖の言うこと、教義を信じていなければ居場所がなくなってしまうと思った」。

 常に収入の10〜15%の献金を出さざるを得ず、加えて「何かに付けて献金を要求されていた」という榊さん。韓国で開かれた女性信者向けのセミナーでは、従軍慰安婦問題など、日本の戦争責任についての教育も受けた。「韓国をこれだけ苦しめてきたのだから清算しなければいけないと、罪悪感を植え付けられた。号泣している方もいた」。

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 そして5年後には、韓国で開催された合同結婚式に参加、初対面の韓国人男性と結婚する。

 「教祖から決められた相手と結婚することが“最大の救い”だと位置づけられていたので、誰もが目指していた。当時は年功序列ではないが、長く教会にいた人から参加していくという感じだった。私の時はウェディングドレス代、結婚指輪代などで140万円を献金した。そして教祖が何百人という信者たちを1カ所に集め、あなたとあなた、という感じで直接マッチングしていった。相手は言葉の通じない韓国人男性だが、“これで救われる”という脳みそになってしまっていた」。

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 費用の完済までアルバイトをしながら韓国と行き来をし、1998年には移住。2人の子どもも授かった。ところが夫のDVに耐えきれず、5年後には日本へ帰国。さらに2011年ごろ、旧統一教会に対するネット上の批判的な情報を目にしたことで密かに抱いてきた“違和感”が押さえられなくなり、旧統一教会をよく知る人物に相談。2013年、脱会を決断した。

■櫻井教授「DVに苦しみ、韓国人の夫を殺害して服役した方もいる」

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 櫻井教授は「確かに“カルト”と呼ばれる宗教団体であっても、居場所や役割を提供している部分はある。旧統一教会の合同結婚式に関しても自由意思のように見える。しかし最終的にその人が幸せになっているかどうか、その結果も確認されるべきだと思う」と指摘する。

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 「旧統一教会はキリスト教に似た教義を持つ新宗教だが、自身のことを“再臨のキリスト”だと言っていた創始者の文鮮明氏(ムン・ソンミョン、1920〜2012)の“ファミリー・ビジネス”的な団体だ。“地上天国を作る”“幸せな家庭を作る”と主張する宗教団体・旧統一教会のほかに企業やメディア、政治団体も持っていて、非常に複雑な企業複合体のような形だ。

 その教義の根本には韓国ナショナリズムがあり、そこにキリスト教的な要素が入っているということだが、日本人が徹底して搾取されるという特徴がある。日本はメシアが生まれた国を植民地支配していたことを懺悔しなきゃいけないし、お金も含めて韓国に捧げつくすという生き方を強いられるという教えがあるからだ。そのため、韓国の信者はあまり献金しなくても済む。
 

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 合同結婚式の参加費についても同様で、やはり日本人に比べて韓国は少なくていい。しかも韓国人男性の場合、信仰が無くても構わない。背景には、“韓国はキリストが生まれた国なので霊的に高い。だから信仰が強くなくても韓国人男性の方が偉く、日本人女性は徹底して侍り尽くさなくてはならない”という教えになっている。だから“結婚相手を見つけたい”という動機で参加する韓国人男性も非常に多い。

 榊さんと同じように韓国に渡った日本人の女性信者は約7000人いるといわれていて、私はそのうち十数人の方に韓国でインタビュー調査を行ったことがある。皆さん大変なご苦労をされている。信仰が冷めてしまい、一緒にいる理由がないと離婚された方、韓国人の夫に情が湧き、子どももいるので韓国に骨を埋めると選択をした方がいる一方、DVに苦しみ、韓国人の夫を殺害して服役した方もいる」。

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 その上で櫻井教授は「日本には宗教法人法というものがあるが、行政が宗教団体を管理・統制するというような法律にはなっていない。戦前、宗教団体法によって宗教を抑圧してしまった反省から、戦後の政治は宗教に関与しない、行政も統制しないということにしたためだ。しかしオウム真理教がそうであったように、宗教法人としてあまりに逸脱的だったり、社会的に問題のある行動をとったりした場合、十分な調査の上で警告を与えたり、場合によっては文化庁の宗教法人審議会が認証を取り消すといったことも可能なはずだ」との見方を示した。

■佐々木俊尚氏「“宗教をタブー視しない”=“宗教を批判する”ではないと思う」

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 榊さんの話を聞いたEXIT兼近大樹は「宗教について番組で話をする日が来るとは思わなかった。小さい頃からタブーというか、話をしてはいけないものだと思い込んでいた」、漫画家のやしろあずき氏は「最近、ある宗教団体の“2世”に関する作品が出せなくなった、という話があったが、僕の場合も、宗教の話をちょっとでも盛り込もうとすると“ちょっとセンシティブなのでやめましょう”と言われちゃう。でも宗教は人類の歴史と共にあったものだし、一括りにしてNGにしたり、仕事ができなくなったりしてしまうのはおかしいと思う」とコメント。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「僕は当時、警視庁捜査一課の担当記者をしていたが、1995年の元日、読売新聞が前年の松本サリン事件について“山梨県上九一色村でサリンの残留物を発見”という大スクープを放ち、そこから地下鉄サリン事件、強制捜査…と一連の衝撃的な展開が始まった。しかしオウムはその数年前には選挙に出馬したり、テレビのバラエティ番組に出ていじられたりしていたし、オウムは危ないものだ、介入すべきだ、という社会の空気も無かった。

 そのことを思い出すと、“宗教をタブー視しない”=“宗教を批判する”ではないと思う。宗教とは何なのか、特に新宗教というのは何をやっていて、何のために存在しているのかということを我々はもっと学ぶべきだし、それなしにエンタメ化するか危険視するかというのは、振れ幅が大きすぎる」。

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 こうした意見に櫻井教授は「宗教をタブー視する必要は全くないし、日本では宗教に触れない、関わらないことがある種“リベラル”であるとか、賢いことだとみなしているが、海外では宗教は生き方やライフスタイル、思想などに関わってくるものだ。他国のことを理解するためには宗教のことを知らなければいけないし、布教を受けたときにどう対応するのか、そういった経験を積んでおいた方が無難だと思っている」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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