経済学者で米イェール大学助教授の成田悠輔氏が16日のABEMA『NewsBAR橋下』にゲスト出演。日本とアメリカの大学の違いについて橋下氏と議論した。
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MCのサバンナ高橋茂雄に「イェール大はアメリカでナンバーワンの大学なのか」と問われた成田氏。「「日本は大学ランキングみたいなものがはっきりしちゃってるけど、アメリカの場合、いい大学が10個くらいあって、ハーバード一強、という感じでもない。例えば東海岸だとハーバード、MIT、イェール、コロンビア、西海岸だとスタンフォード、UCバークレーなどがお互いに競争をしている。それが国としての強さにも繋がっていると思う」と説明する。
橋下氏は「僕は大学が国のエンジンの一つになる、でも日本は弱すぎる、と思っていた。成田さんから見て、アメリカとの決定的な違いや問題点はどこだろうか？」と質問。
成田氏は「例えば東大と慶応が研究者を取り合って血みどろの競争をしているというような話を聞かない。でもアメリカではスポーツ選手のような引き抜き競争があって、給料などの条件交渉をしまくっている。だから給料が人によっても全然違っている。
歴史学や文学のような純粋な人文科学の場合は日本の先生に近いイメージだと思うが、そうでなければ日本の10倍くらいもらっている先生はいるし、大学から出ている給料は1〜2億くらいのステージがマックスだが、起業していて資産が数百億という先生はそこら中にいる。モデルナも、元々はハーバードの先生の技術のスピンオフのベンチャーから始まっている。バイオや製薬、最近だとコンピューターサイエンスの周辺では、先生たちが起業してイグジットするのはごくごく普通のことになりつつある」。
橋下氏は「アメリカのダイナミズムを感じる。大阪でも市立大学と府立大学が教員を引き抜くのに年俸1億円くらいのポジションを作ってくれと言ったが、他の教員とのバランスもあってできなかった。今は市立大、府立大が統合されて、そういうポジションはあるにせよ、１億円まではなってないと思う。それと、日本は大学を所管している文科省の力が強すぎる」。
成田氏は「もちろん重要な研究費は国から降りてくるので影響力はある。ただ、日本にように競争をコントロールし、評価の仕組みをがっつり握り、資源の配分を決めちゃっているということはない。あくまでも評価や競争は大学同士の民間の市場でおこなわれていて、評価もそこで決まっていく。国は民間が供給できないようなところ、あるいは軍事や暗号など、国防上重要な研究を守り育てるようなところにお金をつけるのが役割になっている。
そして、ちょっと前までは“流出する”というと欧米の大学がメインだったと思うが、最近はシンガポール、香港など、アジアの大学も増えてきている。むしろアメリカよりも給与水準が高いし、さらにトップダウンで制度が変えられる中東の国の場合、お雇い外国人をバッと雇って所得税をゼロにして手取りで5000万くらい払って、宿舎はフォーシーズンズのレジデンスにしますとか。そういう、日本では考えられないようなことをやってくる外国とどう戦うかを考えていかないと難しい」。
橋下氏は「そういうところで切磋琢磨している人たちが政治・行政にどんどん意見を言ってくれればいいが、ちょっと待てよ、と言いたくなるような人が多すぎる。大学運営交付金の総額を確保するのに血眼になっているような教員グループじゃダメ。それから法律の分野でいうと、日本の司法は法科大学院がひどすぎるから、アメリカにあっという間にやられちゃうんじゃないかと思っている。淘汰されればいいというわけではないが、ダメなロースクールは閉まりますよ、という競争がもうちょっとないと…」と懸念を示していた。（ABEMA／『NewsBAR橋下』より）
