10日に投開票が行われた参議院選挙。結果として、自民党が単独で改選過半数の63議席を確保し、公明党の13議席を加え与党が大勝した。野党では、日本維新の会が議席数を伸ばしたが、立憲民主党・国民民主党などが改選議席を割り込み、議席を減らした。
テレビ朝日政治部・野党担当の相沢祐樹記者は「去年の衆議院選挙前のような自民党逆風という感じもせず、淡々と選挙戦が進んでいった印象だ」と話す。
「野党第一党である立憲民主党内からは『厳しい結果だ』といった受け止めや『野党惨敗だ』と、野党勢力が受け皿になれなかったことについて、嘆く声もあります」（以下、相沢祐樹記者）
選挙前、負ければ「泉おろし」に発展する可能性も指摘されていた、立憲民主党の泉健太代表。相沢記者は「京都選挙区での『絶対に負けられない戦い』を制したことや、安倍元総理の事件で『自民党に追い風が吹いた』という見方もあり、不満はあれど、泉代表へ辞任を迫るような動きは今のところ見えていません。また、ある所属議員からは『誰が（代表を）やっても負けた』と泉代表を擁護する声も聞きました」という。
泉代表は、お盆前をめどに参院選の総括を行い、党の立て直しを図っていく考えを示している。一方で、与党にも既存の野党にも票を入れたくない人の受け皿になったとみられるのが、参政党やNHK党だ。特にNHK党から出馬し、約28万7000票を集め当選した会社役員でYouTuberの東谷義和氏には、ネットを中心に注目が集まっている。東谷氏の当選について、永田町はどのように受け止めているのだろうか。
「東谷氏の当選には、衝撃が走りました。初当選した人に聞くと『有権者がガーシーさんに投票するのはちょっと想像できないことだ』と話していました。また、ある野党関係者からは『ガーシーさんを国民が選ぶなんて……』と驚きの声も聞こえてきました。とはいえ、東谷氏を選び、国会に押し上げたのは、有権者だということを忘れてはいけないと思います」
過去に詐欺トラブルを起こしている東谷氏は、現在中東ドバイにいるとされ、当選証書は代理でNHK党の立花孝志党首が受け取った。
「東谷氏は『（日本に）もちろん帰りたい、ちゃんと行きたいけど、ここ最近の一連の事件も含めて帰るのは正直怖い。少し様子を見てかな』と話しています。また、立花党首は『不当逮捕のおそれが除去されていないので、ドバイにいるように指示している』と述べていて、東谷氏とは来月面会すると明らかにしています」
東谷氏は、国会にいつ登院するのだろうか。
「立花党首は『どんなに早くても秋の臨時国会。場合によっては帰ってこない』と話しています。これはあくまでも仮定の話ですが、東谷氏さんが正当な理由がなく、召集日から7日以内に召集に応じない場合、参議院議長が懲罰委員会に付す可能性もあります。懲罰は最高で『除名』で、つまり議員バッジを外されます。本会議で出席議員の3分の2以上の多数が議決すれば除名されますが、参議院の担当者に話を聞くと、召集に応じない議員が懲罰を受けた前例は『これまでにない』と言っていました」
国会会期中の国会議員は、検察等の権力から独立性を保ち、弾圧を防ぐことを目的とした「不逮捕特権」という権利を持っている。これによって、両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中に逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、要求があれば、会期中に釈放されなければならない。相沢記者によると「院の外での現行犯逮捕という例外はある」という。
「院が許諾をすれば会期中の逮捕は可能です。この許諾には本会議での議決が必要となります。参院選の出馬表明時には『国会中は逮捕されない。不逮捕特権があるなら、堂々と日本に帰りたい』と話していた東谷氏ですが、会期中だからと言って、100％逮捕されない保証はありません。今後の国会で東谷氏がどのように動くのか。参議院側も読めず、対応に頭を悩ましています」
