25日、全国の新型コロナウイルス新規感染者が12万人を超え、月曜日の過去最多を更新した。感染者数増加の理由として、感染力の強い「BA.5」への置き換わりが理由として挙げられているが、実際に「BA.5」にはどのような特徴があるのだろうか。
【映像】重症化を抑えるコロナ「治療薬」5種の中身(画像あり)※3:50ごろ〜
テレビ朝日・社会部厚生労働省担当の上田健太郎記者は「『BA.5』はこれまで流行していた『BA.2』に比べて、1.3倍ほど速く広がるのではないかとみられている」と話す。
「厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでも、感染の急拡大の大きな要因の1つとして『BA.5』への置き換わりの影響が指摘されています。また、その中で、BA.5はこれまで流行していたBA.2に比べて、1.3倍ほど速く広がるのではないかとされています」(以下、上田記者)
国立感染症研究所によると、BA.5はこれまでの免疫をすり抜ける、免疫逃避の可能性が示唆されている。
「また『BA.5』は、これまでのオミクロン株と比較して『重症度の上昇につながる証拠はみられない』とする一方、動物実験では、病原性が上昇している可能性を示唆する結果もありました。特に免疫不全の人や重症者のウイルス系統については、注意深く監視を継続する必要があります」
「BA.5」に従来のワクチン効果の見込みはないのだろうか。
「これまで感染やワクチンによって、免疫が得られていましたが、海外ではワクチンを接種すると上昇する中和抗体の量が、初期のオミクロン株と比べて3分の1程度だった研究報告も寄せられています。厚労省のアドバイザリーボードでも『BA.5』に対するワクチンの発症予防効果について、これまで第6波”の主流だったオミクロン株の『BA.1』や『BA.2』と比較して『効果は限定的と考えられる』といった報告も上がっています。また『BA.1』や『BA.2』に感染した経験があっても『BA.5』に再感染する可能性があるとされています」
実際に上田記者が取材した都内のある医療機関では「入院患者のうち『BA.5』が8割近くを占める」という。
「『BA.5』は置き換わりが非常に速く、3回ワクチン接種後に感染する患者も多くいるそうです。『BA.5には免疫をすり抜ける能力があるのかもしれない』と現状を話してくれました」
ネットでは「すぐにPCR検査が受けられない」「発熱外来を受診できない……」などの声が寄せられている。今後、ワクチン4回目接種については、全国民が対象になるのだろうか。
「現在、ワクチン4回目接種の対象者は、3回目接種から5カ月以上が経った60歳以上や、18歳以上で基礎疾患がある人などです。また、4回目の接種では感染予防効果が1カ月ほどと短期間しか持続せず、重症化予防効果を期待して上記の人たちに絞った経緯があります。これに加えて、政府は全ての医療従事者および高齢者施設の職員、およそ800万人を対象に4回目接種を拡大する方針を示しています」
その上で上田記者は「接種年齢の引き下げについてはいまのところ海外でも明確なエビデンスがない状況。新たなエビデンスが出たり、オミクロン株の新しい系統に特に効果があるようなワクチンが新たに出てこない限り、接種年齢が引き下がることはないでしょう」とコメント。新型コロナは感染症法で2類相当であり「入院勧告などの強い措置をとることができる」といい5類に引き下げるメリットとして「患者の全数を把握する必要がなくなり、感染拡大時の保健所の負担軽減などが期待できる」といったことが挙げられる。
一方でデメリットは「全額公費負担だったものが、患者は自己負担で検査や診療を受けることになる」「全数把握をしなくなることで、急速に移り変わるコロナの感染状況の正確な把握が難しくなる」「感染拡大時の外出自粛等の要請・入院措置ができなくなる」といったものだ。また、5類に引き下がるデメリットとして「経済的負担(今までは公費)」「急速に移り変わるコロナの感染状況の正確な把握が難しくなる」「感染拡大時の外出自粛等の要請・入院措置ができなくなる」といったことが挙げられる。
先週の会見で松野官房長官は「オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、さらなる変異の可能性もある」と指摘し、「最大限の警戒局面にある現時点で5類に変更することは現実的ではない」と述べ、引き下げについて慎重な考えを示した。
これから本格的な夏休みシーズンに入っていくが、政府は何か感染症が広がらないような対策を打ち出せるのだろうか。
「夏休みを迎え、世代間での交流が増えます。政府は、帰省前などに検査を受けてもらえるよう、全国およそ1万3000カ所の無料検査拠点に加え、主要な駅や空港などで100カ所以上の臨時の無料検査拠点を整備する予定です」