「亡くなっても賛否両論を作り出す“安倍晋三”の巨大さ感じる」“国葬”の是非にイェール大・成田悠輔氏
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 22日、政府は安倍晋三元総理の国葬を9月27日に日本武道館で行うことを閣議決定した。当日は簡素・厳粛に行い、かつ無宗教形式で、岸田総理大臣が葬儀委員長を務めるという。経費は全額国費で負担、予備費で補われる。

【映像】「アベ国葬ダメ」官邸前で行われた激しいデモ(現地の様子)

 岸田総理は、国葬を行う理由として、安倍元総理が憲政史上最長の8年8カ月にわたり総理を務めたこと、経済再生や外交における実績などを挙げている。一方で、総理官邸前では国葬に反対するデモが発生し、今後の動きに注目が集まっている。

 野党からは「もっと丁寧に説明すべき」という声や、国葬に反対の声が上がっている。立憲民主党の泉代表は「岸田政権が拙速に決めてしまったことに、大きな疑問を感じている」と述べ、同党の小西洋之参議院議員は「国会に国葬の法的根拠の説明もないのに、閣議決定は許されない」とツイートし、話題になっている。

 さらに21日、市民団体が「国葬に関する法律はなく、法的根拠が曖昧な中、国会の議決を経ずに国葬を行うことは違法である」として、国葬の閣議決定と予算の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。

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 ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した市民団体「権力犯罪を監視する実行委員会」の岩田薫共同代表は「国葬という根拠が現憲法にない」と述べる。

 米・イェール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏が「そんな議論するような大問題なのか」と投げかけると、立憲民主党・小西洋之参議院議員は「近代立憲史上にも例のないような、憲法破壊が行われている」と断言。「あなたは学者として真剣に議論していないからそういうコメントになるのではないか。答弁拒否の問題など、会議録を読めば分かる。大きな分断を招く」と指摘。これに成田氏は「それなら国葬の是非ではなく、手続きの法的な妥当性について議論すればいいのでは?」と答え、応酬を繰り広げた。

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 成田氏の質問に小西氏は「それもやっている。内閣法制局は内閣設置法の審査資料を使わずに、今回7月14日に『国葬はできる』と言った」と回答。ここで、ジャーナリストの堀潤氏は「市民社会がやるべきことは、国葬の内容の是非について問う議論だ。政権の是非を問う議論を立法府の中でやると、それこそ分断を深めるではないか。それよりもまずは、政府がどれくらいの規模感で考えて、どういう予算組みをしようとしているのか。我々のような有権者は、なかなかタッチができない。その内情を引っ張り出して明らかにして欲しい」と意見を述べた。

 堀氏の要望に小西氏は「第一優先ではないが、同時にはやる」と宣言。二人の議論を聴いていた成田氏は「いくつかのことが同時に組み合わさっていると思う」と指摘する。

「要は、安倍政権の是非に関する議論、それから国葬の手続きの法的な妥当性に関する議論、それからコストに関する議論がある。安倍政権の妥当性の話は大昔から延々とやっている。わざわざそれをまたやって大騒ぎするのか。聞いている側には、そう感じてしまう」

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 続けて、成田氏は「国の予算で1億円、2億円の話をこんなに大騒ぎする必要があるのか」と疑問。「優先順位が根本的に間違っているのでは」と投げかける。

 小西氏は「アベノミクスの失敗の付け回しの岸田インフレによって、年金生活者をはじめ、大変な暮らしの状況にある。そういう方々から見たら、1億〜2億円のお金を、岸田総理は国葬の理由として『日本経済の成功だ』みたいなことを言っている。アベノミクスは日本や世界で悪いインフレになっている」と回答。

 小西氏の答えに成田氏は「全く意味が分からない。インフレ率が数パーセント変わることの影響と、国全体で1億〜2億円の支出を考えると、高齢者の年金暮らしの人が買い物を諦めている問題の方がはるかに重要だ」と話す。

「メディアや政治、市民団体の方々が、何の問題を大騒ぎすべきなのか。優先順位がどのように決まっているのかよく分からない。論点だけを具体的に取り上げた方が、説得力がある。しかし、すぐコスト論や民主主義になっている。いろいろなものを混ぜ合わせて、“国葬の是非”にしても賛成も反対もいる状態は変わらない。なんとなく、野党や市民団体が“安倍晋三さんっぽいもの”を叩きたいんだなという感じがすごくする」

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 その上で、小西氏は「優先順位をつけながら、全ての論点の議論が必要だ。私もコスト論は否定しない。ただ、どれか一つの議論に絞るのは、間違っていると思う」との見解を示した。

 一方で、岩田氏は「僕は司法の判断を仰ぎたい」と回答。「結局これが前例になってしまったらまずいと思う。もし最高裁で『憲法違反』だと出れば、今後、国葬はできなくなる。法律的に非常に問題があると考えているし、きちんとした判断を仰ぎたいと」と述べた。

 成田氏は“ただの感想”とした上で「全体として、これほど亡くなった後も賛否両論と憎しみを作り出す安倍晋三という人の底知れぬ巨大さを感じた」とコメント。安倍総理の国葬は9月27日に日本武道館にて行われる予定だ。(「ABEMA Prime」より)
 

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