7月の参院選で最大野党の立憲民主党を100万票以上も上回る比例票を獲得、ANN世論調査の政党支持率でも自民党に次いで二番手となっている日本維新の会。
7年にわたり党を率いてきた松井一郎代表が来年4月の任期満了をもって大阪市長を退任、同時に政界を引退することを表明していることから、今月27日に初の代表選が行われることになっている。
16日の『ABEMA Prime』に、「私たちは野党第一党の代表を目指している。それは当然、総理を目指すことでもある」という3候補が生出演した。梅村みずほ参院議員、国会議員団政調会長の足立康史・衆院議員からは、戦いを有利に進めているとみられている大阪維新の会の結成メンバーで、現在は共同代表も務める馬場伸幸衆院議員に対し厳しい意見も飛び出した。
■梅村氏「忸怩たる思いだ」
特徴的なのが、代表選の仕組みだ。自民党総裁選などとは異なり、「特別党員」と呼ばれる国会議員・地方議会議員(586人)と、党費を2年以上納付していることが条件の「一般党員」(19283人)の重みが等しい。
そんな中、松井代表は馬場議員の支持を表明しており、立候補に必要な30人の「推薦人」で見ても、足立議員の特別党員中39人、梅村議員の30人に対し306人を集めている。こうした状況について、梅村議員は「本音で言えば大変残念だ」と明かし、皮肉たっぷりにこう語った。
「松井代表の1票も、まだ1期目で3年を終えたばかりの私の1票も同じで、それを30票集めれば誰でも出られるという、前のめりで画期的な制度があるのに、使われなければ意味がない。だから若い党三役(藤田文武幹事長、音喜多駿政調会長、柳ヶ瀬裕文総務会長)や地方議員、首長も含め、“わが党にはこんなに人材がいっぱいいて、予備選が必要だね”というくらい立候補者が出てくる様子を国民に見ていただきたかった。でも、シーンとしていた。だから当初は出馬することも考えてはいなかったが、この空気を打ち破ろうと思った。
松井代表は、“血みどろの権力闘争をしろ”とおっしゃった。実際、権力をお持ちの方がどなたかが数字わかりやすいというのは、オープンさを目指してきた我が党らしいと思う。また、“後継指名はしない”とおっしゃっていたが、それと同じような効力のある発言をされたことにも、“なるほどな、お好きになさるのがよろしいのでは”と受け止めた。
ただ、“出来レースなんじゃないの?”という代表選に付き合うほど国民の皆さんは暇ではないし、それだけマスコミの扱いも小さくなる。国民にアピールするチャンスをみすみす逃したのは、忸怩たる思いだ。私自身、戦いにくくなることは承知の上だが、全力で戦うのみだ。推薦人になってくれた方々は“冷や飯を食っても構わん”という方々ばかりだし、そこに明太子を乗せてくれる方、梅干し乗せてくれる方々もいると思う、ということで頑張っている。
日本人は、“失敗するくらいならこれくらい”で、と無難を選びがちだ。ただ、大きく伸びもしないけど、大きくへこみもしないことを選ぶのは維新らしくない。吉村さん(洋文副代表、大阪府知事)は“新しいリーダーがどんどん生まれるような組織でないと野党第1党、その次の政権奪取にはいけないだろう”とおっしゃっていた。私も同じ考えだ」。
■足立氏「なんのためにやってらっしゃるのか」
足立議員も「自民党の場合、推薦人に必要な20人かっきりしか集めないではないか。馬場さんは、なんのために300人以上も集めてらっしゃるのか」と憤る。
「日本維新の会の代表選挙の最大の特徴である1人1票という制度を作ったのは前代表の橋下徹さんだ。実は議員団からは反対が多かった。でも、橋下さんは“維新はこうだ”と言って作られた。これが初めて使われるのが今回の選挙だ。そこに着目いただければ、必ず大きなうねりを作っていける。来年の春以降も、この制度は大事に続けていきたい。
また、推薦人には意味があると思う。全国政党として、私も北から南まで、まんべんなく推薦人いますよということで集まってもらった。もちろん主役は一般党員の皆さんで、いくらでも結果をひっくり返せる制度だ。今も論戦をじっくり見てくださっていると思っているだろうし、もう結果が決まっているとは思っていない。
ただ、私だったら300人も集めたとは言わない。もちろん、馬場さんとも思いは一緒だが、私は党の改革、政策のブラッシュアップをもっと進めたい。やはり今のままでは、日本維新の会は無くなると思う。有権者の中には、大阪維新の会と日本維新の会って、なんか違うよな、と思っている方もいるだろう。今まではたまたま首長が代表だったので、自民党とは違うよね、というイメージがあったと思うが、今後は国会議員が代表になるので、維新らしく作り変えていかなければ、これからの躍進はない。
大阪でご支持いただいている、地域政党としての“維新らしさ”を、国政政党である日本維新の会にみなぎらせ、なるほど大阪で大きな支持を得た改革を全国に広げていかないかん、ということにならないといけない」。
■馬場氏「結果は全く分からない」
両氏の意見に対し、馬場議員は「推薦を頂いた方々には心から感謝申し上げたい。ただ、一般党員も同じ一票だ。もちろん、推薦人の影響も一定程度はあると思うが、自分の考えで投票しようと思っている方も多いと思うし、そうした方々の意思決定が結果を大きく左右する。結果は全く分からない。これだけ集まったからといって油断せず、手を緩めることなく徹底的に一般党員の皆さんに働きかけをしていく」とコメント。
その上で、「大阪維新の会と日本維新の会の違いは、19の自治体の首長をお預かりしている。そして、大阪府議会では議会の過半数を持っている、この大阪での自民党的な存在、やろうとしたことはなんでもできる状況を国政でも、ということを目指しているが、すぐにできるかと言えば、今の力では到底できない。山登りでいえば、ようやく3合目まで来ているか、というところだ。東京も含め、まだまだ地方議員の数が少なすぎる。来年の統一地方選でいかに地方議員を増やせるか、それが次のステップアップのカギだ。
僕は古めかしい人間だと思われるが、こう見えて改革マインドは割と強い。松井代表の下で今の30代、40代の3役を抜擢した1人でもある。もし代表にならせていただいたとしても、今までの改革路線は継承していくし、思い付いた、または仲間から提言してもらった改革案についてはどんどん取り入れて、新しい政党を常に目指してやっていきたい。また、党の仕組みに今と合ってない部分もたくさんある。どういうセクションを作ればいいか、スクラップ・アンド・ビルドしていかないといけないか、新執行部と相談して早急に組み立てていきたい」と語った。(『ABEMA Prime』より)
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