ライオンに顔を噛まれ、死を覚悟した男性がいる。辛うじて一命を取り留め、3カ月の入院生活を経て退院するも、その後は人生が二転三転。衝撃的な出来事だけに語られることが無かった当時の様子について激白してくれた。「噛まれたことがいいとは言わないが…」と話した男性は事故直前に結婚していたが、事故の半年後に離婚。しかし、現在は新たな幸せを手にしていた。
今回、話をしてくれたのはTV番組やCMに出演する動物が所属する湘南動物プロダクションで取締役を務める伊賀弘明さん。伊賀さんがライオンに噛まれたのは、2017年のこと。伊賀さんに噛みついたライオンは10歳の雄ライオンだった。
その日は映画の撮影を控え、衛生的に保つためにシャンプーや洗浄を行っていた。しかしそれ自体は(ライオンが)小さい頃から行ってきたことであり、双方にとって“普段どおり”の作業だったという。ただ、その日は何かが違っていた。
「まず肩を両手でガシっとつかまれ、そのまま顔を横にされて、ガブっと噛まれた。ボキボキボキと(骨が)折れる音が聞こえて、あっ、ダメだなこれはと思って…」
そのまま意識を失った伊賀さん。そんな時、息子の非常事態に気づき、檻に駆け付けたのが母親の紀江社長だった。
「彼を噛んでいる口の中に私の手をグッて入れたんです。そしたら私の手を噛んだので、その瞬間に彼は助けてもらって。私は噛んで引っ張られたので、転んで。頭をガブっと噛まれたときに(骨が)メリッ、メリメリッと2回いったので、もうダメかなと思ったんですけど」
淡々と話した弘明さんとは対照的に、身振り手振りを交え、笑顔で振り返った紀江さん。しかし、紀江さんも弘明さんと同様に事態は深刻で、頭蓋骨の骨折を負っていた。助け出された弘明さんの当時の様子については「彼の場合は顔半分ないですからね。首が落ちて、顔が半分なかった記憶しかなくて…」。
ドクターヘリで搬送された弘明さんは頭部や顔面の損傷。頬骨、顎の骨折。さらに顔面神経断裂、左目の眼窩底骨折など、医師も目を背けたくなるような状況だったというが、奇跡的に一命を取り留めた。
「どっちも重体なので、どっちを助けるかというところで彼を選んでくれて。15分弱でヘリで飛んで行くので、その間にもすべての治療が始まって、奇跡ですよね」
そのように紀江さんは話したとおり、弘明さんは3カ月入院したものの、半年で普段の生活ができるまで回復した。
現在の状況について弘明さんは「(左側の)目が閉じれないので、目が潤む。夜間には光が滲むんですよね。目を動かす筋肉がたぶん正常に作動していないので、一番左側の視野が狭いぐらいですね」と説明した。
一方、紀江さんは2か月間入院をしたという。さらに当時、紀江さんは乳がんも患っていたそうだ。「乳がんになって半分とったんです」と話す紀江さんは、ステージ2の乳がんの治療中に事故にあっていたのだ。
しかし、紀江さんは乳がんとの闘病やライオンとの事故を経て気づいたこともあると話す。
「逆に何で生かされたんだろうって。こんなおばさんが生きる意味って何なんだろうって。まだ何かやらなきゃいけないことがあるのかなって」
襲われたライオンを飼育する動物プロダクションでは、客や従業員が動物に襲われた場合は殺処分する体制をとっているという。しかし、ライオンの所有者である弘明さんと紀江さんは殺処分を望まなかった。その後、2人に噛みついたライオンは事故の翌年、2018年に衰弱死したという。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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