9月7日、アップルはiPhone 14シリーズやApple Watchの新モデル、AirPods Pro 2を発表した。サムスン電子ジャパンも8日、Androidスマートフォン「Galaxy Z Fold4」と「Galaxy Z Flip4」を発表するなど、新商品のニュースが相次いでいる。
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記録的な円安が市場を襲う中、スマートフォン市場は今後どのようになっていくのだろうか。テレビ朝日・経済部で情報通信を担当している国吉伸洋記者はこう話す。
「まず、先日発表されたiPhone 14ですが、去年のモデル13と大きな違いはなかったものの、カメラの機能が大幅に強化されました。上位機種のiPhone14 Proになると、4800万画素と高画質化していて、これまでの1200万画素の4倍です。4800万画素というと、ピンとこないかもしれませんが、プロが使っている一眼レフのカメラと同じくらいです。暗い場所でもより鮮明な写真が撮れるでしょう。もう1つ、緊急通報機能がついたことも大きいです。例えば、自動車事故を起こしたときに、衝撃の度合いによって端末が事故を認識し、緊急連絡先に自動発信される機能です」(以下、国吉記者)
世界的なインフレーションで、スマートフォンも全体的に部品価格が値上がりしている。原材料や輸送コストも上がる中、アップルも値上げをすると思われていたが……。
「iPhone 14シリーズは、最も安い機種が799米ドルで、価格は据え置きでした。理由としては、米国をはじめ世界の景気が後退局面に入り、今年上半期のスマートフォン販売台数も世界で8%下がっていますから、消費が落ち込むことを見込んだ判断と思われます。ただその一方、日本における価格は去年の発売時よりも2万円超値上がりしました。これは円安の影響です。日本国内では7月にiPhone自体が値上がりになっていて、先週末に少し円高に戻しましたが1ドル=142円台を記録し、それでも世界で最も安くなっています」
ついに、16日に発売が迫ったiPhone 14シリーズ。発売日はまた行列になるのだろうか。
「日本におけるiPhone人気は根強く、現在も5割近いシェアを持っています。固定ファンがいるので、行列はできると思いますが、かつてほどの熱狂はないでしょう。他社から乗り換えた場合、割引などがあるとはいえ、最低でも12~13万円ほどかかるため、手が出しにくくなっています。また、iPhone 12と13にあったminiがラインアップから消えたことも特筆すべきことです。小型で軽く、日本人の手のひらサイズに合っていて、価格も少し安いminiは日本では人気が高いものでした。しかし、米国では当初から『売れていない』といわれていました。mini廃止の影響は限定的だと思われますが、日本で今までのようにシェアを維持するのは難しいかもしれません」
同時期に、世界シェアトップのサムスンも新しいスマートフォンを発表した。iPhone 14シリーズの対抗馬となるのだろうか。
「アップルの発表に合わせるかのように8日、日本でサムスンの発表会が行われました。サムスンのGalaxy Z シリーズといえば、折り畳み型でガラケーのように縦に開くタイプと横に開くタイプがあります。コンパクトでも、画面を大きく使え、違うアプリを同時に利用できる点がメリットです」
スマホを差別化するにはデザイン、機能、価格だが、折り畳みという違ったデザインを世界に先駆けて投入してiPhoneと差別化。
「今年は折り畳み型のスマートフォンが世界で70%以上伸びるといわれています。その6割以上がサムスン製とみられます。グーグルも『折り畳みスマホを開発中』といった一部報道もあるぐらいです。価格が下がれば、折り畳みが世界の主流になるかもしれません」
価格帯はアップル同様、サムスンも据え置き。「まさにガチンコ勝負だ」と国吉記者は語る。
「価格は据え置きで、999ドルと1799ドル。日本における販売価格は未定ですが、円安によって、かなりの高価格になることは確かです。こだわり消費で高額品好調とされる中、世界で見ればiPhoneとGalaxyの“横綱”同士のガチンコ勝負で、両社の売れ行きが今後のスマホ市場を占うことになるでしょう」