「60歳を超えた自分がどうなっているか…」約750万人に影響? iDeCo制度改正で何が変わる 転職時の注意点も
【解説】日本の「年金制度」と「iDeCo」(図あり)
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 今年10月、個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度が一部改正される。運用にあたって、どのようなことに気をつけていけばいいのだろうか。

【映像】転職時に注意「iDeCo」の仕組み 「企業型DC」との違いも(画像あり)

 iDeCoの仕組みと注意点について、テレビ朝日・社会部の藤原妃奈子記者はこう話す。

「年金は、それぞれの“働き方”によって入れるものが決まっています。日本の年金制度は3階層あり、まず土台といわれるものが『国民年金』です。これは20歳以上であれば、国民全員が加入する公的な年金です。会社員・公務員はもう1段階あり、国民年金の上に『厚生年金』が乗っていますが、自営業の方は『厚生年金』がないので『国民年金基金』に任意で入ることが可能です。一方で、専業主婦・主夫の人は『国民年金』のみです。iDeCoは、それぞれの階層にもう1段階乗せて使える“私的年金制度”の制度になります」(以下、藤原記者)

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 今年7月までの集計で、およそ256万人の利用者がいるiDeCo。私的な年金で、強制的に加入するべき制度ではないが、なぜこんなに多くの利用者がいるのだろうか。

「iDeCoは、60歳になったときに受け取れる年金を自分で作るものです。お金は自分で拠出し、金融機関が提示する運用先を選択して、掛金と運用益を60歳以降に受け取ることができます。貯金や投資と違い、自分で拠出するお金に税金がかからず、年金として受け取るときも減税されるというメリットがあります。受け取り方は2パターンあり、60歳〜75歳の間に定期的に受け取るか、75歳になるまでに一括して受け取るか、選ぶことができます」

 厚生労働省によると、全国で100歳以上の高齢者は去年より4016人増え、9万526人だった(※今年9月1日時点)。9万人を超えたのは初だといい、9割近くの8万161人が女性だった。また、100歳以上の人数は52年連続で過去最多を更新し続けている。

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「60歳を超えても10年、20年と長生きする人が増えています。『その歳になって自分がどうなっているのかわからない』ということで、年金として金銭的な備えとして、iDeCoを活用する人が増えているとみられます」

 iDeCoは、要するに投資なのだろうか。

「投資というと、元本割れするのではないか、掛金が返ってこないのではないかと考える人もいると思います。定期預金や保険といった元本確保商品は、自分で積み立てた拠出金が返ってくる仕組みで、元本割れのリスクがほとんどないですが、その分リターンも少ないものです。一方で、リスクがあっても、うまく利用すればリターンを得られるものが『投資信託』になります。iDeCoも投資の一つで、この投資信託の中にある『外国株式型』『国内株式型』『外国債券型』『国内債券型』から選び、運用することになります。ただ、普通の投資信託と違って、減税を受けるメリットと引き換えに、原則60歳になるまで引き出すことができません。ですから、掛金をよく検討した上で始める必要があります」

 藤原記者によると、2022年10月からiDeCoの制度の一部が改正されるという。どのような点が変更となるのだろうか。

「今年10月より、これまで利用できなかった企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員も、原則iDeCoを利用できるようになります。企業型DCも60歳以降に年金として受け取るお金を積み立て、運用するという点で、iDeCoに似た制度ですが、自分で掛金を拠出するのではなく、企業が掛金を拠出するという点が違いです。これまで企業の年金規約で定められていなければ、iDeCoとの併用は不可でした。しかし、10月1日からはこれが原則併用可能になります」

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 厚労省によると、企業型DCに加入している人は約750万人(※数字は去年3月末時点)。藤原記者は「どれくらいの人がiDeCoに加入できていなかったのか、企業によって違うため、厚労省も集計できていないそうです。ただ、企業の多くが併用可能ではないため、750万人のうちの多くの人が対象になるでしょう」と話す。その上で「転職時には注意が必要だ」という。

「企業型DCは6カ月以上移行手続きを忘れてしまうと、お金が『国民年金基金連合会』に自動的に移され、運用が停止され、管理手数料もかかり、マイナスになってしまう恐れもあります。iDeCoを継続利用する場合でも、転職時に加入資格が変わるため手続きは必要。手続きをしないと、掛け金の引き落としが停止するといったケースもあります」

 今回の改正の背景には、何があるのだろうか。

「岸田総理は年末にiDeCoやNISA改革などを含む『資産所得倍増プラン』を策定する方針を示すなど、国としても、制度を拡充していくことで、個人の銀行口座に眠っているお金を貯蓄から投資に回るようしたい、という方向性になっています。この改正にも同様の背景があるのではないでしょうか」(ABEMA NEWS)

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