先週末、国内最大級のゲームの展示会「東京ゲームショウ」が千葉市の幕張メッセにて開催された。一般向けに対面での開催は3年ぶりとなる。展示会には国内外の600社あまりが出展し、仮想空間(=メタバース)の会場も用意された。
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開催初日となる15日(メディア、業界関係者限定の公開日)に現場を直接取材したテレビ朝日・経済部の佐藤美妃記者は、こう振り返る。
「コロナ禍ということもあり、展示スペースはコロナ前より狭くなりましたが、ブースによっては120分待ちの場所もあり、会場は熱気に溢れていました。コロナ前の2019年の来場者数が約26万人だったのに対し、今年は入場制限がありながらも約14万人が来場しました」(以下、佐藤記者)
「東京ゲームショウ」といえば、世界のゲームファンからも注目度が高い大型イベントだ。会場の様子について、佐藤記者は「今回、約600社の出展のうち、半数近いおよそ300社が中国や韓国、北欧等、海外の出展企業だったこともあり、会場を歩いているとさまざまな言語が飛び交っていて、日本人だけでなく海外からの来場者も楽しんでいました」と熱気を語る。
3年ぶりの開催となった今回、特に注目度が高かったのはどのようなゲームだったのか。
「世界中が大注目するタイトルの発表こそありませんでしたが、大手メーカーの発売前の最新ゲームに加え、AR・VRを使ったゲームにも長い行列ができていました。また、半導体不足の影響で家庭用ゲーム機が入手困難になっていることもあり、パソコン向けのゲームにも多くの注目が集まっていました」
サブスクリプション(定額制)の登場や様々なデバイスで楽しめる人気コンテンツも増える今、コロナ禍でゲーム市場はどのように変わったとみているか。
「日本のゲーム市場はおよそ2兆円と言われています。新型コロナの流行が始まった直後は家庭用のゲーム機の売上が伸びた年もありましたが、その後は減少するなど、コロナ前と現在を比べ、ゲーム市場全体の規模はほとんど変わっていません」
コロナ禍の巣ごもり需要を受け、ある意外な企業にも注目が集まっていた。今年、東京ゲームショウに初出展した家具・インテリア用品の大手、ニトリだ。
「大手総合家具メーカーが東京ゲームショウに出展するのは初めてです。巣ごもり需要で『家で快適にゲームを楽しみたい』という方が増えていて、会場ではゲーミングチェアやゲーミングデスク等が出展されていました。ニトリではeスポーツが流行り始めた2019年当初から参入していたのですが、女性ゲーマーが増えた影響もあり、白を基調とした商品を販売するなど、ゲーム用家具の売れ行きは好調とのことです」
これまでゲームといえば、ユーザーがコンテンツを買い切ったり、課金を行ったりして楽しむのが一般的だったが、今年は『暗号資産』を使った新しいゲームの形が世界的にも注目されているという。
「『ブロックチェーンゲーム』という、仮想通貨を使ってゲームをしながら稼ぐ(Play to earn)という新しい分野に全世界の注目が集まっています。ゲーム自体はシューティングゲームや格闘技ゲーム等、普通のゲームですが、レアなアイテムやキャラクター等を仮想通貨で売買でき、それをお金に換えることができます。フィリピンではこのブロックチェーンゲームで生計を立てる人もいて、雇用に繋がったケースも存在します。ただ、仮想通貨の価値は大きく変動します。仮想通貨の価値が下がるなどして損をしてしまう可能性もあります。こうしたゲームと金融が融合したものが新しい市場になる可能性が期待される中、シンガポールやドバイは仮想通貨が課税の対象にならないため、こういった国に法人を置く企業が多くなっています。一方、日本では税制や法整備がまだ整っておらず、企業はこの先どうなるかわからないリスクを抱えている状況で敬遠されることもあるようです。日本でブロックチェーンゲームがどうなるか、今はまだ過渡期にあると言えます」
一方で『eスポーツ』市場も年々伸び続けている。今後どのような動きが予測されるか。
「2020年には67億円規模だったeスポーツ市場ですが、2024年には184億円に膨らむとの試算が出ています。老若男女問わず、パソコンやゲーム機があれば楽しめるので、スポーツの分野において正式競技として実施される大会もあるほどです。ゲームとしてだけでなくスポーツとしての人気も非常に高まっていて、eスポーツ市場の今後の展開が注目されています」