「客観的な基準が作りにくい」弔慰強制につながる可能性も…“国葬”法制化は可能か
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 27日午後2時より日本武道館で行われた安倍晋三元総理の国葬。世論調査でも反対の声が多く、17日と18日に行われたANNの世論調査では、安倍元総理大臣の国葬に反対の人は54%だった。一部では国葬反対のデモが行われた報道もあった。

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 国葬反対の声が上がった要因について、テレビ朝日・政治部の原慎太郎記者は、こう分析する。

「反対の理由は大きく分けて2つあります。1つは国葬の費用が高額になっていること。2つ目は、国葬決定の過程が不透明であることです」(以下、原記者)

 反対を表明したのは国民だけではない。政界でも意見が分かれた。

「菅直人元総理大臣は『国会での十分な議論もなく過去の例からも適切とは考えられない』と欠席を表明する中、野田元総理大臣は出席を表明しており、首相経験者の中でも対応が分かれる結果になりました。また、国葬の決定から実施までの期間中、自民党と旧統一教会との関係が明らかになり、これも大きく世論が分かれた原因の1つでしょう

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 政界でも反対意見が飛び交った中、岸田総理や政権幹部はどのように受け止めたのだろうか。

「岸田総理は『淡々と静かに安倍元総理を送り出す』と説明を尽くしたと考えているようです」

 一方で、イギリスのエリザベス女王の国葬が日本時間の19日夜行われた。日本の国葬との違いについて原記者は「国によってルールの違い、王室と政治家という違いがある」と前置きしたうえで次のように指摘する。

「日本の国葬との違いは『世論の違い』が、国葬の違いに繋がっていると考えられます。エリザベス女王の功績は国内だけでなく、国外にも好意的な印象を与えており、イギリス国内の世論でも国葬に肯定的でした。しかし、安倍元総理は政治家であり評価が分かれる対象です。功績も確かにありましたが、在任期間中の森友学園問題や、桜を見る会の問題などもあり、国民が揃って好意的な感情を抱いていたわけではありません。こういった経緯からイギリスのエリザベス女王の国葬との違いが生まれていると思われます」

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 今回、批判を呼んだ大きな要因として『国葬に関する法整備』がされていないことが指摘されている。今後の法制化に関して動きはあるのだろうか。

「今後、野党が国会で提案するかもしれませんが、現状、法制化の可能性は低いです。理由は2つあり、1つは国葬が開催される頻度が少ないことが挙げられます。仮に法律で基準を作ったとしても『現在の基準が100年後も当てはめられるのか』といった問題もあり、岸田総理は『その時の政府が総合的に判断し、決定するのがあるべき姿』としています。2つ目の理由として、仮に法制化するとしても『誰を国葬の対象にするか』という客観的な基準が作りにくく、抽象的な判断基準になり兼ねないだけでなく、法制化することで逆に弔慰を強制することにつながりかねないということもあります」

 ANNの調査では、岸田内閣の支持率も今までで最も低い36.3%に落ちている。反対の声が強い中で実施された国葬だが、今後の政権運営に支障は出るのか。

「現状、確かに政権運営の支障はきたしていると思います。実際のところは分かりませんが、反対の声が強かった去年の東京オリンピック・パラリンピックのように最終的には好意的な世論が増えたケースもあり、時間が経過すれば国葬に対しての肯定的な意見も出てくる可能性はあるかもしれません。ただし、国葬を実施したことによっておよそ3割まで下がっている内閣支持率がさらに下がる可能性も考えられます」

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