ウクライナ情勢によるエネルギーの危機の影響を受け、フィンランド政府は国民にサウナの利用を減らす等の節電行動を求めている。
【映像】思わずニッコリ! サウナを楽しむフィンランド国民たち(現地の様子)
キャンペーン広報担当のカティ・ラークソさんは「電気が使えなくなるかもしれません。少なくともサウナと暖房などを同時に使用してはいけません」とフィンランド国民に節電を呼びかける。
フィンランドの国民にとって生活に欠かせないサウナ。現場を取材するANN・ロンドン支局の佐藤裕樹記者はこう語る。
「フィンランドのサウナ文化はユネスコの無形文化遺産に登録されるほど、伝統があるものです。人口550万人に対し、300万ものサウナがあり、自宅にサウナがある家庭も珍しくありません。まさにフィンランド国民にとってサウナは生活に欠かせないものであり、日本人にとってお風呂のような切っても切り離せないものです」(以下、佐藤記者)
佐藤記者によると、現在フィンランドの電力事情は「かなり厳しい状況」だという。
「冬を乗り越えるため、フィンランドでは10日から節電キャンペーンが始まります。停電を未然に防ぐ対策はもちろん、燃料費の高騰もあり、例年通りの生活をすると電気代が大幅に上がり、家計を圧迫する可能性に懸念を示しています。具体的には、シャワーや暖房温度を1度下げるようを国民に呼びかけており、9万世帯が1年間に使う電力消費量分の削減を目指しています」
さらにフィンランド政府は生活の一部であるサウナに対しても節電要請を行っているという。
「フィンランドに約300万台あるうち、およそ半分は電気式のサウナと言われています。政府は家庭のサウナの利用を控え、公衆サウナや、薪式サウナの利用を推奨しています。サウナと暖房の同時使用を控え、サウナの設定温度は60度や70度に設定してもらうよう国民に呼びかけています」
求められる節電行動。フィンランドの国民はこの事態をどう受け止めているのだろうか。
「ウクライナで起きている現状に比べれば『節電は受け入れざるを得ない』という声が寄せられています。自宅でサウナを使うと電気代がかかることから、公衆サウナを交流の場として活用し、この状況を乗り切ろうという前向きな声もあります」
一方、同じ欧州のイギリスでは国民に対し、節電を強く要請する動きは現状ないという。
「ただ、停電や計画停電を防ぐため、イギリス政府も他国にエネルギー供給を交渉しています。ウクライナ情勢による世界的な電力危機は、まだ出口の見えない状況が続きそうです」