「深刻な食糧不足懸念も…」北朝鮮、過去の“ミサイル写真”流用か? 報道再開の理由
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 10日、北朝鮮がミサイル発射の写真公開を行った。同日は朝鮮労働党の創建記念日でもあった。

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 ここ数日断続的にミサイル発射が続いている北朝鮮。一体なぜなのか。現状についてANN・ソウル支局の河村聡記者はこう語る。

「北朝鮮は、直近15日間で7回と異例のペースでミサイルを発射しています(※10月12日未明に巡航ミサイル2発、10月14日未明にも日本海に向け短距離弾道ミサイル1発を発射)。アメリカの原子力空母『ロナルド・レーガン』が朝鮮半島付近に展開しており、これに反発した北朝鮮が戦術核運用部隊の軍事訓練を行っているようです」(以下、河村記者)

 今年5月以降、ミサイルを発射しても報道を行ってこなかった北朝鮮。ミサイル発射報道の再開について河村記者は「報道が止まっていたのは新型コロナの感染拡大が影響したとの見方も出ている」と話す。

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「しかし、先日、金正恩総書記が『北朝鮮にコロナウイルスはない』と勝利宣言を行いました。自国で新型コロナ流行の落ち着きが見られ、報道を再開したようです。昨今のウクライナ情勢や米中の対立の激化、国連安保理の機能不全が露呈する中で、今のうちに兵器開発や訓練を進めたいという狙いもあるのでしょう

 さらに注目すべきなのは“貯水池”からのミサイル発射だ。通常、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)は海から発射するものであり、これには河村記者も「陸上ではなく水中にあるため探知が難しく、迎撃も難しいとされています。専門家も驚きの声を上げています」とコメント。

「10月4日に発射されたミサイルは『新型の中長距離弾道ミサイルの試験』と発表されています。朝鮮半島の不安定な情勢を受け、敵により強力で明白な警告を送る目的で発射したものと思われます。やはりアメリカの原子力空母ロナルド・レーガンに対する反発でしょう」

 また、ロシアがウクライナ侵攻で用いる「戦術核」と同じような戦術がみられるという。「戦術核」について、河村記者は「核兵器は大きく分けて2つあります。1つが戦略核、2つ目が戦術核です。戦略核は都市1つを壊滅させるほどの大きな威力を持つ核兵器を指します。一方で、戦術核は前者よりも威力は劣りますが、戦況を打開したいときや、通常の兵器の延長で使われます」と説明。

「北朝鮮は過去に6回の核実験を行い、2018年4月に核実験とICBMの発射実験中止を表明しています。しかし、韓国の情報機関は、中国の共産党大会とアメリカの中間選挙の間である今月の16日から来月の7日までに、7回目の核実験が行われる可能性を指摘しています」

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 相次ぐミサイル発射の理由には、敵国への警告だけでなく、国内情勢へのアピールの狙いもあるとみられている。

「北朝鮮は9月25日に発射されたミサイルについて、無人島に着弾した画像を公開しました。しかし、これは1月末に北朝鮮の労働新聞で掲載した過去の画像を流用した疑惑が浮上しています。経済的にも厳しい状況で、深刻な食糧不足が懸念されている中、国民に対して軍事力を大々的にアピールする狙いがあるのでしょう」

ABEMA倍速ニュース

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