4日、韓国軍が北朝鮮軍用機のおよそ180の飛行航跡を確認し、韓国空軍がF-35Aなど80機あまりを出撃させたと発表。一時、緊張が高まった。
【映像】コロナ禍前の北朝鮮郊外の様子 簡易的な住宅、農作業をする人々も(画像あり)
このほかにも3日には、北朝鮮は3発の弾道ミサイルを発射し、深夜には日本海に向け80発あまりの砲撃を行った。その前日も少なくとも23発のミサイルを発射。5日昼前にも4発の弾道ミサイルを発射するなど、その後も異例の軍事行動が続いている。
1発4億円以上とも言われるミサイル。金正恩総書記が野菜づくりの重要性を語った報道もある中、市民は今どのような暮らしをしているのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家と脱北者に話を聞いた。
新型コロナの流行前に撮影された映像をみると、同じ平壌市内だが、近代的な町並みの奥に見えるのは傷んだ家屋が密集した住宅街だ。一歩郊外に出ると、農地で作業をしている人々の姿がある。映し出される農地は、ひどく荒れているようにも見える。こうした北朝鮮内部の映像はコロナ禍以降、ほぼ見られなくなった。
在日3世として大阪に生まれ、帰国事業で北朝鮮に渡り2009年に脱北を経験、現在はソウルに住む作家の金柱聖氏は「WeChatを通じて情報が漏れてくる」と話す。
「WeChatはLINEのような中国のSNSアプリだ。今、韓国には、3万人以上の脱北者が住んでいる。彼らの8割以上は北朝鮮に親戚や親きょうだいがいる。仕送りなどのコンタクトを取るために携帯をつかっている。携帯は北朝鮮の携帯ではなく、中朝境界線沿いに住んでいる人が中国のスマホを持っていて、それで韓国と直につながっている」
市民の暮らしは、どのように変化したのだろうか。金氏は「当局が全てを供給していた時代とは、少し変わった」と話す。
「集団拉致事件があった頃から、いわゆる北朝鮮地下経済というか、みんなが何かを営んで食べていく時代になった。貧富の差によって苦しい人は苦しい。一部ちょっと余裕があったりする人は、それなりに食っていっているが、水準は私たちと比べたらそれは相手にならないくらい、低いレベルだ。ほぼ大体の住民たちはいまだに食料不足で、簡単にいうとおかず不足、燃料不足、電力不足。何でもかんでも不足している中、貧困性はいまだにひどい」
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏が「今はキムチを漬ける時期ではないか。北朝鮮の貧しい人たちは、もうキムチも漬けられないのか」と質問すると、金氏は「そうだ」と肯定。「本当に見てられないくらいかわいそうだ」と述べる。
「北朝鮮ではこの時期から一番忙しい。白菜と大根を手に入れて、キムチを漬けないと冬を越せない。北朝鮮でキムチは一年の食料の半分に比較できるくらい、重要な食べ物。冬は食べ物がないからキムチを炒めたり、キムチの汁で料理を作ったりする。大根と白菜のために闘争が起こるくらいだ。昔は当局がちゃんと頭数を考えて供給をしていたが、今はそうではない。畑で白菜や大根を命がけで守っていて、軍人たちが横取りしにきて取り合いでケンカになって、殺傷沙汰になるケースもある」
金正恩総書記率いる当局について、市民はどのように考えているのだろうか。
「当局への信頼は、もうすでになくなっている。ただ、当局への不満を1つ言うだけで、処罰されるから、もうみんな諦めている。北朝鮮市民は、今も肉や魚が食べられない状況。北朝鮮は今も食料不足、電力不足、燃料不足の三大不足だ。貧しい人が裕福な個人からお金を借りて、燃料や種を買って栽培しても、秋になって収穫するときに借りたお金の代わりに食料をあげる形になっている。当局に米がなくても、裕福な個人は市場に売りさばくわけだ。それで莫大な利益を得る。だから金持ちは常に金持ちだ」
北朝鮮政治が専門で慶應義塾大学法学部教授の礒崎敦仁氏(※「崎」は正確には「立つ崎」の字)は「北朝鮮がやっていることに対して韓国も同じような対抗措置を取る。北がミサイルを上げたら、韓国もミサイルを上げて対抗措置を講じる。それに反発する形で北朝鮮がまた何かをする。これの繰り返しだ」と話す。
金正日体制から比較しても、圧倒的な数のミサイルを撃ってきている。市民が困窮する中、1発4億円ともいわれるミサイルを撃つ意味について、礒崎氏は「何も見据えていない」とコメント。
「昨年1月、北朝鮮は5年間のプログラム計画の中期計画を出した。アメリカと没交渉状態だからこそ、ミサイルを開発するという考え方だ。北朝鮮・金正恩政権で1年だけ、ミサイルを1発も撃たない、核実験をしない年があった。アメリカのトランプ大統領と米朝首脳会談があった2018年だ。米朝首脳会談をしている間は、アメリカの睨みが効いていた。外交をしている以上、北朝鮮も自制せざるを得なかったわけだ。今はアメリカと没交渉状態だから、今のうちに開発しておく。そうすると数年後、アメリカはやはり北朝鮮と交渉せざるを得ない状況になる。そのときに、北朝鮮が有利になれる。その間に国民生活は犠牲になる」
ひろゆき氏が「クーデターみたいな形で民衆が立ちあがることはないのか?」と質問すると、礒崎氏は「可能性としては限りなく少ない」と回答。
「北朝鮮は建国して74年の超長期政権だ。ほとんどの人は、生まれたときからあの体制のままの北朝鮮に住んでいる。国民生活を犠牲にしてミサイル発射されても、不満は言えない。金正恩氏はまだ38歳。祖父の金日成主席が82歳まで絶大な権力を誇示したことを考えると、今後、この政権を40年も50年もやっていくつもりだろう。その間、韓国やアメリカの大統領が何人も変わっていく。当然、日本も政権交代する。日本も戦略的にどうやって北朝鮮と付き合っていくか、もう少し考えるべきだ」
(「ABEMA Prime」より)
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