葉梨康弘前法務大臣の「死刑のはんこ」失言を機に、政権が揺らいでいる。岸田総理は当初、葉梨氏本人による説明で乗り切ろうとしたが、一転して事実上の更迭を決定した。
11月13日の『ABEMA的ニュースショー』では、元日本テレビ解説委員でジャーナリストの青山和弘氏が、みずからの取材メモをもとに、岸田政権はいまどうなっているのか、その「内幕」を考察した。
最初のメモは、更迭前夜の岸田総理による「ちゃんと説明すれば、(葉梨法務大臣は)大丈夫だろう」という発言。このままいけば、国会審議が進まず、支持率が低下する可能性があるなか、一時は留任の姿勢を見せていたことは、葉梨発言を「甘く見ていた」からだと分析する。
危機管理のうえで判断能力は大切だが、もし総理ひとりで決断できないのなら、官房長官をふくめた「チーム」で情勢分析する必要がある。ただ岸田総理は現在、少し孤独な状況になっているため、判断がぶれてしまうという。
寺田稔総務大臣の政治資金疑惑も注目され、「辞任ドミノ」の可能性が浮上。これには岸田総理の側近議員ですら、嘆息しているという。
「寺田さんの政治資金があんなにずさんなのには驚いた。この国会が終わったら、小規模な内閣改造をした方がいい」(岸田総理の側近議員/青山氏の取材メモより)
残り1カ月の今国会は「寺田総務大臣」のままなんとか乗り切って、閉会後に、事務所の賃料を巡って野党が脱税と批判する秋葉賢也復興大臣や、「機能していない」と批判される松野博一官房長官もふくめて、体制を立て直す必要がある——といった危機感が広がっているそうだ。
自民党幹部からも、岸田総理の姿勢に疑問の声が出ている。
「岸田さんも突然方針を変えて、なにを考えているのか分からない。安倍さんならここで寺田大臣も一緒に切って、傷を最小限に抑えただろう」(自民党幹部/取材メモより)
青山氏によると、「安倍晋三元総理が長期政権を築いたのは、危機管理に長けていたことにある」といったノスタルジーを感じている自民党議員が少なくないという。2017年、今村雅弘復興大臣(当時)が「(東日本大震災が起きたのは)東北だったから良かった」と失言した際、安倍氏は2時間ほどで更迭した。
今回は葉梨氏の発言から2日後だったため、「チーム安倍」と「チーム岸田」の差を感じる議員は多いようだ。安倍氏は第1次政権で、人事に情を挟んではいけないとの教訓を得たという。岸田総理の対応は優しさの表れとも言えるが、総理たるもの、時には冷徹に判断する必要があると、青山氏は指摘する。
加えて、内閣支持率の低下には神経を尖らせているようだ。
「側近が『支持率は下がりましたけど、不支持率はそんなに上がってませんから』と報告したら、翌朝また呼び出されて『不支持率上がってるじゃないか、数ポイント!ちゃんと報告してくれないとダメじゃないか!』と怒鳴られたと、ションボリしていた。岸田さんも真剣なのだろうが、相当イラ立っていて、判断がダッチロール(安定性を失った飛行機が蛇行飛行する様子)している」(青山氏)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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