コロナ新対策でまた自粛要請? 「早々に普通に病気として扱うべき」「究極的には“トロッコ問題”だ」 元厚労省医系技官の木村盛世氏
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 先週、政府の新型コロナ分科会が“第8波”の対応策を取りまとめた。感染拡大が著しく、国から対策強化地域と位置づけられた都道府県は、住民に対し大人数での会食や大規模イベントへの参加見合わせなどを求めることが可能になった。また、医療のひっ迫が想定される場合は、規制の強化や旅行の自粛などより踏み込んだ対策を要請する。

【映像】元厚労省医系技官の木村盛世氏「厚労省の対応はおかしい」

 一方で、政府は10月に水際対策を大幅に緩和。さらには、観光需要喚起のため「全国旅行支援」もスタートした。Twitterでは「水際対策緩和したし、そりゃ増えるよ」「旅行支援しながら行動制限とか矛盾だらけ」「いつまで自粛を繰り返すのかな?」などの意見もあがっている。

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 新型コロナの感染拡大から2年半以上が経つ中、要請に基づく自粛はいつまで必要なのか? 14日の『ABEMA Prime』で議論した。

 日本の現状について、元厚労省医系技官で医師の木村盛世氏は「コロナが風邪のウイルスだということは当初から明らかで、“第何波”と数える意味がない。また、医療ひっ迫を防ぐために自粛・行動制限等がなされているが、日本は世界で最も多い140万床というベッド数を抱えながらひっ迫すること自体がおかしい。なぜ改善されないのかをきちんと議論すべきだ」と指摘。

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 感染症法上の新型コロナの扱いについて、2類相当から5類への引き下げ論はこれまでにもあったが、厚労省の担当者によると「止まっている。法改正と第8波の対応を同時にやっていて、分類見直しの議論はほぼゼロ」だという。

 木村氏は「厚労省は自分たちの首を絞めている」と苦言を呈する。

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 「今のオミクロン株に至っては、重症化率も致死率も季節性インフルエンザと同じくらいか、それ以下。特措法にこの感染症を置いておくことの法的根拠が薄く、医学的根拠もないとなれば、なぜこのようなことを繰り返すのか。特措法は感染症法でいうところの1類から3類相当で、エボラ出血熱などのように危険な病気として扱われる。そして、決まった医療機関しか診られない。コロナが高齢の方をアタックするのは以前から同じで、残念ながら重症化する方も一定程度いるが、冬になればさらに肺炎の患者も増えてくる。コロナの扱いが今のままであることで、医療スタッフのマンパワーは桁違いに大きくなり、他の病気で亡くなる方も救えなくなる。これは非常に大きな矛盾だ。はっきり言って、厚労省がこれをやっていること自体おかしいと思うし、変えられないなら政治がそれを決定するべきだ」

 厚労省は「屋外でのマスク着用は原則不要」と宣言しているが、依然として「周囲の目が気になる」という声が根強い。木村氏は「エビデンスやデータに基づいていないところが一番大きな問題だ」とした上で、新型コロナ対策は原点に立ち戻って議論する必要があると強調した。

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 「究極的には“トロッコ問題”だ。舵を切ってコロナ抑制に行くと決めた時、それ以外の原因で亡くなる方たちの命をある程度犠牲にすることになる。いまや季節性インフルエンザ並みのウイルスということは間違いないし、コロナの死亡者数は累計5万人弱で、肺炎で亡くなるのは1年間に10万人。どういう優先順位をつけるかだ。ただ、長期的にコロナだけを抑えて死亡者を減らす場合、問題が2つあって、自殺と少子化。自殺が増え、少子化が進むということは、本来生まれたはずの命がないということと同義になる。そこまで抑えなければならない感染症なのか、原点に立ち戻って議論する必要がある。早々にコロナを普通の病気として扱うべきだと思う」

(『ABEMA Prime』より)

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