新型コロナウイルス感染拡大のダメージから回復しつつある観光業界。12日のABEMA『NewsBAR橋下』では、橋下徹氏とゲスト出演した星野リゾート代表の星野佳路(よしはる)氏が「休日分散」の必要性について議論を交わした。
外資系のホテルも日本に進出してくる中で、星野氏は予約システムや囲い込みのマイレージプログラムといった仕組みが今後の主戦場になってくるとの考えを示す。
「現地での顧客満足度や施設の質は、スタートラインに立つための必要条件になってくる。これからの競争で優位をつけるためには、旅前のサービスを充実させること。今は予約をすると、行ってみるまで宿とのコミュニケーションはないが、これからは『橋下さん、今回たくさんお子さまがいらっしゃいますよね。予約された部屋はここですが、こちらのほうがいいですよ』というような提案をする。また、今は食事と部屋を予約しても、他のアクティビティを受けられるかどうかは行ってみないとわからないが、滞在のスケジュールを含めて事前にもっと旅を充実させられるようなアレンジや提案をして、予約をしてもらう。そうすることによって、同じ宿に泊まっていても満足度は上がっていくはずだ」
さらに、宿泊日数も「1泊ではなく2泊にしていきたい」という。
「日本は世界の中でも休みがすごく短い。家族旅行の満足度を調査すると、2泊、3泊した人の方が高かった。旅を充実させるためには現地で時間が必要だし、我々としても時間をいただかないと楽しませるプログラムを提供できない。星野リゾートではすでにコロナ禍前から、『この期間は2泊以上じゃないと予約できない』という2泊縛りの期間を作っている。(2泊3日で)真ん中の日を作っていただくと、例えば博物館や美術館、アクティビティ、山のガイド、街のカフェなど、ホテル外での消費が増える。地域にお金を落としてもらうために、観光事業の役割としてすごく大事だ」
これを受けて橋下氏は、星野氏が以前から提言している「休日分散」に言及し、「僕が大阪府知事になった時、2008年、2009年に休日の分散化を言ったが、やっぱり実現しなかった。できない理由がいっぱい出てくるが、強引にやろうとしたらできると思う」と指摘。
星野氏は「橋下さんに当時、『いいかどうかわからないから1年だけやってみよう』『ダメだったら戻せばいいじゃないか』『テストしてみよう』とおっしゃっていただいた。1カ所でいいから、本当にテストを1年やってみたい。例えば、ゴールデンウィーク中の(ホテルの)値段は通常の3倍で、次の週はまた戻るわけだ。渋滞がなくなれば、車の中ではなくカフェに座っているかもしれない。地域にお金が落ちる仕組みになる」と訴える。
橋下氏は「特区かなにかの地域でやってみたらいい。観光業や飲食業の労働生産性が低いということはずっと言われているが、その抜本策、具体策を学者の人たちは言わない。平準化することで劇的に変わることは、星野さんは確信されている。こういうことを野党や改革派の政治家が言わなければいけない」と苦言を呈した。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)