BACKSTAGE TALK #36  CHEHON

ABEMAMIX出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保 氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!

CHEHON「 "もっとやってくれ。頑張って広めてくれ"と全レゲエプレイヤーの期待もかかっているような気持ち。やっと今になってその立場になれた」MCバトル、レゲエシーンを牽引し走り続ける現在のマインドと今後の展望について語る。
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―THE FIRST TAKEで披露した「韻波句徒」のヒットや、MCバトル・シーンでのご活躍もあり、さらに忙しくされていると思います。ここ数年、アーティストとしてのキャリアが「さらに大きな転換期を迎えたな」と感じることがありますか?

CHEHON:そうっすね。「また、いい波が来ているな」とはめっちゃ感じてますね。

―ファン層もかなり拡大しているのでは?

CHEHON:感じますね。僕くらいの歳の人って、結構結婚していて小学生くらいの子供がおる世代なんですよ。それくらいの人から「息子/娘がファンやねんけど、写真とかサインをもらわれへん?」っていうのがやたら増えて。
 
【映像】CHEHON ABEMAMIX ライブライブパフォーマンス


CHEHON「 "もっとやってくれ。頑張って広めてくれ"と全レゲエプレイヤーの期待もかかっているような気持ち。やっと今になってその立場になれた」MCバトル、レゲエシーンを牽引し走り続ける現在のマインドと今後の展望について語る。
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―今や、MCバトルの大会においても欠かせない存在になっているのでは?と感じます。そもそも、バトルに足を踏み入れたきっかけは?

CHEHON:TV番組の「フリースタイルダンジョン」で、レゲエ対ヒップホップみたいな企画があったんです。そこで、レゲエ勢のメンバーの一人として出場したのが初めてでした。その時に3回まで勝ち進んで、「賞金をもらってそのまま辞めます」って途中で辞めたんです。その時に言い訳として「今、しんどいから、ちゃんとラップの練習をしてまたバトルの場所に戻ってきます」って言っちゃったんですよね。地上波のテレビ番組で。だから、それを(実際に)やらんかったらダサいやろ、と。それで一回出てみようかなと思ったのがUMBの予選でした。その後、改めて「真・ADRENALINE」さんからオファーをもらって出たんです。そこからオファーが止まらなくなって。今では毎月のようにバトルのオファーをもらっていますね。

―最初に「真・アドレナリン」に出た時の感想は?「これはイケる!」と感じました?

CHEHON:ちょっとしたワクワク感がありましたね。レゲエでも、バトルみたいなスタイルのラバダブがあって、俺はそれをずっとやってきた。だから、バトルに対してガチガチ緊張するとか気合いが入るという感じでもなかったんです。「真・ADRENALINE」はビートもバンドの生演奏やったし、「なんやったら僕の方が有利じゃない?」と思っていました。

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―これまでにさまざまな大会に挑戦してきて、印象的だった試合はありますか?CHEHONさん的ベストバウトというか。

CHEHON:「KOK(※KING OF KINGS 2021 GRAND CHAMPIONSHIP FINAL)」ですかね。自分でエントリーフィーを2,000円払って東京の予選に出て、それに勝った後に、東日本のチャンピオンとして最終的な本戦に出ることができたんです。僕にとって「KOK」は「UMB」 と二大巨頭っていうか、ほんまのMCたちの最高峰ってイメージがあって、どっちかは取りたいなっていつも思っていたんです。なので、「KOK」はすごく気合いが入りましたね。あの時、3回戦の準優勝戦でFORKくんと一緒に対戦できたのも、すごく嬉しかったです。このあと、あるかないか分からんくらいの大きなチャンスだったので。

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―MCバトルも多岐に渡りつつ、どんどん規模が大きくなってきていますよね。CHEHONさんは、その様子をどのように見てますか?

CHEHON:賞金を一億円くらいまで上げて欲しいです。すべての大会は、基本、賞金1,000万円以上で。それくらいになったら、みんな目から血が出るくらい練習するんと違いますか?

―ちなみに、バトル前のルーティーンやウォームアップみたいなものはありますか?

CHEHON:これと言ってはないですけど、ずっと集中して、おとなしくしてますね。喋ってこられたら喋るけど、自分からはそんなに。バトルも自然体ですね。

―バトルのシーンでもどんどんレゲエ・ディージェイの皆さんが活躍している。まさにCHEHONさんがそこの先陣を切って行った存在と思うのですが。

CHEHON:はい。確実に俺のおかげと言っても過言ではないし、これから出てくるレゲエの人たちはギャラの10%を俺によこせっていう気持ちは常にあります(笑)。

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―色んなバトルを目の当たりにして、こうしてヒップホップのMCたちとレゲエのアーティストたちが交わるなんて、正直、個人的には予想していませんでした。世代も越えてますし。

CHEHON:でも前回、十数年前にレゲエのブームがガーッときた時も、そうやったらしいんですよ。ヒップホップがガーッと盛り上がって、そのブームが安定しそうな時にレゲエの人たちと絡み出して、そこからレゲエも火がついた…みたいな話を聞いて。歴史というか、ムーブメントがループしてんねんなと思って。なので、ここからまたレゲエが来るんじゃないかなと思っています。俺の活動も、そのきっかけになればいいなと思っています。

―CHEHONさんに憧れてディージェイやバトルの現場を目指す若手がどんどん増えていきそうですよね。

CHEHON:おると思いますね。俺を目指して、というよりも、俺を超えるくらいの気持ちじゃないと、アーティストも育たないと思いますし、そういう子たちはどんどん出てきて欲しいですね。20代前半ぐらいで、すでに俺らぐらいの技術やメンタルがある子がおればいいなと思うんですけど、今んとこ、あんまり見当たらないですね。ヒップホップに比べると、プレイヤーの数がやっぱり圧倒的に少ないんですよね。

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―キャリアも経た今、ご自身の役割について考えることはありますか?

CHEHON:今では全レゲエプレイヤーの期待もかかっているような気持ちですね。「お前、もっとやってくれ。頑張って広めてくれ」と。やっと、今になってその立場になれたという思いもあります。ポジション的には、レゲエの布教活動を行うトップの戦線にいてると思っています。

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―バトルと並行して、CHEHONさんの真髄とも言える楽曲制作も盛んに行なっていらっしゃいます。10月にリリースした「STILL HUNGRY」では、韓国のラッパーであるBILL STAXさんとのコラボを実現させました。

CHEHON:事務所のSTARBASEさんから、在日コリアンのアーティストと韓国のラッパーで一緒に曲を作りたいという提案を受けたんです。韓国は僕のルーツでもあるし、「ぜひやりたい」と返事させてもらって。将来的、いずれは韓国語の曲も作ってみたいなと思っていたので、そのいいきっかけになったというか。日本語と韓国語でライミングするのも面白いですし、ゆくゆくは全編韓国語でやってみたいですね。これからはそういう動きも増やしていこうと思っています。

―まさに貪欲な姿勢を表した内容の楽曲になっていますよね。

CHEHON:いまだに、そうなんですよね。自分の性格だと思うんですけど、先を求めているというか、安定を求めないというか。

―歌詞の中に「停止することを1番恐れろ」というフレーズがあって、めちゃくちゃ強烈でした。

CHEHON:僕の中では、停止することは死ぬこととほぼ一緒なんで。ゆっくりすらも進まれへん。「そうはなりたくないな」と自分に言い聞かせていると同時に、「みんなもそうであってくれ」と訴えかけている歌詞ですね。ほんまは誰よりも死にたくないんですけど、明日死んでもいいとも思っているんです。だから、すげえ生き急いでいます。明日、交通事故に遭うかもしれんし、病気になってしまうかもしれん。そんな時に、後悔が多い方が辛いですよね。だから、できるだけやる。それが自分のモットーです。

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―t-Aceさんの「ぽっぷしゃんぱん[2日酔いRemix]」のリリックには、「liveは年間100本」というフレーズもあって、「マジか」と思ってしまいました。

CHEHON:ここ12年くらい、ギネスに申請しようかな?っていうくらい、めっちゃライブしてるんですよ。今年に関しては計150本くらいのライブをやっている。”薄利多売”じゃないけど、ギャラをちょっと安くしていっぱいライブする方が、自分の実力を高めてくれるんです。ステージをこなせばこなすほど、上手くなるから。月に一回50万円のギャラのライブをするより、一回10万円で10回やる方がいいなって。だから、数をこなしていきたいという気持ちもあります。そのおかげで、いつ言われてもライブできるっていうか。楽屋で寝ていても、起きた瞬間にマイク渡されたらそのままライブできます。もう、染み付いていて、超人みたいになってるんです。自分もタフやし、全国でライブしすぎて、全国47都道府県を二周してるくらいなんです。そんなん出来る人、ごく僅かやし、各地で美味いものも食べられる。この商売は見過ごすわけには行かないですね。

―かたや、REAL-Tさんに客演で参加した「KUSO」は、メッセージの強いリリックを残しています。

CHEHON:REAL-Tは地元も一緒で、いろいろあって繋がったんです。向こうから「一緒にやりたい」と声を掛けてくれて、このタイミングで完成しました。俺とやるんやったら、あえて、いつものREAL-Tとは違うメッセージ性の強い曲にしたかったんですよ。

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―今後の展望についてはどうですか?アルバム制作の準備などもしている?

CHEHON:今後は、この状態をキープしながら制作の比重が増えていくと思いますね。曲はいくつか案があって、進めているものもあります。アルバムはその次ですかね。前までは「アルバムを何枚出している」っていうのがアーティストのステイタスになってましたけど、今は違うのかなと思いますし。

―ジャパレゲのブームや、CDセールスの興隆、ストリーミングの登場とSNSとヒットの関係性…と、CHEHONさんが辿ってきた道のりを振り返ると、そのまま日本の音楽シーンの変遷を見ているようだなと感じます。

CHEHON:僕、分かりやすく2回ブレイクしてるんですよね。こんな人、あまりいてないと思います。僕自身も前例を見たことがないので、どうしていいか分からない部分もあるんですけど、レゲエを広めるための手段として、明確にやろうとしていることはあります。これからはインディーズで自分のレーベルで音楽活動をするので、いろんなアーティストとコラボしたり、「こんなレジェンドと!?」っていう活動もやりやすくなると思います。なので、これからの動きも楽しみにしておいて欲しいですね。

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