職場や学校、そして恋愛の中で、切っても切れない人間関係。Twitterには「素っ気ないと嫌われたんじゃないかって不安…」「嫌われないように顔色を気にしちゃう」と悩める声が多くあがる。
人に嫌われるのが怖い――。20代男性のたもさんもその1人だ。「Twitter上は、仲良くなって共通のことがあったらお互い盛り上がる。でも、突然ブロックされたり、フォロー外されたりすると、なんでそうなってしまったんだろう…と罪悪感を覚えてしまう」。
人間関係の悩みは若者に限ったことでもない。中高年ではパワハラを気にして、若者に嫌われないよう仕事の注意も遠慮してしまうようだ。あるアンケートでは約4割が「誰からも嫌われたくない」と回答している。
嫌われない術はあるのか、また嫌われることはダメなのか。今月出版された書籍『日本一「嫌われない男」の億を売る仕事術』の著者で、新宿歌舞伎町で史上最高の売上を叩き出したホスト・降矢まさき氏とともに、12日の『ABEMA Prime』で考えた。
もともと人から嫌われたくない性格だったという降矢氏。「幼少期から親に締め出されたり殴られたりしていたので、怒られるのが怖かった。空気を読むことが癖になっていて、その積み重ねで今に至る。『嫌われない男』というタイトルも自分が考えたのではなく、周りの自分に対するイメージでつけてくれたもの。この仕事は人間関係が100%なので、具体的には“敵を作らない”ことが大事。好かれようともしないけど、とにかくマイナスをなくしていく作業をしていた」と話す。
米・イェール大学助教授、半熟仮想株式会社代表の成田悠輔氏は「想像するに、お客さんよりもむしろ同業者やライバルのホストのほうが嫌ってくると思う。その人たちとの関係はどうやってコントロールしていくのか」と尋ねる。
降矢氏は「自分が下だった時は、とにかくみんなに尽くしていた。みんなが欲しがるものを探して、一番に与えられるようにする。“数字を上げられない自分に何ができるんだろう?”と思ったら、補佐・ヘルプだ。ただ、酒を飲むことが正解かというと、違うよなと。一歩踏み込んで、みんながしたくないことを代わりにやったりした。そうすると、『いつも頑張ってくれているから、こいつがお客さんを呼んだ時は俺らが守ってあげよう』と。基本的に人間は上の立場の人が下を守ろうという考えで生きているので、“俺は自分ができる範囲で守ってあげたい”と思ってついていく感じだった」と答えた。
そうした行動が“あざとく”見られることはなかったのか。「従業員や仲間に関しては、うまくやってやろうと思っていない。“俺ができるのはこれ。だからやる”という自己犠牲精神を、自分が数字を上げるまではとにかく強く持っていたかもしれない。あと、面倒くさがりといった性格をみんな理解してくれているので、あざといとかは思わない」。
ここで降矢氏が、“人から嫌われたくない”という悩みを持つ男性2人の質問に答えた。
20代・たもさん:ホストは住むところが違う世界だが、やっぱり「どうやったら嫌われないように立ち回れるのか」というのが気になる。
降矢氏:身の回りにいる人間が少なくて、“それを失ったら終わり”みたいな感覚で生きているとすごく息苦しいと思う。俺は仕事上、お客さんが大事だが、それだけで生きていくということはない。もしその人たちに大切な人ができたら自分が1番じゃなくなるわけで、遅かれ早かれ離れていくものだと思う。新しい出会いが、人生がより豊かなっていくきっかけになるということを楽しんで生きてきたので、もっと広い世界に出てもいいのではないか。嫌われるのは、今の自分だとつまらないということ。自分が成長すれば仲直りできるし、出会うきっかけになると思う。
アラフォー世代・てらさん:ホストの方の降矢さんに対する印象で、「最初怖かった」という話があった。そのイメージは意図的なものなのか、それとも自然と出ているものなのか。私も第一印象で怖いと思われてしまうことが多いので、どういった意図なのかを聞きたい。
降矢氏:自分のお店での立場、引き締めなければいけない部分があったりするので、完全に意図的にやっている。でも、わかりあおうと寄り添うこともする。パッと見は怖くても、それを“わざとやっている”と相手が理解してくれればいいし、自分でギャップを作ればいいだけだ。だって、嬉しいことがあれば笑うだろう。怖いと思われるのは、相手はどうしていいかわからないからで、こちらが距離をあけるように接したりしていると思う。俺の場合はあえて、相手が挨拶をしてきてくれるように“ずっと怖い人間でいよう”“めちゃくちゃ偉そうにしよう”と考える。何でも利用していけばいいと思う。
これまでの話から、成田氏は「嫌われる・嫌われないを自分で制御できると思っている人が多いのかなという印象を受けた。そうではなく、ただの自然現象みたいに、ちょっと化学反応が悪かったという程度に捉えて、何も気にしないという手もあるのではないか。“人間関係は価値があるものだ”という思い込みを外すだけでも楽になる場合が多い気がする」との見方を示す。
降矢氏は「俺が嫌われないのは、絶対に関わらなければいけない人たちばかり。関わらなくても生きていける人に対しては、成田さんと同じ考えを持っている。仕事だから従業員は大事だし、上司やお客さんがいる状況だからやっているだけであって、ベースは一緒だ。ただ、一番嫌われている人とコミュニケーションをとろうとするかもしれない。もし会社でチームがあったら、みんなから嫌われている人は1人ぐらいいたりするので、そういう人とコミュニケーションをとってみんなの橋渡しになっている。実はそれが一番楽だったりする。“こいつに任せておけば俺らは関わらなくて済むから”ということで、たぶん俺は誰にも嫌われてない」と説明した。(『ABEMA Prime』より)
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