2022年12月17日(土)から特別上映中のアニメ「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」(以下、「ファーストキッス」)。この記事では、本作のメインキャラクターである四宮かぐや役の古賀葵(こが あおい)、藤原千花役の小原好美(こはら このみ)、伊井野ミコ役の富田美憂(とみた みゆ)のインタビューをお届けする。
かぐやは本作の主人公の1人で、「ファーストキッス」の直前のエピソードとなるTVアニメ第3期「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」(以下、「ウルトラロマンティック」)で、もう1人の主人公である生徒会長・白銀御行との恋が一歩進んだばかり。その側にいながら2人の関係にまったく気付いていない藤原、同級生の石上優と日々ケンカを繰り広げながらも少し関係が変化してきたミコの声優たちに、「ファーストキッス」収録の裏話を赤裸々に語っていただいた。
――「ファーストキッス」の収録のご感想を伺いたいのですが、「ウルトラロマンティック」収録終了からのスパンが短かったことは何か影響がありましたか?
古賀:確かに、こんなに早く新作の収録ができるとは思ってなかったです。「うわっ! すごいな!」っていう(笑)。
小原:語彙力ゥ!(笑)
古賀:制作の方たちの思いというか「ここ(クリスマス)までには絶対にみんなにこのシーンを見てもらいたい!」という気持ちがすごく伝わってきまして、これはもうこちらも覚悟を決めなければ、と。
映像的にもすごく素敵に仕上げていただいて、アニメーターさんも第3期が終わったばかりで時間がない中で一生懸命に制作してくださったんだろうな、という思いもあったので、身が引き締まる思いで演じさせていただきました。収録は、私は2日に分けて録ったんですけど……あれ、みんなもそうかな? 3日だった?
小原:3日くらいじゃない?
古賀:あれ? 2日で……。
富田:全キャスト合わせると3日かもしれない。
小原:あっ、そうか3日だ。みんな録りきったの。
古賀:そうだそうだ。で、私は2日で録ったんですけど、TVシリーズの時とはまたちょっと雰囲気が違うので、そういった意味でも緊張感がありました。私は会長役の古川さん(古川慎/ふるかわ まこと)やここちゃん(小原)と一緒に録らせていただいたんですけど、会長とのシーンがいっぱいあって、2日目はほぼほぼ古川さんと一緒に録らせていただいて。
ただブースは別で録ったりしたので、結構、本当に1人という感じで、より身が引き締まると言いますか。会長とすごく向き合っていて、TVシリーズのわちゃわちゃ感とはすごく違うところを感じられたな、と思います。
そのTVシリーズから収録時期はそんなに間が空いていないんですけど、(ある程度は)時間が経過していたので、その間に原作を見直して確認する……ということはやりましたね。
小原:第3期からこのご時世に入っての収録ですが、今回の「ファーストキッス」もこのご時世ならではの(少人数での)録り方だったので、正直寂しかったです。多分、寂しいって全員感じてたのかな、と思っています。
私が収録する時は基本的に古賀葵ちゃんと古川さんの3人が多くて、かぐやオンパレード、かぐやが大活躍みたいなシーンがあるんですよ。で、さっき彼女が仰ってたように、彼女だけタタミ2畳分ぐらいの個室にいて、私と古川さんはいつも録ってる広めの空間に入って分かれていたんです。
もう本当に彼女は孤独と向き合って、あおちゃん(古賀さん)だけがかぐやとして演じるシーンが1時間ぐらいあったんですけど、その間私たちはロビーに出ず収録中のアフレコスタジオにいて。ずっと古川さんと2人で古賀葵の良さについて40分ぐらい語り合っていたんです(笑)。
古賀:すいません、お待たせして申し訳ありません(笑)。
小原:いやいや! その前の時間はここまでの「かぐや様」を経てここが楽しかったねとか、今後どういう風にしていきたいか、みたいな話をしていたんですけど、ヘッドホンから聞こえてくる彼女の演技が素晴らしすぎて。で、「古賀葵ってさー」と始まって(笑)、彼女が演じている間、ああだよねー、こうだよねー、僕あの回でさー、ああそうですよねー、普段はこうじゃないのにねー、みたいな熱い話をしたのが印象的でした。
でも多分、今回はターゲットが古賀葵だったんですけど、それが鈴木崚汰(すずき りょうた/石上役の声優)くんだったり、富田美憂ちゃんになっても同じくらい熱く語れるんですよ、それぞれの役者のことを。それが何か幸せな時間だなー、と「ファーストキッス」を収録していて感じました。
特に古川さんは、向き合う相手があおちゃん演じる四宮かぐやというのもあって、思いも強いんですよね。なので古賀葵から発するかぐやの音を聞いてどう影響を受けているかとか、そういう話をしてくださって。改めていい作品だなと思うし、掛け合いって大事だなと感じた時間でした。(古賀に向かって)2人でめっちゃ喋ってたよ、なんかどっちがいいことを語るかみたいな(笑)。
古賀:やめて、やめてありがとう(笑)。
――それ副音声で聞きたいですね、オーディオコメンタリー的な(笑)。
小原:ですよねー、録音すればよかった(笑)。
――惜しかったです。では富田さん、お願いします。
富田:私の収録は3日間あった中の最終日だけで、、終盤で少しここちゃんと録ったりはあったんですけど、ほとんど1人で演じさせていただきました。今回は特に前半は石上との掛け合いばかりだったんですが、その石上の事前に録った音声をヘッドホンで聴きながら収録していました。
いつも通り2人が顔を突き合わせてケンカになるシーンがあったんですけど、割と長い尺……5カットくらいの間「ケンカをアドリブでどうぞ」と台本にあり、収録前に石上役の鈴木くんから「やっといたから」みたいな連絡が(笑)。やっといたって何だと思って収録現場で聞いてみたら、私のしゃべる隙なんてなく全部アドリブで埋められていて……「やってくれたな」と(笑)。
小原:怖っ!(笑)
古賀:本当のケンカだね(笑)。
富田:そうなんですよ(笑)。だから、それを聞いてどうしようって思ったんですけど、もう丸々被せてやる、同じことやってやると思って、私も石上の話を聞いているようで聞いていない、ミコの一方的な悪口やら何やらで5カット全部埋めました(笑)。
古賀:ギャイギャイパーティー?(笑)
富田:そう、ギャイギャイパーティーになってるな、というのが割と印象的でした。あと全体としては、台本の量に驚きました。「かぐや様」の特別上映の台本です、っていただいた時に、台本が4冊あったので「大変だ、でも楽しみ!」という心境で収録に臨みました。
――ありがとうございます。ところで、皆さんはかぐやと白銀会長の関係をどういう気持ちで見ているんですか?
小原:ふざけた回答をしていいなら「くっつかない、よし、物語続く!」という感じです(笑)。
古賀:(笑)。
小原:くっついたら終わっちゃうから「まだくっつかない、よしよし!」みたいなところはあります(笑)。「ファーストキッス」を収録していて感じたのは、もうひたすらかぐやさんがもどかしいな、ということですね。やっぱり一番苦しいのはかぐや本人だろうけど、見ているこっち側としては「もう素直になって!」と思います。でもその一言では片付かない、いろんな想いがあるんだなと考えると、その気持ちが愛おしさに変わるんですよね。
会長も違った意味でどこか素直になれなくて……会長の場合は「どうしてあげたらいいんだろう」みたいなところもあるから、その微妙なバランスのあの2人がだんだんかわいらしく見えてくると言うか。何かもう、最初のころは「お互いに想い合っているから、すぐ簡単にくっつきそうなのに」と思いましたけど、今は「そのまま成長していってね」と、そんな気持ちかもしれない(笑)。
古賀:確かにね。第1期の第1話が一番頭脳戦をしていて、後半はもうバレバレじゃん……という感じになりつつも意地の張り合いになってたからね。そこからよくあそこ(ウルトラロマンティック)までいったなって思うよね(笑)。
小原:手を繋いだ時大拍手だったもんね、「ウルトラロマンティック」の終わり。「いつ繋いだ! どっちから!」みたいな(笑)。
古賀:確かに、あそこでもうそのままスッといきそうなところなんですけど、そこで改めて考え直しちゃうというのがあの2人らしいなと。でも、その考え直しちゃってくれたおかげでこの新作が見られるので、嬉しいところでもあります。
で、ここから「あれ、決着ついたようでついてねーぞ?」と、2人がまたしっかりと向き合ってくれているので……。その向き合うところがすごく成長したなって思いますね。もどかしさも感じますけど、第3期からこの「ファーストキッス」にかけては、すごく応援したい気持ちが沸いてきます。
古賀の収録を聞きながら熱く語り合っていたり、ケンカ気分でバチバチやりあったりと、さまざまな裏話が飛び出してきた「ファーストキッス」声優インタビュー。かぐやと会長の恋愛関係のみならず、声優陣の意識や情熱にも思いを馳せながら視聴するのも、「ファーストキッス」の楽しみ方のひとつなのではないかと感じさせられた。
『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』
12/17(土)より特別上映中
【配給】
アニプレックス
(C)赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
テキスト/リューヤ