安倍氏不在で「学級崩壊」状態 防衛増税“ドタバタ劇”、高市氏は石破氏に似ている?
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 岸田総理が打ち出した「防衛増税」をめぐる、高市経済安全保障担当大臣による一連の発言が話題となっている。閣僚でありながら、罷免も辞さないとの態度を示し、「高市の乱」と注目を集めたが、その後トーンダウンし、ドタバタ劇の様相を呈している。

【映像】1993年、初当選時の高市早苗氏

 高市氏は12月13日、「閣僚の任命権は総理にございますので、罷免をされるということであれば、それはそれで仕方がない」と発言した。元日本テレビ解説委員でジャーナリストの青山和弘氏は、以下のように分析する。

「自分が安倍晋三元総理の考え・思想を引き継ぐ第一人者だという思いが強い。増税問題などで脚光を浴びる自分(高市氏)が、先頭に立って反対したと示すことは、彼女にとっては一つのチャンスだ」(青山氏)

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 背景にあるのは、防衛費増額の財源をめぐる問題だ。日本の防衛費は現在、GDP(国内総生産)比1%前後となっているが、NATO(北大西洋条約機構)の水準GDP2%以上に引き上げようとしている。2027年度までの5年間で防衛費は43兆円と大幅な増額になる。

 中国などの軍事力台頭により、防衛費増額を求める声は強く、安倍氏も生前GDPの2%まで増額することを「骨太の方針」に明記すべきだと主張していた。高市氏は、憲法改正により「国防軍」を明記すべきだと主張したり、敵基地攻撃能力の保有に前向きな考えだ。ではなぜ、防衛費増額に反旗を翻したのか——。

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 高市氏が問題視したのは、その財源。安倍氏の持論は「当面は国債」だったが、岸田総理は「一部を増税」の方針。これに安倍派議員から反対の声が上がり、高市氏はTwitterで「総理の真意が理解できません」と批判し、冒頭の「罷免も仕方ない」発言に至った。最終的に岸田総理が増税の実施時期を明記しなかったことで、反対派は矛を収めた。

 青山氏は、保守派における安倍氏の後任が見つかっていない現状を、高市氏が「チャンス」と思っているのではないかと指摘。朝日新聞記者でABEMA NEWS政治担当記者の今野忍氏も「我こそは安倍氏の後継者だ」とアピールしているのではと分析する。

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 高市氏は1961年生まれで、神戸大卒業後、松下政経塾へ入塾。テレビキャスターなどを経て、1993年に衆議院議員に初当選した。当初は無所属で、のちに自民党へ。2006年に第一次安倍内閣で初入閣し、11年に清和会(現在の安倍派)を脱会した。

 青山氏によると、脱会時の経緯を「わがままだった」と思う清和会議員が多く、のちに安倍氏が「高市氏を(自民党)総裁に」と言っても、「口も聞いたことがない」という議員が多くいたという。今野記者もまた、積極的に仲間をつくろうとしないタイプとして、安倍氏よりも、むしろ石破茂元幹事長に似ているのではと考察する。

 2012年には女性初の自民党政調会長に。そして昨年、総裁選に出馬したが、岸田氏、河野太郎氏に次ぐ3位となった。総裁選出馬には安倍氏の力添えがあったが、青山氏は、それを「面白くない」と思っている人も少なくなく、このままでは次の総裁選には出馬すらできないのでは、と言われていると話す。今野記者も同様に、高市氏に投票するとしたら保守団結の会の数人しか思い当たらないとして、安倍氏亡きいま、総裁選出馬に必要な20人の署名を集めるのは難しいのではとみている。

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 過去の著書では、恋人との別れを感情的につづることもあったが、一方で「強い保守思想」を示す場面も。青山氏は、高市氏の総理総裁への「野心」は消えていないと断言。国民の人気や保守派の支持を背景に、岸田氏になにかあれば、保守派を代表して出ていけるとの感覚を得たのではないかと指摘する。

 一連のドタバタ劇を「安倍氏という大きな柱がいなくなった“学級崩壊”」と評する今野記者は、もし安倍氏が存命であれば、岸田氏は安倍氏と落とし所を探っただろうと推測する。着地点は同じ「増税時期は未定」だったとしても、安倍氏が話せば静かになったが、不在のいまは主張したがる議員ばかり。結果として制御不能になったのが、いまの状態だと解説した。(『ABEMA的ニュースショー』より)

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