「次は農村に」春節の“大移動”迫るも…感染爆発止まらず 中国コロナの実態
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 中国からの渡航者に対し、世界各国で水際対策を強化する動きになっている。実際に、中国の新型コロナ感染の現状はどのようになっているのか。現地を取材するANN中国総局・冨坂範明総局長に聞いた。

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「現地のあいさつは『ヤンラマ?(感染しましたか?)』です。北京で暮らしていますが、実感でいうと8割以上が感染しているのではないでしょうか。感染していない人のほうが少ない。公式の参考情報では、1月4日の感染者数は9000人、死者数1人でした。しかし、実感とはかけ離れた数字で、専門家が推計では『すでに6億人以上が感染しているのでは』といった情報もあります」(以下、冨坂局長)

 先月、中国政府は新型コロナウイルス対応として続けていた水際対策を大幅に緩和し、入国者に義務づけてきた隔離措置を「1月8日に撤廃する」と発表。世界各国は中国からの渡航者に対して水際強化を始めている。

「8日以降、出国時の制限はなくなりますが、日本のように陰性証明を求める国に行く際は、検査が必要になります。それでも、帰国時の隔離がなくなるので、海外に行く人は増えるでしょう。春節である1月22日は大移動が予想されますが、国内旅行については何も制限がない状況です」

 ゼロコロナからウィズコロナへの政策転換を行った中国政府。感染状況について、中国国民はどのように捉えているのか。

「ゼロコロナ自体、国民にとって厳しい政策でした。開放されたときは、みんな『うれしい』という気持ちが大きかったでしょう。感染が急拡大して、ほとんどの人が感染した中で、抗体が付いた人からは政策の撤回を歓迎する声もある。ただ、身内がコロナで亡くなった人や、後遺症が残ってしまった人の不満は高まっていくでしょう」

 中国政府が公式情報として発表する感染者数や死亡者数について「少なすぎるのではないか」といった指摘も寄せられている。政府は現状をどのように受け止めているのか。

「習近平主席は『コロナに勝利した』と言っていて『政策は失敗した』と言いたくない。中国政府も感染拡大は理解していて、今は農村の医療体制の整備が喫緊の課題だと考えています。先月20日の時点で2億5000万人が感染していたという内部資料や、すでに6億人ほどが感染しているという情報もあります。火葬場にも車の行列ができていて、当然中国政府も感染爆発している現状を把握しているはずですが、具体的な数字などを出すと、国民から『失敗だ』と言われるのが嫌なのか、出そうとしていません」

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 中国国内でワクチンの接種率は上がっているのだろうか。

「日本ではファイザー社やモデルナ社が主流ですが、中国では中国製のワクチンしか打てません。中国でも一番多い人で4回打った人もいますが、多くの人は3回接種した状況です。2回以上の接種率ですが、統計によると、18〜60歳の成人は90%程度、61歳〜79歳の接種率は83%程度、80歳以上は65%程度でした。政府としては重症化リスクの高い高齢者に『早く打って欲しい』と思っています」

 昨年、中国では新型コロナに関する厳しい防疫措置に対し、各地で抗議デモが巻き起こった。12月上旬にゼロコロナ政策を緩和したが、これが感染者増加につながったのだろうか。

「ゼロコロナ政策の緩和で増えたのももちろんですが、実際はその前からじわじわ増え始めていました。どれだけマンションを封鎖しても感染が止まらなかった。もはや、ゼロコロナ政策が維持できなくなっていたのです。PCR検査場なども無料で運営していたので、財政的な負担も大きかったのでしょう。中国の人口はおよそ14億人ですから、こらえきれず一気に緩和に踏み込んだことで、爆発的に増えたのが実態ではないでしょうか」

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 その上で、冨坂局長は「感染が都市から農村に広がったとき、医療体制が耐えられるか」と懸念を示す。

「北京はすでにピークアウトしたように感じます。今後は農村などに広がって、どれくらい死者や重症者が出るのかどうかが懸念事項です。また、大量の感染者がいる中で、ウイルスが変化することも心配されています。いずれにしても、きちんと情報を開示し、しっかり対策を示して、不安を払しょくすることが望まれています」

ABEMA倍速ニュース

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