今月4日、岸田総理が「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明した。果たしてどのような政策なのか、政府の方針についてテレビ朝日・政治部の湯屋あかね記者に話を聞いた。
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「まず日本の少子化の現状ですが、昨年の出生数は80万人を下回り、過去最低になる見込みです。この深刻な状況を改善するために、岸田総理は1月4日の年頭会見で『異次元の少子化対策に挑戦する』と発言をしました。ただ、政府関係者や与党関係者を取材しても、どのような秘策があるかは聞こえてきません。これまでにない規模の予算を使って、少子化対策の実行を印象付けるために、異次元という表現を使ったのではないでしょうか」(以下、湯屋記者)
政策内容がまだ具体的に決まっていない中、少子化対策にいくら予算を使う想定をしているのか。
「もともと岸田総理は『子ども関連予算の将来的な倍増』を掲げています。今年度の当初予算案をみると、4月に発足するこども家庭庁の予算は約4兆8000億円で決定しています。そこから倍増する想定ですが、こども家庭庁の予算は全て少子化対策ではなく、いじめ対策や子どもの居場所確保などにも充てられます。現状、具体的に少子化対策にいくら使われるのか決まっておりません」
“異次元の少子化対策”では、具体的にどのような対策が想定されているのか。湯屋記者によると、岸田総理は「3つの施策を打ち出している」という。
「1つ目は児童手当など、経済支援の強化。2つ目は幼児教育や保育サービスの強化。3つ目はキャリアと育児の両立のため、働き方改革の推進や制度の充実です。少子化の大きな要因として、現役世代が結婚をし、子どもを持つ選択肢を取ることが経済的に難しくなっています。また、育児に悩みを抱える家庭が多い0歳~2歳児を対象に、いつでも自治体に相談できる窓口を作るとしています。具体的な政策の内容は、岸田総理が小倉こども政策担当大臣に3月末までに取りまとめるよう指示をしています」
少子化対策の充実に期待する一方で、気になるのは財源だ。
「甘利前幹事長がテレビ番組で『将来の消費税も含め、地に足をつけた議論をしなければならない』と発言しました。これを発端に消費税増税の議論がありましたが、岸田政権の支持率は低く、統一地方選挙を4月に控えている状態で、国民から反発が予想される消費税の増税は打ち出しにくい。消費税増税の可能性は低いでしょう」
湯屋記者によると「政府高官も消費税の増税に関しては前向きではない」という。
「まずは増税ではなく『歳出削減を行った上で、足りない部分は社会保険料の引き上げるほうがハードルも低い』と話す政府関係者もいます。国債の発行などの案も検討されています。また、同時期に東京都の小池百合子知事が『都内に住む0歳から18歳までの子どもに月5000円を給付する』と発表するなど、今後は自治体の少子化対策にも注目が集まりそうです」