米FBIも注意を呼びかける、あるサイバー犯罪を知っているだろうか。その名も「セクストーション」。セックスとエクストーションを合わせた造語で、「裸の画像を知り合いにばら撒く」などと脅迫し金銭を脅し取る、いわゆる性的脅迫のことだ。
今年に入りその被害に遭った小石川さん(仮名・20代男性)。事の始まりはマッチングアプリからだった。「アメリカ人女性と出会って、LINEとInstagramを交換した。そこから仲良くなって、『ビデオ通話で恥ずかしい姿を見せ合おう』と言われた。ラッキーだなぐらいに思ってビデオ通話をしていたが、途中で相手のカメラ画面が僕の画面に切り替わって、録画されていたことに気づいて急いで通話を切った」。
その後、女性から送られてきたメッセージには、小石川さんの友人の名前が羅列されていた。交換したInstagramのアカウントを利用し、「友達に裸の写真をばら撒く」と脅してきたのだ。当初、女性は60万円を要求してきたが、小石川さんは交渉の末、値下げした10万円を送金した。
しかし、「どうせ払ったところでもっとお金を要求されるか、動画をばら撒かれるだろうと思って全部ブロックした。そうしたら1時間後ぐらいに友達から連絡が来て、『こんなの送られてきたんだけど』と。そこには僕の写真があった」。
自業自得と思う人もいるかもしれないが、こうした被害は増加傾向にある。アメリカでは去年2月、セクストーションの被害に遭った少年(17)が自殺するなど、事態は深刻化。デジタル性犯罪の核をなすものとして、FBIが注意を呼びかけている。
過去にはリベンジポルノが社会問題になり、殺人事件にまで発展したことも。ネット上での出会いが当たり前の今、どう身を守ればいいのか。23日の『ABEMA Prime』で当事者と議論した。
アプリで出会った後、Instagram、LINEとやり取りが転々としているが、違和感はなかったのか。「全くなかった。相手のInstagramには写真が何枚かあって、2年前くらいから投稿されていたので、普通の人かと思った」と話す小石川さん。
送金後に連絡はないというが、脅迫のやり取りの中で相手がフィリピンにいること、複数人がいるのではないかと疑問を持ったそうだ。「送金時に相手の名前が載っていて、Facebookで検索したらアカウントが出てきた。『フィリピンの◯◯に住んでいる』と書いてあり、英語もアジア系訛りだったので間違いないと思う。今思えば、電話している時にもパソコンをカチャカチャしている音が聞こえて、いろいろな人にメールを送っていたのかな。誰かの気配もあった」。
ITジャーナリストの三上洋氏は、セクストーションの小石川さんと貶めた手口に注目する。「7、8年前は被害数が少なく、画像をばら撒かれたことはなかったが、今回は実際に被害にあった。また過去には『1対1の特別なアプリを入れましょう』と言って不正なアプリを入れさせられ、スマホのアドレス帳を抜かれた結果『この全員にメールで送るけどいい?』というやり方だった。しかし、今回はインスタで友達になっているから、『お前のフォロワーに送るぞ』ということがアプリなしでできてしまう、非常に困った事態になっている」。
セクストーションをめぐっては2015年4月、不正アプリで男性のスマホから個人情報を抜き取り、現金を脅し取ったとして、恐喝容疑で男2人が逮捕されている。三上氏は「それ以降、目立った報道はない」とした上で、「“こうしましょう”という具体的な対処策がなく、“警察に相談しましょう”という当たり前のことしか言えない。相談詐欺という問題もあるので、民間に相談するのではなく、弁護士のような肩書きのついた人、警察、公的機関に相談すべき」とした。
小早川さんは自身の体験から、「自分は大丈夫だと思っていても、いざ当事者になると正常な判断ができなくなる。絶対に誘惑には乗らないでほしい」と呼びかけた。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側