バチバチのライバル対決は深浦康市九段(50)に軍配が上がった。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の準決勝、チーム深浦 対 チーム豊川が1月28日に放送された。プロ入り同期の豊川孝弘七段(55)と深浦九段が第1局で激突。深浦九段が激戦を制すると、豊川七段は「昔は憎たらしかったけど本当強ぇな!」と複雑な表情で一局を振り返った。
【映像】プロ入り同期の深浦九段を「本当強ぇな」と語る豊川七段
1991年10月付で四段昇段を果たした深浦九段と豊川七段。弟子を率いて出場した今回の師弟トーナメントでは、ともに予選Bリーグを勝ち抜け本戦準決勝の舞台での激突となった。
同時期に修行時代を過ごし、プロ入りから30年を超えた両者。オープニングで顔を合わせると、深浦九段は「同じ釜の飯を食べた仲。この場で戦えることが嬉しい」気持ちを高めていた。一方、豊川七段は「僕は奨励会入会が先だったので、深浦さんのことを少年時代から見ていて注目してました。忘れもしないのは、深浦初段と豊川二段の初手合い。すごい逆転負けをしてね。そこから苦難の道で三段リーグを一緒に戦ってプロ入りが同期。僕は棋士番号が200番で彼が201番なんです。プロ入り後も早指し新鋭戦の決勝(1993年)で当たったり。後輩で年下ですけど、尊敬するプロの一人です」と印象を語った。
2人の対戦は第1局で実現。雁木模様からじっくりと組み合う序盤戦が繰り広げられた。公式戦での対戦は全8局。深浦九段が7勝を飾っており、弟子の渡辺和史五段(28)が見守る豊川七段にとっては何としても勝ちたい一局だった。しかし、先手の深浦九段は後手のディフェンスラインの裏を突く攻撃でリードを拡大。129手でライバル対決を制した。
黒星を喫した豊川七段は、顔をしかめてガックリ。終局後には「全然ダメでした」と悔し気な表情を見せ、「やっぱり分厚いですね、九段の芸は…」と言葉を詰まらせていた。徐々に気持ちを切り替えながらも、「昔はね、憎たらしかったんですよ!同じプロだけど『本当強ぇな』って思います。悔しいけど心地よい、清々しい…というのもちょっと違うんだけど、体中の細胞にそういういろんな感情が渦巻いています」と心境を表現していた。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)