怒りをあらわにしたのは、日本共産党の志位和夫委員長。矛先は、現役の党員ながら『シン・日本共産党宣言』という書籍を出版し、党の問題点を指摘した松竹伸幸氏だ。
その1つとして挙げたのが、20年以上もトップが変わらない党のシステム。松竹氏は改革のために全党員による“党首公選制”を提案している。1月の『ABEMA Prime』出演時には、党首選挙が実現すれば「もちろん立候補する」と表明していた。
しかし、志位委員長の判断は「除名」。松竹氏の主張については、中央委員会で党首を選出する今の方法が「一番民主的で合理的だ」との考えを示した。これにTwitterでは「なんで?」「異論NG?」「独裁的」など疑問の声があがる中、14日の『ABEMA Prime』で再び松竹氏に話を聞いた。
処分について、「共産党に入って48年、“党の現状を変えたい”という立場で頑張ってきたので大変残念。来年1月には党大会がある。除名された人の処分も再審査できるという規約がある。全国の党員に呼びかけて、“この処分は間違いだった”という議論をしてほしい」と話す松竹氏。
除名の理由は、メディアや著書、記者会見を通じて党を攻撃した。「党首公選制は民主集中制の原則と相いれない」「党の安保・自衛隊政策が野党共闘の障害と攻撃」「週刊誌報道などとの連携は党攻撃のための分派活動」「党が保障している権利を行使することなく攻撃」などが列挙されている。
松竹氏は志位委員長の「外からの攻撃」という言葉については次のように反論する。
「『シン・日本共産党宣言』を出したのとほぼ同時期に、私は編集担当者として鈴木元さんの本(『志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って』)を出したが、これが分派活動にあたるというのが大きかった。鈴木さんは一生懸命、中央委員会に対して内部から意見をあげた。“選挙の結果が悪かったが、志位さん自身はどう受け止めるのか。全国の党員からぜひ意見を出してくれ”と。党首公選の意見も出したし、“志位さんも辞めたほうがいいんじゃないか”という過激な意見も出した。でも、一度も返事がなかった。私は一緒に本を作っていたので、“意見を出しても何の返事も来ないんだ”“放置されるんだな”と思った」
党のルールを破った認識は「ない」とする松竹氏に、歌舞伎町ゲイバー「CRAZE」店員のカマたくは「簡単に言うと、“中で言っても上に相手にされないから周りに言うしかなかった”と。ブラック企業的なノリだ」とコメント。
タレントの田村淳は「志位さんの長期政権に関してはすごく違和感がある。でも、党のルールが定められている以上、それを破っているから除名という言い分は通ると思う」と指摘した上で、「そんな党なら見限って、『シン・共産党』を立ち上げるという方法はないのか」と提案する。
これに松竹氏は「実は党内・党員の間ではいろいろな意見がある。ところが、外から見ていると“すごく偏屈な人たちの集まり”のように見えるし、それを背景に勢いが弱まっている現状がある。私は“党を変えろ”と言っているわけではなくて、そういう活発な議論がある様子を国民に見せることが大事だと。党首公選で党員も投票できるようになると、選挙でいろいろ意見を言うようになる。ただ、最後は志位さんが大事だと言っている規約の通り、中央委員会で決めればいい。それであれば、党のルールに沿っているのではないか、というのが私の考えだ」と答えた。
安保・自衛隊問題をめぐっては、日米安保は松竹氏が「堅持」で共産党が「解消」、自衛隊は松竹氏が「専守防衛に活用」で共産党が「憲法9条違反」というスタンスで、そもそもの考え方が異なるのではないか。
松竹氏は「志位さんが2015年に野党連合政権を呼びかけたのは画期的だった。『仮に日本有事が起こった時には安保条約の発動を求めるか?』と聞かれた時に、『安保条約第5条で対応する』と言っていた。この時、“共産党の党首が『日米安保で対応する』と言うなんて…”と愕然としたが、新たな政権を作るためにそれだけの覚悟で譲歩しようというのは立派だな、と。その気持ちを汲んで、“自分は志位さんにいろいろ批判を受けたけど、1人の党員として具体化しないとダメだ。豊かにしないとダメだ”と思ってこの本を書いた。だから、同じ立場だと思ってきた」と訴えた。
田村淳は「48年も同じ思いで来たんだから、“こうしたら戻れる”といった救いの手があってもいいのではないか。でも、今のところは除名だし、戻れる感じはなさそうだ」と話す。
松竹氏は「田原総一朗さんが『志位さんと松竹さんの対談を実現したい。3人で飯食おうよ』と言っていた。除名された人と会って話す、なんていうのはやったことがないので、それだけでも共産党のイメージは変わると思う」と投げかけた。(『ABEMA Prime』より)
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