ビジネスは先読みの勝負。1週間後、1カ月後、1年後の経済情勢がどうなるのか? 金融政策の鍵を握る日銀総裁の一言一句には「未来の経済のヒント」がある。
【映像】「徐々に」「概ね」「基調として」「幾分」の“機微”、わかりますか?
「景気が緩やかに拡大」という一言でも、日銀は「徐々に」「概ね」「基調として」「幾分」など、ものによっては10種類以上の表現を駆使し、「一片の誤解もないように伝えること」が求められる。ビジネスマンは懸命にその「機微」を感じ取る。
その繊細さから「日銀文学」とも呼ばれる。
「てにをは」レベルにまで神経を使う日銀の次期総裁候補である植田和男氏とはどのような人物で今後どのような政策を採るのか? テレビ朝日 経済部 進藤潤耶記者に話を聞いた。
「植田氏は世界の中央銀行のトップを多く輩出してきたMIT(米マサチューセッツ工科大学)で経済学の博士号を取得した、マクロ経済学や金融を専門とする経済学者です。1998年~2005年には日銀審議委員を務めたこともあり、国際的なネットワークと日銀での政策実行経験もあることから候補として名前が挙がりました。もしこのまま植田氏が総裁になった場合は戦後初の財務省や日銀以外の総裁となります」(以下、進藤記者)
植田氏の金融政策、基本的なスタンスは現在の黒田総裁と同じなのか。
「植田氏は金融政策は景気と物価の現状と『特に見通しに基づいて運営しないといけない』と発言していることから、金融緩和を継続するとみられています。現在は日銀が金利を低く抑えて経済が活性化しやすい状況にしていますが、結果が出ていません。ただ、異次元とも呼ばれる金融緩和の副作用も目立ち始めていることから、今後は徐々に修正していくのではないかと言われています」
既に植田氏の“文学的発言”が世界を動かしている。今後もその機微を感じ取っていきたい。