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2019年にリリースしたEP『悪我鬼』でその名を全国に轟かせたEric.B.Jrが、ついに1stアルバム『KING BORN』をANARCHYが主宰する〈THE NEVER SURRENDERS〉からリリースする。

MIX CDや全国でのLIVE活動ですでに地位を確立した彼がどんなアルバムを完成させたのか、リスナーのみならず全てのラッパーたちが注目しているのは間違いないだろう。ANARCHYの完全バックアップで制作された作品は、彼の代名詞とも言えるストリート育ちの悪ガキ感満載のスタイルを貫きながらも、今までのEric.B.Jrの世界観をさらにスケールアップさせている。

そして、巧みでメロディアスなフロウを最大限に活かすべく、ANARCHYをはじめ、Candee(SELF MADE)やT-PablowBAD HOP)が客演を固め、ProducerはDJ JAMやChaki Zulu(共にYENTOWN)、FEZBEATZ、Modesty Beats、JIGGなどが名を連ねている。

2023.3.10 Release
Eric.B.Jr 1st Album「KING BORN」

1. Intro (Prod. DJ JAM)
2. Champion Road (Prod. Chaki Zulu)
3. King Born feat. ANARCHY (Prod. FEZBEATZ)
4. Lonely Now (Prod. Modesty Beats)
5. Yakamashii (Prod. Chaki Zulu)
6. No Sarcasm (Prod. Jigg)
7. Jealousy feat. Candee (Prod. DJ JAM)
8. Blind Spot
9. Culture feat. ANARCHY & T-Pablow (Prod. Jigg)

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Eric.B.Jr

父親はナイジェリア人で母親が韓国と日本のハーフ。物心がついたときから自身のバックグラウンドを重ね合わせ、J-POPのようなスタイルに魅かれることはなかった。地元である大阪の先輩がラップをしていたことや、『高校生RAP選手権』を目にした少年は、自然とヒップホップのカルチャーに傾倒することになる。

彼の名はEric.B.Jr。2022年生まれのアーティストだ。ヒップホップにのめり込み、彼をラッパーとして覚醒させたのはANARCHYの存在だった。「見たいと思って普通に見れるアーティストじゃないと感じた。生まれ育った環境も似ていて、『俺もラップできるやん』と思わせてくれた」と感じたEric.B.Jrは即座に制作に着手し、デビュー作にして代名詞とも言える「悪我鬼」を2019年7月に発表する。「気付いた時すでに悪我鬼」というリリックからもわかるように、ストリート育ちの悪ガキ感満載のスタイルだが、それとは裏腹に機能する巧みなフロウや、思うがままをリリックに託すスタイルは耳目を集めるに容易であった。

YouTubeで公開されたMVも話題となり(現在再生回数は約400万回)、〈Eric.B.Jr〉という名前は瞬く間にヒップホップシーンに浸透。同年にはラッパーのSEEDAが主宰するショートインタビュー動画メディア「ニートtokyo」に登場し、大きな話題となった。さらに翌年早々にはレッドブルがキュレートするマイクリレー「RASEN」に大抜擢され、¥ellow Bucks/MIYACHI/Kojoeらの輪の中で堂々としたサイファーを披露。その後、「悪我鬼」の続編となる「悪我鬼2」をリリースし、REAL-T「KEEP IT G , FAM」をはじめ、Playsson「Real Trap」、¥ellow Bucks「Yessir」と飛ぶ鳥を落とす勢いで客演仕事もこなし、誰もがEric.B.Jrの新作を待機しているさなか――災難は突然訪れる。

諸事情で制作とリリースにこぎ着けることができない不遇の期間を経て、2022年6月にアルバム『Still Have Bullets』を発表。それからさかのぼること約半年前、〈THE NEVER SURRENDERS〉のトップであるANARCHYはTwitterで「コイツ今更知った俺は遅れてるね」と、Apple Musicで「悪我鬼」を再生しているスクリーンショットをアップしている。同時に「Eric.B.Jrのアルバムを作りたい。こんなにヤバイと思った事はないかも。イケてる!!!」と立て続けにツイートしたことによって、

「覚醒したラッパー」と「覚醒させたラッパー」は邂逅することになった。(※なお、ANARCHYのツイートに対してEric.B.Jr本人は「リアクションがあってうれしかったけど……正直、届くの遅かったな(笑)」と述べている)

そこからの物語は急展開を迎える。ANARCHYはEric.B.Jrの地元に赴き、開口一番「不良になりたいんか? ラッパーになりたいんか?」と詰問したという。後者で即答した結果、Eric.B.JrはANARCHY完全バックアップのもと、制作に取りかかった。それからほどなくして、YouTubeではREAL-Tとのジョイントアルバム『DIRTY WEST SIDE』からのリードトラック「INTRO」が公開となり、キャリアを築き上げていく上での大きな追い風となった。

「俺の周囲にブレーン的な役割を担う人間はいなかった。スキルを極めたいんだけど、どうマーケティングすれば悩むことも多々あった。でも、ANARCHYと出会ったおかげで、いま音楽と真剣に向き合えてる。ストリートの限界は感じていたから、この最高の環境でリミッターを外して、俺史上最高のアルバムをリリースできる準備が整いました」

主観はいつか必然になる――そう言葉にしたEric.B.Jr。作り上げようとしても作ることのできない次の物語が〈THE NEVER SURRENDERS〉から生まれようとしている。

 
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