SDGsが叫ばれ、企業活動にも環境や多様性が求められる昨今。ESG=環境や人権、コンプライアンスなどに配慮した企業への投資に資金が集まっていたが、今年に入り、陰りが見え始めている。
【映像】ひろゆき氏「動物の毛皮を30〜40年着るのが一番環境にいい」
米・ブルームバーグは今月、好調を維持していたESG関連の投資信託から多くの資金が流出していると報道。さらにはESG関連を投資の対象外とする動きもあると報じている。
投資判断の際に注目されているのが、グリーンウォッシュだ。グリーンウォッシュとは、実態が伴わないにもかかわらず、環境に配慮しているように見せかけて商品やサービスを提供する行為である。
あるファーストフードチェーンは環境に配慮して紙ストローに変えたにもかかわらず、それをリサイクルに回さなかったことに批判が殺到。オーストラリアの発電会社は温室効果ガスについて低排出と偽り、罰金刑を受けた。日本でも、金融庁が「環境配慮をうたいながら実際の運用プロセスは異なっており、投資家の誤解を招いているのではないか」と懸念を示している。
活況だったESG投資の今後はどうなっていくのか、ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家とともに考えた。
サステナビリティ・コンサルタントの安藤光展氏は「ウォルマートの例は、もしかしたら本当に間違えてしまったのかもしれない」とした上で、こう話す。
「グローバルで一番多い例はH&Mのような、リサイクル素材を使っていると言っても、根拠が曖昧だ。『本当に環境負荷が低いのか?』と言われると、『そう思うんですけど』しか言えないから『それじゃ困りますよ』と批判が集まる。これは、製造業なら正直日本でもよくある。あまり良くはないが、しょっちゅうある話ではある」
消費者は、どうやって見極めていけばいいのか。
「企業は自分たちの良い部分を見せようとするから、不可能だと思う。もし方法があるとすれば、1つ目は企業が出している情報の分量だ。サステナビリティ、ESD、SDGsなどの活動をちゃんとやっている会社はそれだけ開示する情報に分量がある。2つ目は、経産省や環境省、ESG評価機関が出している認証を取得しているかどうか。そういう企業は信頼できる可能性が高い」
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「環境銘柄を作ったファンドは、ちょっと前まで成績が良かった」と話す。
「なぜ成績が良かったか。環境に投資できるぐらい余裕があり、しかも情報弱者を騙すのが得意な会社やファンドがあるからだ。実際、本当に環境にいいのか考えると、例えばコーヒーの会社は、紙ストローに変える前に、まずアフリカからその豆を持ってくること自体が環境に悪い。『その船は何で動いているんだよ』って話じゃないか。結局、本当に環境に配慮すると商品の値段がめちゃめちゃ高くなって、利益率が悪くなる。姿勢は大事だが、ガチで環境に配慮してビジネスをやり始めると利益はどんどん減っていく。もともとESGとビジネスは相性が悪い」
その上で、ひろゆき氏は「一番環境にいいのは、物を買わないことだ」と指摘。
「服を作るためにもエネルギーを使うから、他人からもらったり、古着を着たりするのが一番いい。でも、それだと儲からないから、認証機関を作って環境に良さそうに見せているだけ。全部ちゃんと調べたら無駄なことばかりしている。もう答えは出ていると思う」
起業家・エンジェル投資家の成田修造氏は「個人投資家や機関投資家がみんな言うのは『結局儲かるのか?』だ。最終的にこれに着地する。どんなに社会意義があって、いいことをやっていても、赤字が出たり利益が下がれば、『経営者は戦犯だ、去れ』と掲示板に書かれまくる。そういう世界だ」と話す。
ケンドーコバヤシが「僕は個人的にガソリン車が好きだ。オートバイやキャブレターエンジンが好きなくらいなので、何も語る権利がない」と話すと、ひろゆき氏は「その感覚が圧力としてあるのが間違いだ」と指摘。
「5年後、10年後に電気自動車のバッテリーをどうやってリサイクルするか。まだ誰も分からない。今、電気自動車を買って『俺は環境のこと考えているから』と言う人は矛盾している。今あるものをそのまま使い続けたほうが、新しい自動車を作るより環境負荷が少ない。『今ある物を大事に使おうよ』のほうがいいはずなのに、ケンコバさんが肩身の狭い思いをする必要はない」
ESG投資に関しては、去年5月以降、投資信託から資金の流出が相次いでいる。ひろゆき氏は「結局、金儲けと環境は別のことだ」とコメント。
「エクソンモービルというアメリカの石油会社は、2年で株価が2倍になった。石油をバンバン買っている人たちのほうが儲かっている。石油にみんなで投資して儲けて、その金を環境に使うよう、政府が切り分けるべき。ビジネスは金を儲けるためにある。上がった利益から税金を徴収して環境にバンバン投資すればいい。別々の段階でやればいいのに、利益を稼がないといけない企業が環境に優しいことをやろうとして、結局矛盾が起きる」
(「ABEMA Prime」より)
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