女流棋士による早指し団体戦「女流ABEMAトーナメント2023」の決勝戦、チーム伊藤VSチーム加藤 が3月25日に放送される。今期の女流ABEMAトーナメントは、里見香奈女流五冠(31)、西山朋佳女流三冠(27)、伊藤沙恵女流三段(29)、加藤桃子女流三段(28)の4人がドラフトで自軍メンバーを2名ずつ指名。3人1組のチームを結成しトーナメントで優勝争いを繰り広げている。次期指名、さらには未来のリーダーを目指す新進気鋭の10代女流棋士たちが集合し、「憧れのチーム」「組んでみたい夢チーム」をテーマにトークを繰り広げた。
2020年12月にプロ入りした内山あや女流初段(18)を筆頭に、2022年デビューの木村朱里女流1級(14)、久保翔子女流2級(17)、鎌田美礼女流2級(14)が集結。唯一、前回大会での出場経験を持つ内山女流初段は、ドラフト指名を受けた時の心境を語った。
「(将棋連盟からの)メールを見て、声が出ました。『うわ!えっ!?お母さーん!』って(笑)。出場する・しないというのは事前に確認があるんですけど、指名が無ければ何も連絡がないんです。でも前回大会の時は『チーム分けがこうなりました』という連絡が来て、本当にビックリしました」
内山女流初段は、渡部愛女流三段率いるチーム渡部のメンバーとして団体戦に初参戦した。大会最年少の17歳で出場し個人1勝4敗と奮闘。チームは予選敗退となったが、チーム監督を務めた広瀬章人八段からも「才能を感じる手が多かった」と好評価を得るなど、しっかりと存在感をアピールした。内山女流初段にとって、大会はどのようなものだったのか。
「普段はそんなに勝敗にこだわらない方なんです。でもチーム西山を相手にかなり厳しい状況に追い込まれて、初戦に渡部先生が負けてしまったんです。控室に涙目で帰ってこられたんですけど、私が次の試合を任されていたので、あの時は本当に勝ちたいなと思いました。自分の勝ち負けでチームメイトが一緒に喜んだり励ましたりしてくれるというのも、なかなかない経験でした」
チーム戦で戦績を詰み、個人の公式戦へ。内山女流初段は今期、初の女流名人リーグ入りを決めるなどめきめきと頭角を現している。
一歩先を行く内山女流初段に続け、と3人の新人女流棋士たちは『入ってみたいチーム』のトークに。久保女流1級は「前回優勝のチーム加藤(加藤桃子女流三段)」、鎌田女流2級は「伊藤(沙恵女流三段)先生か加藤先生のチームに入って居飛車を勉強したい」。木村女流1級は「全部入ってみたいです。でもそれは無理なので、里見(香奈女流五冠)先生のチームに入ってみたいです」。
公式戦で9連勝など破竹の勢いを見せる木村女流1級は、「ストイックさや将棋に懸ける情熱に尊敬している」という偉大な先輩の名を挙げた。さらに、再びの出場に期待が寄せられる内山女流初段は「西山女流三冠のチームに入りたいです。去年の秋、『将棋の日』の控室でお話させて頂いてすごく楽しかったんです。あと、自分が居飛車党なので、振り飛車党の先生と同じチームがいいかなと思いました」と声を弾ませた。
続く話題は「自分が組んでみたい夢のチーム」に。こちらは全員一致で「同年代の棋士」と回答した。久保利明九段を師匠・父に持つ久保女流2級も、同年代チームに同意。「話がしやすいので、チームの雰囲気が良くなりやすいと思う」とコミュニケーションにポイントを置いているという。プロ入り前の2021年秋、女子アマ団体戦で鎌田女流2級とチームを組んだ木村女流1級は「若手チームだと息も合うし注目してもらえると思うので、そういうチームが作れたらいいなと思います」、鎌田女流2級は「勝ちを目指しながら楽しんで指せるチームにしたい」と柔らかな笑みを浮かべた。
内山女流初段は同年代の中でも具体的に「同じ年に佐々木海法(女流1級)さんと山口稀良莉(女流1級)さんがいるのでチームが完成する」という。さらに「まだしゃべったことのない後輩とも、チーム戦を通じて仲良くなれたらいいな」と加えていた。
女流棋界をけん引するトップランナーらのチーム入りはもちろん、同年代でのタッグにも夢はどんどん膨らむ。先輩たちの背中から学び、未来の主役の座へ。10代女流棋士たちが大舞台で活躍する日はそう遠くないはずだ。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)