2023年の電気代は「ジェットコースター」なぜこんなに動くのか?
【映像】電気代は「規制料金」と「自由料金」どっちがお得!?
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 近年電気代の高騰が続くなか、電力大手各社は5月の電気料金が前月に比べ500円前後値下がりすると発表したが、6月以降は再度上がる可能性が出てきた。

【映像】電気代は「規制料金」と「自由料金」どっちがお得!?

 なぜここまで電気代の値動きが激しいのか? テレビ朝日経済部 延増 惇記者に話を聞いた。

「4月以降電気代はジェットコースターのように乱高下します。まず電気代は全国で半分以上の家庭が契約している規制料金と、自由料金の2つに分かれます。自由料金に関しては規制がなく値上げ幅は青天井となっており、電力会社のさじ加減で値段の調整が自由にできる契約となります。

 対して規制料金は政府が規制をしている料金となっており、政府の認可がないと値上げができなくなっています。当然燃料費が上がれば上がるほど電力会社側の負担が大きくなり赤字になることから、この状態を解消するために各電力会社は値上げの申請をしています」

 この状況を受け政府の対策はあるのだろうか。

「実は既に政府は電気代に対し支援を行っていますが、支援を実感しているという人は少ないです。各電力会社の電気代の明細書の備考欄には『7円/kWh値引き適用』と小さく書いてあり、これが政府の支援となっておりますが、明細には『−〇〇円』と明確な記載がありません。さらに、この支援が始まったのが今年の1月分(2月請求分)からとなっており、12月分(1月請求分)より使用量が増えるタイミングで割引が適用されているため値引きの実感が湧きにくかったのです」

 例えば、使用量が260kWhの場合、規制料金・自由料金の両方において、260×7=1820円の支援を受けているのだ。

2023年の電気代は「ジェットコースター」なぜこんなに動くのか?
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「現在大手7社が政府に対し燃料費の高騰を理由に各社約28%~45%と大幅な値上げ申請を行っています。東京電力では6月から約29%の値上げ申請を政府に行っており、申請が通った際、例えば一般家庭で260kWhを使用した場合、11,737円になります。そこに政府の支援が入ることで実際の電気代は9,917円となります。ただこの値上げは政府の審査で多少カットされる可能性があり、値上げ幅は多少圧縮されます。

 各社が申請した値上げ幅は、申請時点での直近3カ月の燃料価格に基づいて計算をしていますが、最近の燃料費が下落していることもあり、最新の燃料価格を反映させて再計算することが決まりました。それを基に算定した各社の燃料費ですが、大手6社で下がり、東京電力では2536億円下がりました。当初29%の値上げを申請していた東京電力は再算定の結果、17%の値上げ幅に修正すると記者会見で発表がありました。値上げという事実は変わらないものの、実は昨年12月分の電気代に比べると政府の支援もあり実際は下がっています」

 電気代の乱高下が続くなか、この政府の支援はいつまで続く予定なのか。

「実はこの政府の支援は今年の8月使用分(=9月請求分)までとなっており、9月使用分(=10月請求分)からは縮小する予定になっています。それに加えて今は下落している燃料価格ですが、再び上がる可能性も指摘されています。

 大きな要素が2つあり、1つは中国がゼロコロナ政策から経済を再開させたこともあり、LNGや石炭などの燃料を購入し世界的に燃料の争奪戦が予想されることから、夏から冬にかけて再び燃料価格が高騰する可能性があります。2つ目はヨーロッパの情勢、すでにロシアから天然ガスの供給を絞られているため、夏や冬に備え再び燃料の購入が始まる。そうなると世界的な燃料の争奪戦を強いられるため、燃料価格が高騰する可能性が高くなります。

 こうした状況も予想されるため岸田総理は『支援は9月で終わりではなく、そこから先は状況を見ながら対応する』としており、今後の燃料価格や世界情勢によっては、電気代の支援策を延長したり、増額なんてこともあり得る」


(『ABEMA倍速ニュース』より)

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