統一地方選挙が9日と23日に行われる。深刻さを増しているのが、地方議員のなり手不足だ。
【映像】「運転代行」でバイトも…低すぎる町議会議員の手取り額一覧（画像あり）
今回の道府県議選では、4人に1人、全体の2割超が戦わずして不投票当選になる。区議や市議、町議、村議といろいろな地方議員がいるが、どのような仕事をしているのだろうか。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、和歌山県有田川町議会議員の椿原竜二氏（33歳）は「メインは公務で本会議や委員会、町が主催している行事への出席だ。議員によって差はすごくある。地域別で報告会を行ったり、要望や相談を聞いて現状調査に行ったりする。その上で、担当課と協議する。あとは自分の講演会活動だ」と話す。
現職議員が5人引退し、去年の町議選で無投票再選した椿原氏。現在は地方議員の仕事以外にも、週3回夜間に運転代行のアルバイトを行い、生計を立てている。
地方議員のなり手が少ない理由に議員報酬の低さがあるのではないか。椿原氏のケースを見ても現実的に議員だけでは生活が厳しい。
「初めて立候補させてもらった時は選挙戦になった。当選させてもらった最初の2年間は、議員専業でやっていた。この金額でも、なんとか生活はできるのかなと思っている。けれども、行きたい研修があったり、議会の活動報告書を発行しようと思ったとき、活動すればするほどお金がかかってくる。議員活動をもっとやるなら、やっぱりお金がないとダメだ。昼間に議員活動をしながら、夜の空いてる時間に運転代行のアルバイトを始めた。今は後援もあって、独立して自営業としてやっている」
議員活動のために別業でお金を稼ぎ、議員活動に当てている椿原氏。立候補時も今も独身だ。
「妻の理解を得られなくて立候補できない人は本当に多い。僕も家庭を持っていたら、そうだったかもしれない。僕は独身で失うものがない。仕事もサラリーマンを辞めて仮に落選しても『何とかなるだろう』と思っていた」
県議会議員になれば、報酬は上がる。椿原氏は「あくまでも生活のために議員をやっているわけではない。お金のことを言えば確かに県議会議員の方がいいと思うが、お金を目的で目指すものではない」と話す。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「地方議員に関しては報酬なしでいいと思う。そういう国も多い」とコメント。「議会が夕方以降に開かれて、仕事が終わってから兼業で議員をやる。街で普通に働いている人が問題点を議会に持っていく形になるので、そっちの方がいいんじゃないか」と投げかける。
総務省「地方議会・議員のあり方に関する研究会」構成員の河村和徳氏（東北大学大学院准教授）は「都道府県の場合は一人区が多くて、自民党が強い。野党が候補者を出せない側面もある。町村の場合は、議員をやってくれる人が本当にいない。ある意味、無投票当選になる地域は、衰退を示している。無報酬で地方議員をやる国もあるが、そういう国も今は、なり手不足だ」と話す。
ひろゆき氏が「定数を減らしてもいいんじゃないか。2万人の町に16人も議員はいらない」と指摘すると、河村氏は「もともと地方分権の関係でどんどん減らした。一方で地域の数があって『1人でも代表を出したい』と言われると、なかなか一気に減らせない」と答える。
「議員は“先生”と呼ばれるように、元々は地主さんなど、余裕がある人がタダでやっていたから、その名残がある。戦後になって、アメリカ流の独業的な政治家像が入ってきて、ごちゃまぜになった。一方で、報酬を高くすればいいわけでもない。都道府県や市議会でも、報酬目当てで議員になって地域のための仕事をしない人もいる。わざわざ仕事を辞めてまで議員に飛び込む人がどれくらいいるか。中には立候補する時に、離婚届に判を押す人もいる。日本人は安定した生活を求める人が多い。ある程度、ギャンブルの世界と思われているのも、なり手が少ない原因になっている」
規模が小さい地域はボランティアで、市議など規模が大きい地域は報酬を出すなど、折衷案は作れないのか。河村氏は「高度経済成長の時に、議員が自分たちで給料を決められるルールになって給料を上げ過ぎてしまった」と話す。
「当時、議員として食べていけるような金額設定で、議長会が基準を出した。町村議員は年4回の議会しか働いていないから、フルタイムで働いている町長の3分の1と、最初に基準が決まってしまった。だから、一生懸命やろうとするほど、それ以上に働かなくてはいけない変なことが起こってしまう」
（「ABEMA Prime」より）
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