元奨励会員の目から見ても、今年のレジェンドの本気ぶりがわかるようだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」で、今回から新設される個人賞5部門の候補者や優勝チームを予想する特別番組が4月5日に放送された。4チームに分かれた出演者が、各個人賞の候補者の名を挙げた後、締めに行われたのが優勝チーム予想。ここで鈴木肇さん、熊谷俊紀さんという奨励会の三段リーグまでいったコンビが、羽生善治九段(52)率いるチーム羽生に決めた。理由はずばり、勢いのある若手2人を指名したことだ。
羽生九段は自らドラフト会議に出て指名した第4回、第5回といずれも中村太地八段(34)、佐藤紳哉七段(45)の2人を指名。第4回は予選敗退、第5回は本戦に進んだが、第6回ではガラリとメンバーを変えてきた。1巡目には重複指名によるくじ引きの末に、自分より32歳も下の伊藤匠五段(20)を獲得。2巡目は重複のくじ引きに負けたものの、梶浦宏孝七段(27)という高勝率の若手をゲットした。
鈴木さんは中村八段とYouTubeで関わることがあったが「中村八段から羽生先生の強さをいろいろ聞いたんですよ。それに今回は梶浦七段、伊藤五段と若手新鋭を揃えました。これはもしかしたらやる気なんじゃないかなと。かなり強そうなチームですよね」と、チーム構成に“ガチ感”を覚えたという。
もともとこのABEMAトーナメントは、羽生九段の着想をもとに持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算というフィッシャールールが採用された経緯がある。ただ本人は個人戦だった第1回大会から5年、決勝進出は一度もなし。今回は若手の勢いと力も借りながら頂点を狙うとなれば、将棋ファンの心は踊るばかりだ。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)