イタリア政府は11日、地中海を渡って到着する移民が急増していることを受けて、6カ月間の非常事態宣言を発表した。また、滞在資格のない移民の強制送還の費用など、日本円にして約7億3000万円の対策予算を拠出するという。
【映像】14万人と10人…差がありすぎ?「特定技能」1号と2号の違い(画像あり)
一方、日本では、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度について、現行制度を廃止し、新たな制度を検討すべきとする中間報告書のたたき台が示された。これにTwitterでは「奴隷制度はもうやめるべき」「現行制度をやめて、本格的に移民を受け入れようってことでしょ」などの声があがっている。
少子高齢化が進み、将来の労働者不足が予測される中、日本は移民政策をどう進めるべきか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、青山繁晴参院議員はこう話す。
「人口が劇的に減っているのだから、移民の前に日本人を増やすことが先だ。移民がいけないわけではないが、日本の少子化対策は、はっきり言って対策になっていない。移民を入れたら、あっという間に崩れてしまう。みんな『少子化対策をちゃんとやらないで、なぜ移民を増やすんだ?』と思うだろう」
日本では、年々外国人労働者が増えている。特定技能実習制度は実質的に移民政策になっていないか。
「日本政府は嘘つきだ。特定技能1号・2号といろいろ名称をつけているが、要は移民を受け入れているだけだ。ただ、建設業や介護などで働いてくれる人がいなかったらみんな困ってしまうから、そこは『移民を受け入れる』と言うべき。嘘をつかずに、正直にやってほしい」
青山氏は「元々技能実習生は『日本は技能がある国だから、勉強して身につけてもらって祖国に帰っていただく』という建前だった。今は日本より充実した技能を持った国が出てきた。名前だけ技能実習生と呼んで、給料は多くて月給30万円。少ないと月収20万円以下で働く。そういう人たちが困ると、決められた会社から移って行方不明になっちゃう。年に約7000人の行方不明者が出ている」と指摘する。
ジャーナリストの堀潤氏は「中国残留孤児の人でさえ、日本社会に馴染むのに本当に苦労される。多様性ある、共生できる社会環境が今、本当に実現できているか。やっぱり偏見があったり、制度上の不備がたくさんあったりする。せっかく日本に来てもらっても、つらい思いだけさせて、歪んだ形で衝突などに変わってしまうのが本当に怖い。経済界は労働力に期待して『安い労働力であれば入れたい』という思いはあるかもしれない。日本は、そんな下品な国だったのか。人の価値を金で決めないでほしい」と訴える。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「日本に来た人がみんな不幸になっているわけではない」とコメント。
「統計数字で見てほしいが、日本に来られて仕事ができる人はハッピーだ。なぜ、日本に移民が増えているのか。フィリピンやベトナム、あるいは中国の農村部は、日本に来たほうが間違いなく給料は高い。治安もいい。需要があるのは間違いない。ここは踏まえておかないといけない」
その上で、夏野氏は「『移民が入ってきたら、日本人の雇用がなくなる』という人もいるが、日本は統計を見ると失業率3%以下で、完全雇用状態が何十年も続いている国だ。雇用不足ではない。それなのに『仕事が取られる』みたいな議論になってしまう」と指摘。「『移民を受け入れる』というと、政治では票が取れないから、みなさん厳しめに言う。その中でつじつまを合わせるために出てきたものが特定技能制度だ」との考えを示した。
AI技術の台頭もある中、実際に安い給料で働く移民が入ってきたら、日本人の給料が上がらなくなってしまわないか。
青山氏は「日本政府は先を見ていない」と苦言を呈する。
「ChatGPTを見ていても、仕事どころか人間が要らなくなっていく。日本を信じて家族帯同で入ってきた移民が、子どもの教育費がすごくかかっている時に、日本でロボティクスが進んでいく。ロボットが入れば、労働組合もないし、遅刻する人もいないし、機械だから病気になる人もいない。どんどん機械に入れ替わっていく。最初は『仕事をしてほしい』と入れた人が、一番家族にお金がかかる頃に『要らない』と言わないといけなくなる。同じ人間だから、そういうわけにはいかない」
夏野氏は「人手不足はますますこれから深刻化する」とした上で「問題になるのはサービス産業とインフラのメンテナンスだ」と話す。
「例えば、日本は高度成長期以降に道路の整備をたくさんやった。今後は労働人口が減っていくから、これを維持するだけでも大変だ。現場の仕事はロボティクスで解決できない。AIに置き換わるのは中間管理職の仕事だ。介護などはAIでは置き換えられない。ずっと人手が必要な分野だ。『特別技能』とわけの分からない形で定義せずに、もうちょっと入りやすくしないといけない」
(「ABEMA Prime」より)
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