国際政治学者の舛添要一氏が8日のABEMA『NewsBAR橋下』に出演。1年経っても収束が見えないロシアによるウクライナ侵攻について、戦況を語るとともに橋下徹氏と議論を交わした。
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ロシアと国境を接しこれまで軍事的中立の政策を取っていたフィンランドが4日、方針を転換してNATO(北大西洋条約機構)へ正式加盟した。そうした中、舛添氏は「第3次世界大戦に極めて近づいている」と警鐘を鳴らす。
「NATOが東方拡大し、“ウクライナが向こうに行ったら困る”ということで軍事侵攻したら、今まで理解があったフィンランドまで入ってしまい、プーチンの自業自得という部分はある。ロシアはベラルーシに戦術核を配備しようとしているが、これはポーランドへのけん制だ。ポーランド、ウクライナ、ロシアは隣国同士でしょっちゅうケンカをしてきたが、大きく戦略環境が変わって第3次世界大戦に極めて近づいている、あるいはほぼ始まっているのではないかという危機感を持っている。政権が倒れるならプーチンが“イチかバチか”に出ることはあり得る」
また、アメリカのバイデン大統領に対して「リーダーシップがない」と苦言を呈する。
「ウクライナ人もロシア人もこれ以上人が死んでいいのかと。アメリカ人の血は一滴も流れていなくて、全く痛くもかゆくもない。しかし武器はどんどん売れていて、アメリカの軍事産業は高笑いをしている。そういう状況で、“ウクライナを取り返すまでやれ”と言ってけしかけたら、第3次世界大戦になる可能性がある。それを一旦止められるのはアメリカだけだが、バイデンはリーダーシップが駄目。本当はヨーロッパも苦々しく思っている。だから、フランスのマクロン大統領やEUのフォン・デア・ライエン委員長が中国まで行くことになる。
どちらが戦争に勝ってもロシアはどんどん落ちぶれていくが、そこで出てくるのが中国。ウクライナに集中している隙に、中東とアフリカは完璧に中国とロシアにやられている。イランとサウジアラビアが手を結んだ裏に中国の仲介があり、アフリカにもどんどん入っている。世界200カ国ある中でロシアへの経済制裁に参加しているのは50カ国くらい、という世界地図を見た時に、バイデンさんもっとしっかりしなさいよと。アメリカが世界一でありたいのはわかるが、“中国に負けている”という認識の下、早くウクライナの火を消して世界全体を立て直す視点がないと駄目だ。岸田さんはただウクライナに行くだけではなく、こういうことをちゃんと言わないと」
一方、橋下氏は「一般市民が犠牲になっているのはウクライナだけだ。その犠牲の下に西側諸国はウクライナに戦わせてロシアを疲弊させているという、この現実を見ないといけない。じゃあどこを落としどころにするのか。日本の感覚と決定的に違うのは、ヨーロッパでは国境と民族が入り混じっていること。僕らが日本を守るとなったら国土と日本人はイコールだが、そうではなく民族と近代国家として作られた国境のどちらを守るのか、政治で解決すべき。最後は争いごとをまとめるのはやっぱり政治。国と国との争いになった時、0か100かの勝ち負けというのは政治的にない。一般市民が犠牲になっていることを考えれば、政治家が腹を括って、覚悟を持って政治的な解決に向かうこと。それが政治家の使命ではないか」との考えを述べる。
舛添氏は「広島と長崎に原爆を落として、無条件で“お前は0、こっちが100”だという、日本が経験した無条件降伏と同じことをやるのかと。やるのならロシアは核を使うと私は警告をしている」とした。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)